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井沢満ブログ

後進に伝えたい技術論もないわけではなく、「井沢満の脚本講座」をたまに、後はのんびりよしなしごとを綴って行きます。

選挙を目前の不思議な呉越同舟 

2016年01月14日 | 日記

本に書かれてあることが事実なら、議員バッジを外すとまで安倍総理に
言わせた本、蓮池透氏の著書は、最初、あまりにも直接的プロパガンダめく書名に、選挙を睨んで出された安倍追い落とし本かと、脳裏をかすめたぐらいだった。

いわく「『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』

野党の安倍批判にも使われた。

本を私は読んでいないが、報道によれば、「あえて強調したい。安倍、中山(恭子、拉致被害者・家族担当、内閣官房参与)両氏は、弟たちを一度たりとも止めようとしなかった。止めたのは私なのだ」と書いてあるそうで、しかし私は中山氏の拉致問題をテーマになさったお話を聞きに出掛けまだ間もないのだが、蓮池氏のおっしゃることと内容が違う。

あの品の良い穏やかな中山氏が、嘘をあれほど熱を込めて真摯に語られるだろうか? ボランティアに近いであろう、ごく少人数の会にわざわざ虚偽をお話しにいらっしゃるだろうか? いったい、何のために? 

とこんなことを書くと、蓮池氏が嘘を書いていると言わんばかりに聞こえるのは当たり前で困惑するのだが、私はそれを断言するほどの知識も根拠も持たない。

あるいは、両者の言い分の中間に真実はあるのだろうかと思いを巡らせるのだが、それも解らない。

ただ一点、ひっかかるのが、蓮池透氏が辻元清美氏のパーティに
田原総一朗、鳥越俊太郎氏らと出席、ご挨拶なさっていらっしゃるほど
仲間めいて見える点である。
しかしだからといって、どうということも言えないのだがアンチ安倍の
グループではあろう。そして肝心の被害者の会からは追われたお方。

日韓外相談話以来、主にネットの保守層だと思うが安倍憎しに
走っていることと重ねて、状況としてはあまり良くないように思う。
保守分断の状況ではないか。
むろん良くないというのは、安倍内閣が出来るだけ長く続いて欲しいと
思う側であって、SEALDsの連中と一緒になって「戦争法案」と
安保法制案を言っているような人たちにとっては追い風ではあろう。

日韓外相談話で安倍内閣に激怒している人たちも、しかし
だからといって、他の党や人物に票が行けばいいとまでは
思っていないだろう。思っているのだろうか。そこが
解らない。

安倍総理に代わる、これぞと思う人物や党がある、ということは
さっぱり聞こえて来ないのだ。ただただ、安倍憎しと思う
本来保守の人たちと、アンチ自民の大人たちとが
団子になって、安倍内閣の足を引っ張っているように見える。

安倍憎しを旗印に、呉越同舟状態。本来の敵味方が
同じ船に乗りあわせている按配。
といって、船の中で和気あいあいとは行かず睨み合いながら、船の舳先は
全く違う方向に向いている、という・・・・

だったら、選挙前の保守は安倍憎しの鉾をいったん収めて、
選挙が済むまでならぬ堪忍するが堪忍が大人の
態度であろうと思うのだが。

岸田外相と、佐藤地ユネスコ大使の大失策の源にはむろん、
安倍総理がいて、私は目から火を噴くほどにも怒ったのだが、
しかし慰安婦に関する談話には、われながら意外なほど、
冷静であった。

日本が置かれた諸事情を思えば、つまり韓国に譲歩した形で
収めざるを得ない米国の圧力を思えば、100点はあげられないが、80点はあげてもいいくらい。にっちもさっちもいかない、両手両足
縛られた中では、安倍総理はよくやられた・・・・と思う。

むろん、そういう背景を考慮しなければ、とんでもない内容ではある。
百も承知。

濡れ衣を認めさせられた屈辱談話ではある。
しかし、韓国の甘言に乗ってうかうかと出した河野談話の存在、
そしてアメリカ(と戦勝国連合こと国際連合)から敗戦国日本に
突きつけられた拒否できない談話であったなら、あれで
ほぼ精一杯、他の党や人物ならもっと酷い、二度と立ち上がれぬ
談話を出されている。

安倍総理は第一次内閣の時に、河野談話白紙撤回に向けて動かれたと
漏れ聞いているが挫折なさっている。おそらくはアメリカと党内部某勢力の圧殺であろうと踏んでいる。しかし、河野談話は閣議決定はされていない。(異説はあるが、これでよろしいと思う)
永遠に固定されるべきものではない。

