漫画家を目指す人へ

漫画家を目指す人へ参考になれば。

絵に関係した仕事につきたい ・・・?

2012-03-10 09:46:03 | ■漫画家志望の進路の考え方

 ここを読むような人は、漫画なりイラストなりが好きな人がほとんどだと思いますが・・・・・はっきり言っておきます。

世の中、「絵に関係した仕事」で、「安定した普通の待遇の仕事」というのはそう多くはありません。


ほとんどの仕事は安定していなかったり、待遇が低かったり、死ぬほど残業があったり、安定していないうえに待遇も低かったりします。
漫画家、イラストレーター、デザイナー、アニメーター、画家などはほとんどそんな仕事です。


漫画家、イラストレーター、画家

自営業ですので、安定とは正反対です。漫画家として食べていけるようになるのがどれくらい大変かは他に書いていますが、実はイラストレーターや画家のほうが食べていくのは相当に大変です。

画家はわかりますよね。正直私はこの人たちがどうやって食べてるのかさっぱりわかりません。だいたいお金持ちの家の人が多いですね。

イラストレーターですが、イラストだけで食べていける人って相当に少ないです。ほとんどの人は、他の仕事と兼業しているか、親や配偶者に生活の面倒をみてもらってるか、という感じですので、「漫画家かイラストレーターに」とか考えている方は注意してくださいね。どっちに転んでもまともに食っていけるような仕事ではありません。

 

デザイナー、アニメーター

このあたりは一応就職する仕事ですので、相応の学歴があり、実力次第では、とりあえず会社員として安定はします。(ただ、アニメーターは確かほとんど契約社員で、歩合制だったと思います。しかも基本給がほとんどなく、完全歩合というような形態で、福利厚生もたいていなかったような・・・・ということならば、もうそれはほとんど社員ではないかも・・・。)

私はデザイナーの経験はありますが、こちらはまともな待遇の会社はかなり少ないうえ、待遇がまともであっても、過労死するレベルの残業がある会社がほとんどです。私や友人の多くは身体を壊すか、壊す寸前までいって退職することになりましたので。それくらい残業しても、残業代が出ないのも普通です。(泣)。産休や育休などもとれないところが多いので、女性の場合結婚したり子供がほしいなら、そこで終わりになることが多いです。

アニメーターは調べてみればわかるとおもいますが、20代の年収が100万程度、30代で200万程度ということなので、到底自活できません。30代までずっと実家にパラサイトできる人しか続けられないでしょう。30代でも自活できないレベルの年収って、かなりキツいです・・・。もう結婚や子供どころの話じゃないです・・・。

 

 

もちろん、「まともな待遇の仕事」がまったくないわけではありません。そうですね、大企業のデザイナーなどは少なくとも安定して待遇はよいはずです。残業は死ぬほどあるかもしれませんが。

しかし、そういう「楽しくてよい仕事」は倍率もすさまじいです。

かなり上位の美大・芸大の中でもトップクラスの人間くらいでしょうかね。そういうところに就職できるのは。

なにせ倍率1000倍だったりしますから。

漫画家として成功するのと同じくらいの競争率です。

当然すさまじい画力や、職業によっては、高い学歴や実績も必要です。何より運が必要です。

普通の人が普通に真面目に頑張っただけでは、そんな仕事には就けません。

漫画家と同じく、才能や運に恵まれた上に、努力でき、行動力もある、「一部の特殊な人」しかそういう仕事には就けないのです。

今は普通の人が、別に楽しくなくてもせめて「普通」(そこそこ安定して、ちゃんと自立して生きていける程度の収入のあるような)の仕事に就くことすら困難なのですから。

ゆとり教育の弊害なのかもしれませんが、高校生くらいになってもまだ、「たいした努力もせず、才能がなくても、自分にはたのしくて、やりがいがあって、安定して、普通程度の待遇の仕事に就く権利がある」と信じ込んでいる人がいるようですが、残念ながら今はもうそういう世の中ではありません。

たいして努力せず才能もない人間は、つまらなくて待遇も悪い仕事にでも必死でしがみついていかないと生きていけないような世の中なんです。

そのことをよく覚えておいて、中高生の、今ならまだ間に合うこの年齢のときに、必要な努力をちゃんとしておいてください。

 

なぜこんな夢のないことを言うかといいますと努力もせず才能もたいしてないのに、安易に絵に関係した楽しい仕事に就けると思いこんで、安易にゲームやイラスト、漫画などの専門学校に進んでしまう人がいるからです。

