漫画家を目指す人へ

漫画家を目指す人へ参考になれば。

就職をどうするか

2012-03-03 20:43:15 | ■漫画家志望の進路の考え方

最初に書いておきますが・・・私は就職したあとに漫画家を目指すことになり、ずっと正社員と両立していました。

その経験から言いますと、けっしてオススメしません!

やっぱり難しいです。時間的にも精神的にも。もちろん「社会人経験があった方がいい」とかそういう意見もあるでしょうが、そういうプラス面を考慮しても、漫画に24時間つぎ込んでいる人間に勝つのは至難の技です。

ただ、社会人になる年齢で、漫画がサッパリ実績出してないのに、いきなり漫画家一本に突っ込め、というのは他の記事に書いているように、ある程度社会を知っている人間として、到底応援できません。かなりの確率で将来えらいことになりますから。

なので、私が言いたいのは、社会人になる年齢の前に、デビューして連載のメドつけて、漫画家として仕事を軌道に乗せてほしい、ということです。

まずはそれを目指してください。だからあちこちに急げ急げと書いているんです。高校くらいから本格的に持ち込み開始すれば夢ではありません。

でも、目指してもうまくいかないことはあるでしょうから、そういう場合のお話を書きます。

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高校、専門学校、大学などを卒業し、進学しないことが決まっている場合。
漫画家志望者の皆さんは「就職するかどうか」で多少は悩むと思います。

悩まない!当然漫画一本に絞る!という方はここを読む必要はありません。
ただ、漫画である程度の結果を出していなければ、かなりリスクの高い道になります。このカテゴリの最初の方にかいたとおり、せめてデビューくらいはしていないと厳しいことは覚悟していましょう。

 

で、漫画一本に絞る覚悟や気合が持てない・・・という方は、次のいずれかを選ぶことになるのではと思います。

 

1.就職と漫画を両立させる。

私がやっていたのはこれです。
私の場合は、会社員になってから漫画家を目指しましたので、若干順番が違いますが、会社員と漫画をずっと両方やっていました。
メリットデメリット当然あります。また、それをメリットとするか、またデメリットとするかは、本人や環境に左右されます。

 

メリット:
1.収入が安定・経済的自立ができる。
2.一定の社会的地位が得られる。
3.将来の計画がたてやすい。
4.福利厚生等会社がらみの手当てを受けることができる。

1.が一番大きいですね。あと2.も地味に大きいですが、これは当人の性格次第でしょうかね。周囲に何と思われても気にしないタイプなら問題ないでしょう。

3.については、漫画家という職業はどこまでいっても不安定なので、会社員のような将来設計がしづらいのですが・・・正直、いつか漫画一本に絞るのであれば今現在会社員であっても同じなので、それほど利点にはならないかもしれませんね。
4.は、たとえば親の扶養から外れると、自分で保険入らないと病院行ったとき保険きかなくなります。
この保険がけっこうお高くて、ちょっとしたバイト代なんかふっとんでしまいます。(会社員なら会社が半分負担してくれることが多いです)私は一度派遣社員になることを検討したことがあるのですが、これがネックになってやめました。

 

デメリット:
1.漫画にかける時間が圧倒的に少なくなる。仕事と漫画以外のことはほとんど何もできない。
2.経済的に安定するため、ハングリー精神がなくなり、冒険が怖くなる。
3.新人までは両立できても連載作家になるとほとんど無理なので、どうせそこで漫画一本に絞るかどうかで悩むことになる。

1.が一番大きいように思えるかもしれませんが・・・私は実は一番大きいのは②ではないかと最近思います。
本気でさえあれば、人間、時間はどうにでもして作ります。私も毎日深夜1時2時に帰宅、朝7時に出社するような生活で、年10回くらい投稿なんて無茶をやってました。このときも会社員でしたが、とにかく仕事がキツくて辛くて、そのストレスを全部漫画にぶつけていたんだと思います。ある意味ハングリー精神があったのでしょう。
気力があれば、時間的なことは(ある程度までは)なんとかなります。

でも、気力がしおれてしまえば、時間があっても描けません。
また安定した生活に慣れてしまえば、どう転んでも不安定な漫画家一本に絞る勇気も持てなくなります。特に年くえばくうほど、現実見えてくるし、守るものもできてくるのでなおさらです。

なので1.に耐えながら、2.の状態になるまでに連載をもぎとり、③で漫画家への道を選ぶのがベストでしょう。

 

で、もう一つの選択肢です。これも選ぶ人は多いのではと思いますが。

 

2.期限を決めて漫画一本に絞り、●歳までに漫画があるライン(デビュー、連載、など)に達しなかったら、漫画は諦めて就職する。


メリット:
1.期間設定をすることで、背水の陣で頑張れるかもしれない。
2.一時期でも漫画だけに打ち込んだ時期を作ることで、うまくいかなかったとしても自分を納得させることができる。
3.期間設定をすることで、親などの説得をしやすい。
4.ある程度の人生設計はたてやすい

正直、タイプによりけりですね。
プレッシャーで頑張れる人はいいかもしれません。


デメリット:
1.期間が過ぎても結局諦められず中途半端になる可能性がある
2.期間設定がかえってプレッシャーになり、作品が描けなくなる・質が落ちる人もいる。
3.新卒以外の会社員未経験者の就職は厳しく、いくら期間設定をしてもそのとき新卒でなければ、安定した就職はできない可能性がある。

怖いのは1.と3.ですね。
実は私も当初仕事をいったん辞め「一年」と期限を決めてやるつもりでしたが、友人から「一年くらいで諦めるようなものなら、最初からやめとけば」と言われ・・・。結局仕事は辞めずに投稿を続け、一年たったころも、まったく諦める気にはなれなかったので・・・。
そういう意志の弱い人は、最初から両立するか、一本に絞るか、どっちか決めた方がいいと思います。まあ意志の弱い人は一本に絞る勇気もないでしょうから、結果的には両立しか選択肢がないのかも・・・。

3.について、会社員としての立場から言うと、日本では「未経験者でも正社員として就職できる」のは、圧倒的に新卒までです。何度も書いたとおりです。
なので、なるべく確実に就職したいなら、結局卒業時に就職するのが一番なんですよね。

でも、どうしても卒業後すぐに就職する気になれない、とにかく漫画一本でしばらく頑張ってみたい、というなら、24歳くらいまでをメドに頑張ってみて、ダメだったら25歳くらいで必死で就職活動するといいと思います。
そのくらいの年齢が、就業経験なしでまともに就職できるほぼ最後のチャンスです。
それでも、新卒とは比べ物にならない、つらい就職活動になるでしょうが・・・。これ以降になると、本気で厳しくなるというか、ほとんど無理みたいな感じになってくるので、まだマシというか・・・。
コネがある場合は別ですよ。


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