今回強制性の文言は入れ込まず、ぎりぎりのところで踏みとどまった。
また日本の法的責任についても触れていないのが上出来である。
それゆえ今後、まだ真実の発信はできる余地がある。

河野談話にはあった強制性は決然と(という表現でよろしいと思う)
外してある。強制性が言われてないということは、あの談話は単に

「売買春という女性の人権を損なうことを軍関与でしたことへの、反省」でしかないのだ。

そんなもの、日本だけがやっていたわけではない。
「軍関与」も現地民間人により、かどわかしや悪質ブローカー摘発を
含めてのことであり、強制性がない以上「少女狩りをやって性奴隷にした」という
事実はなかったことになる。
売春に軍が関わっててごめんなさいねー、という談話である。
だから法的責任も認めていない。

その一方韓国をあの談話で囲い込んだことにより、慰安婦という
無限の外交カードからその無限性が抜け、有限カードになった。
だから韓国が発火している。

韓国はもはや慰安婦で日本を撃てば、談話違反で海外に恥を
さらすが、慰安婦の実態を日本が追求発信して行くぶんには
差し障りない。

完璧と言うには程遠い解決法ではあったけれど、韓国が
国家としては完璧に猿ぐつわをはめさせられたのに対して、
日本には真実を語り続ける口が残された、とそういうことである。

不本意は百も承知。しかし日本は忘れてはいけない、敗戦国
なのである。敗戦よりまだ一世紀も経っていはしない。
敗戦国という理不尽な不名誉から立ち直るには、100年が必要と
いうのを聞いたが、私はそれはまだ生易しいと思う。
そうやすやすと、追い風が吹いて来はしない。しかし
永遠に逆風というわけでもない。
各国の口封じをしたことで、慰安婦は時さえ気長に待てば、いつしか風化する。
日本は永遠に、真実を語り続ければいいのである。不公平談話を余儀なくされた、その背景さえも語れるのだ。

海外、とりわけアメリカの日本人の子供たちが受けている慰安婦ゆえの
いじめは、民間が何とかする以外にない。迂遠だが、慰安婦の真実を
語り続けるしかないのではないか。安倍さんを今、外したらそれすら
やりづらくなるかもしれない。

政府は、ディスカウントジャパンの動きを牽制するためのお金を、
民間の組織に渡してやらせて欲しい。韓国がそうしているように。
国費規模のお金を使わねば、韓国が国費を出費しての
日本貶め運動に対抗出来るものか。

ある種の歴史に対しては、悠久の視線を持って泰然と構えなければ
短慮の火病を発して、日本の守り神を撃ち落とす如きことを
やりかねない。

外相談話ごとき(敢えて)で、自民党へ行く票を
減少させて、憲法改正から自ら遠ざける道を選ぶのも
賢明ではなかろう。「戦争法案」と実態とは異なる名称を
かぶせて安倍落としをやっている若者たちと、大人が同じレベルに
なって、どうする。
むろん、九条信奉者さんたちにとって、現在は順風である。
それでよしと思う人は、笑顔で結果を待てば良い。
私は本来の保守(であったはず)の人に向けて語っている。

とりあえず調査では内閣の支持率はそんなに悪くもない。
しかし大勝させねば、憲法改正は遠く、自民と公明の本来は
あり得ない、不自然な相乗りも解消せぬ。
こちらこそが、元祖呉越同舟なのである。

だが不気味なのは、18歳からの選挙権により、「安保法制案=戦争法案}
「恋人を戦地には送らない」などと、甘いフレーズになんとなく
流されかねない青少年たちなのだ。数がどのくらいいるか
知らないのだが、新しい勢力として台頭する。
団塊の世代よりは、ネットで情報を得る分マシな気は
するが。と、いやみで本日の稿の筆を擱く。

 

https://twitter.com/Che_SYoung

 

以下慰安婦問題についての韓国歴代大統領の言葉

朴正熙:完全かつ最終的な解決

金泳三:慰安婦の賠償は求めない

金大中:日本は謝罪した。私が謝罪を受けた

盧武鉉:任期中に過去史の話はしない

李明博:日本に謝罪は求めない

朴槿恵:最終的な解決

・・・・・・・・

また蒸し返す。・・・・と思うが、今回は米国の意志が働いた、その上で「立ち会い」のもとでの合意であり、今までのようには行きづらいだろう。


鯖の味噌煮とベルベットの羽織

2016年01月12日 | 日記

鯖の味噌煮と、新規オープンの呉服屋狙いで初雪のチラついた今日、
神田明神下に出掛けた。

鯖の味噌煮で有名なそのお店は月2回しか鯖の味噌煮は出さないので、
まず、それに遭遇することはないだろう、場所確認がてら
昼を食べさせていただこうと寄ったら、なんと本日、鯖の味噌煮日で
あった! 私は引き寄せ力が強いと言って頂いているが、ささやかな
強運に感謝。

鯖は水煮から始めて10日間煮こむのだそうで、ぶつ切りの
肥えた鯖が絶妙な汁を布団に、器ににこにこと横たわっていた。

鯖の味噌煮の他には、自分で勝手によそおうバイキングスタイルで
家庭料理風お惣菜が、5品目ほど、これも温かい味で
じわじわと、美味しかった。これで千円。

じき80歳になられるという目鼻立ちのくっきりとした美しい女将さんが
一人で切り盛りしていらっしゃる。

料理を写していいかお尋ねしたら、インターネットには載せないで
くださいね、と言われた。有名になり過ぎてランチタイムのために
9時半から並ぶ客までいて、電話の対応などに往生なさっているご様子。

「また寄せていただくので、顔を覚えていてくださいね」

と言ったら、私の顔はどこかで見た顔だな、と思ってらしたそうで、
それなら、2度目も思い出してもらえるだろう。

界隈はそのかみ、花柳界の街だったらしく、そう聞けば
建物、路地の佇まいがそこはかとなく色っぽい。
お姐さんがたの、石畳に軽やかに鳴らす下駄の音がふと耳を
よぎるようだった。

男坂の急な石段を上り、神田明神で手を合わせ、それから呉服屋に
行ったら、これがもう反物が探して求めていたものばかりで、
息が詰まるほど。
木綿の街着ふうなもの、はじめ要するに「遊びごころ」の
ある反物。男物といえば四角四面の無地が多く、ほとほと
つまらぬと思っていたのだが、ようやく希望に叶う店に巡り会えた。

若者に着て欲しいとかねてより思っているのだが、この店など
初心から入るのに、うってつけであろう。値段も若者が
二の足を踏む金額ではない。
いや、人生を終えるまで着られることを思うと、コストパーフォーマンスは
抜群によろしい。

四十代だという店長さんの着物姿が素敵なので写真に撮らせて
頂いたのだが、相変わらずカメラのコネクターが見つからない。
いずれ。

紅の縦縞の着物、黒いベルベットの羽織を仕立てて頂くことにして、
小物は別珍の赤足袋、パープルの羽織紐、皮のブラウンの角帯、など。
帯は解いてSMプレイの鞭に使えて便利だなぁ、と言ったのだが
誰も笑ってくれなかった。あるいは、本当に被嗜虐遊戯の愛好家だと
思われたのかもしれない。

雨の日も使えるコート、これは出来合いのものを求めた。
色は何と言ったか、ブルーレイ?だったか?(たぶん違うと思う)
青みがかったグレーなのだが、私の目にはシルバーに見えた。
⇒ グレージュだった。ベージュとグレーの中間色。

皮の帯など初めて見たが、店長さんが締めていていい感じだった。
使い続けるうち柔らかくなって、締めやすくなるという。

これらの画像もいずれアップできるかもしれない。
カメラのコードが見つかってからのことである。

店長さんの左右の人差し指に金属の指輪、大小。
小物使いも年季が入っていて、さりげなく見事。雪のちらつく日なのに、
羽織は棉麻の薄手の黒。店内は温かいので・・・・と。
自由闊達である。

“変わり貝の口”の結び方を教わった。それと長いこと、使い方が解らず
放置してあった、襦袢の衿合わせの金具の使い方も伝授して頂いた。

多民族共生とやら、五輪にかこつけて中国人労働者数万人導入とやら、
壊れていく日本を着物で繋ぎ止めたい思いがある。

若者よ、着物を着てくれ。今時の足の長い子なら、随分洋服に近く
遊べる。マントにスニーカーだっていいんだよ。


日韓通貨スワップ

2016年01月12日 | 歴史・政治

時事問題を取り上げると刺々しくなるので、時々迷うのだが
どうなのだろう、書いたほうがいいのだろうか。
書かねばいっそ、気楽ではあるのだが。

最近の気がかりは日韓通貨スワップであり、韓国にとっても
日本にとっても不本意な日韓外相談話を急いだのは、アメリカと
結局韓国側なのであって、経済がからむ。

韓国内企業にはアメリカ資本が食い込んでいるし、
アメリカが善意で、間に立つわけもなく日韓両国に
「やれ」と圧力をかけたのであるが。

それゆえ、日韓通貨スワップ再開は日本の一存では行かぬかも
しれないので、再開反対という声にも力がなくなるのだが。

いやしかし、敗戦国であるということはこういうことなのだ。
立ち直るには、私の知識では計算できないが、100年では
足りないであろう。

多分に、世界のパワーバランスも関係し、アメリカがパワレスに
なる時があるのなら、それも影響するだろうし中韓の自滅とて
シナリオにないわけではない。

日韓通貨スワップで、日本は過去に韓国を危ういところから助けたが、
返って来たのは、お礼ではなく「出し渋りやがって、こんなんだから
アジアのリーダー国になれない」はまだいいほう「必要ではなかった」
「迷惑だった」とまで。

だったら再開はないよ、さよならね、と言えれば話は簡単だが
アメリカの意向が絡むので、さてどうですか。

はねのけられるかな? 日韓談話は、涙を飲んでやらざるを得なかったけれど。
こちらはマイナス面だけでも、結果なかったようだが。

救いは国の命運も常に流動的で固定化はされてはいないこと。

栄華は極めればくだる。敗戦国としての
つらさが永遠に続くわけではない。

日韓通貨スワップとは、簡略に述べれば世界的に信用の薄いウォンを
円の信用性で支えてあげること、である。

検索すればWikiに説明と日韓双方にとってのメリット、デメリットが
載っているが、日本にはデメリットしかない。
メリットが有るとすれば、韓国と取引のある企業にとっては、リスクヘッジにはなる。
しかし、取引なんかしないでくれよ、とは正直な所思う。
日韓断交は現実味がないし、アメリカの圧力でどのみち出来はしないけれど
「極力関わらない、関わらせない」は出来ようではないか?

もう一度書くが、日本にとってはほぼデメリットでしかない通貨スワップを
やって救ってあげても、罵声と蔑みの言葉しか韓国からは返って来ない。
国民の反対の声が高ければ、政府も断りやすくなる。結局、
背後にあるのはアメリカの意向なのだから。国民が
ここまで反対しているので、とアメリカに言えなければ
アメリカの意向優先であろう。韓国の理不尽なまでの日本への
上から目線の援助要求も、助けてもらってのお返しが罵りであるのも、
アメリカありきで、日本が弱いのを心得ているからか。

日韓併合で酷い目に合わせたのだから、日本が韓国を
助けるのは当然という思いもあるだろうが、日本は持ち出しで
韓国の近代化を助けたのである。
本当に困った特殊なメンタリティの国であると思う。
とこういうことを書いても大阪市で通りそうなヘイトスピーチ
禁止法にはひっかかるのだろうか。
だとしたら、日本国民言論弾圧法だろう。


神田明神へ

2016年01月11日 | 食べ物

明日は神田明神へ出かけます。初詣をしていないので。東京は大きな神社さん、有名な神社さんは、長蛇の列で私みたいに並ぶのが不得手な人間は
松の内過ぎてから伺うしかありません。

といっても、有名な小さな神社さんは9日でも列が出来ていたそうです。

実を言うと、神田明神さんには用をひっかけて出かけるのです。

以前書きましたが、神田明神下にメンズの和服を商う店が出来て
一度覗きたいのと、鯖の味噌煮を食べたいと書いたら
コメント欄で紹介していただいたお店が、何とその呉服屋の
至近なのです。

衣食と、隣接している便利さ。

鯖の味噌煮はお昼、月2度だけしか出さないというレアもの。
5日間、煮込みに煮込み、骨が口の中でほろほろと
とろける絶品なのだとか。

もともと、あるB級グルメ漫画を読んで、そこに出てきたのが鯖の味噌煮。
それから鯖の味噌煮を求めてさまよい歩き、やっと一軒探し当てたのですが、
更にその上の、5日間煮込んだ味噌煮を試してみたいのです。
明日が月2回の鯖の味噌煮日に当っていたら、奇跡というものですが、
まぁそれは期待薄。12時半にはもう売り切れて、のれんを下げてしまう
のだそうですよ。

明日はお店の下見がてら、鯖味噌煮の情報収集です。最近、肉じゃが
絶品も食したいのですが、そのお店は毎日かどうか出しているそうだし。

「サチコ」の何とかという漫画はテレビ局の人に、私は書かないけど、
企画原作としては面白いから、と教えて差し上げたら早速読んで
くださったのはいいのですが、すでに某テレビ局が原作として
ツバつけているとか。皆さん早いなあ。


メーク術について

2016年01月11日 | 日記

市川雷蔵さんの「眠狂四郎」にはまって、どっぷり狂四郎ワールドに
浸って、さあもう何作品を見たことか。

ある作品の特典映像に、メーク師の方が出ていらしてそのお話が
めっぽう面白かった。高齢の男性である。

昔はスターが自分の顔はやっていたそうで、だからどの男スターも
役柄に関係なく、自分が一番美しい顔に仕上げていたのだと、
口ぶりに批判が滲んだ。

その方が大映に入社した時は、メーク専門の職域がなく、
随分、いじめられたそうだ。

どうも、裏方の世界にはいじめがつきもので、男の世界でもある。
そのメーク師さんが市川雷蔵さんと出会って、花開く。

役柄により顔を変える役者がそれ以降、当たり前になった。

市川雷蔵さんが普段はまるで目立たない地味な人で、街を
メガネをかけて歩いていると誰も気づかなかった、と十人が
十人口を揃えるのだが、私は即解った。たまたま新宿の街で
お見かけしたのが、私が二十代初期の頃である。
視線が引き寄せられるように、雷蔵さんのほうに行った。
ひっそりとした中にも、何かのオーラを感知したのかもしれない。

メーク映えのするお顔だった、とこれも誰もが言う。

次に書く作品で某男優さんに舞台の女形をちょっとやっていただきたく
思っているのだが、その方の女形の顔と佇まいが、まるで
想像できないのだ。綺麗な男が即、綺麗な女形になるとは
限らないのが、悩ましいところである。

梅沢富美男さんには何度か、お目にかかっているがあの方の
落差は有名だ。気性も男っぽく、某劇場で幽霊に頭を
叩かれて(劇場の奈落には出ることがある)キッと、そちらを
睨み、「このやろ、2度死にてえか、ぶっ殺すぞ!」と
怒鳴りつけたというお話は奥様からうかがった。

美輪明宏さんも素顔は男っぽい顔で、性格も女っぽくはない。
楽屋でずっと、メークするところも拝見しているがとりわけ
時間をかけるわけでもなく、「キャンバスに絵を描くのと同じ」
「客観的に描くので、うっとり見入って顔を作ることなんかない」
鏡に向かった姿は、あぐらであった。

共演の踊り子さんに、メークの指導をしているのを私も
興味深く見ていた。眉の描き方の伝授であったが。

そういえば化粧を全くせず、Tシャツにコットンパンツの美輪さんを
知っている人はそういないのではあるまいか。
私は初対面がそういうお姿の時で、古武士みたいな人、
という印象だった。一瞬、物すさまじい目で射抜くように
見られたが、(あ、これは試験されてるな)と直感で解ったので、
目を逸らさず、静かに真っ直ぐ見つめ返していた。
その間、6秒ほど。私の心の中にやましいものがあれば、
目を逸らしていただろう、そんな目の恐さだった。

ふっと美輪さんの表情がなごみ、それ以来、
何十年、とりわけ親しいというわけでもない、元々
「人付き合いは腹六分」がモットーの方なので、つかず離れずで
いつしか時が経った。今でもあの人間離れして強烈であった視線はよく
覚えていて、あの時試験に合格したので、つかずつかず離れず
ながらもまだ、ご縁を頂いているのだと思う。

美輪さんの思想的なことを挙げて、不審がる人もいるが
それも解らなくはないが、普通ある人と付き合うときいちいち
思想チェックしますか、自分とは違う思想だからといって
それまでのお付き合いを捨てますか、と問うことにしている。
美輪さんに初めてお目にかかった時、私はまだ二十代
前半で、思想のかけらも持ってはいず、ただ物知らずの
阿呆であった。思想の如きものを持ち始めたのは
ここ数年のこと、というていたらく。

新成年に対して、「大人になるのは幾つから?」という
問いに、それぞれが21とか26だとか答えているのを
テレビで見たが、私は50歳からだと思う。
世の中も人も俯瞰で眺められるのは、その頃であろうかと
思うが、中には図抜けて優秀な人は勿論いる。

18歳からの投票権に危うげなものを感じもするが、
しかしネットで見ている限り、なまじの大人より
しっかりしているのは、若者ではないかと
思うこともある。身の回り見ても最悪なのは、よくいわれるように
団塊の世代の人たちである。敗戦後の自虐史観の毒に
しこたまやられている人たち。

彼らが投票権を持つ危うさに比べれば、若者のほうが
まだしもであろう、とそう思う。

 

ところで、化粧男子にはもう驚かなくなったのだが、最近の若者は
化粧ポーチを持ち歩いているそうで、これにはコケた。
男女差が近づき、男女兼用化しているのだろうか。
恋人が欲しくない、面倒くさいが男女ともに50%前後、で
これにも驚いたが性本能も淡くなっているようである。