これは専門学校側も悪いんですけどね。ほとんどの人はそんな学校に通ったって、フリーターかニートにしかなれないという事実を教えてくれませんから。専門学校の出してくる就職率って嘘ですから気をつけてくださいね。フリーターや家事手伝いまで就職にいれているような学校もあるようですし。

「漫画専門学校について」に書いてますが、漫画やイラストは専門学校に行ったってほとんど無意味です。
ゲームは就職する仕事なので、学歴として使える分多少はマシですが、それでも学年トップレベルの人間ですら思うような就職はできません。
なんとなく入学したような人は、まずまともな就職はできません。

高校から何百枚もデッサンや色彩構成をこなし、予備校に通い、同じレベルの学生にもまれながら、すごい倍率の美大や芸大に合格して、そこでさらに高レベルの環境で切磋琢磨してきた、美大生や芸大生だって、そういう仕事にはほとんどつけないんですよ。

金さえ出せば誰でも入れるような専門卒の人間が、そういう仕事に就けるわけがないってことくらい気がつきましょう。

なお、別に「専門卒だから、そういう仕事につけない」わけではないです。

専門卒でも立派な漫画家もイラストレーターもゲームクリエイターもいます。

私も活躍中の漫画家さんやイラストレーターさんで専門卒の方のコメントを見たことが何度かありますが、たいていそういう方たちの専門学校に対するコメントは「友人ができた」「人脈ができた」です。なかにははっきり「無駄だった」と言い捨てた人もいますが・・・。

とりあえず、専門学校のおかげで「画力があがった」「漫画が上達した」というような「その職業に必要なスキルが身についた」というコメントは見たことないです。

みなさんは専門学校のHPなどで、そこの卒業生のクリエイターの名前をみて、「自分もここに通えばこういう風になれるのかな」と期待してしまうかもしれませんが、そのクリエイターさんは専門で技術を磨いたんじゃありません。自力で磨いたんです。自力で磨けない人は専門に行っても無駄です。

私が要注意だと思うのは、そういう、「自分では何もしないくせに、とにかく学校に頼ろうとする」タイプの人です。


特に家が裕福でない方は気をつけなければなりません。
家庭環境に恵まれていないということは、いざというときバックアップがないということです。
何が何でも「食っていける」ようにならないと、本当に将来生きるか死ぬかという目にあいかねません。
生活保護だっていつまで持つ制度かわかりませんし。

だいたい、昔から、絵描き業なんてものは、働かなくても遊んでくらせるようなお金持ちの坊ちゃん嬢ちゃんが、親に高額な学費を出してもらって美大芸大で優雅に学ぶか、あるいは、貧乏でも才能と実力と根性に溢れた天才が、のたれ死ぬ覚悟で自分の腕一本をもって、世間に実力を認めさせ、パトロン(自分の才能を見込んでお金を出してくれるスポンサー)を自力で見つけて成り上がるか。


そういう、「ある程度才能ある金持ちか、命がけの天才か」どっちかしかなれないような職業なんです。

金持ちでもなく、天才でもなく、大して才能があるかもわからず、命がけというほどの覚悟もないような人間が、「好きだから」というだけの理由で気軽に目指していい仕事ではないのです。

個人的に、絵に直接関係していて、「普通の人」でもある程度の努力でなれて、安定してまともな待遇で働けるのは、学校の美術教師くらいだと思っています。
私は美術系の大学を出ていますが、まともな働き方ができているのは美術教師と、絵に関係ない仕事に就いた人だけです。

ただ、美術教師だって採用試験に合格するにはそれなりに大変です。友人が二人採用試験に合格していますが、1~2年は専用の予備校に通って勉強漬けでした。そのうえ相当な倍率の面接を潜り抜けてのことです。

漫画家やイラストレーターとして成功するのに比べたら簡単というレベルの話であって、「誰でも努力しなくてもなれます」ということではありません。

 

ですので、本気で絵に関係した仕事に就きたいなら・・・

中学生くらいから、具体的にどういった仕事に就きたいのか、きちんと定めて、高校生ではその仕事に就くためのちゃんとした道筋を調べ、漫画家なら持込を開始、イラストレーターならコンペなどに応募、美大や芸大の予備校に通い、デッサンや色彩の基礎能力を身に着ける、海外で活躍したいなら英語、学歴が必要な仕事なら勉強して必要な学歴を目指す。

そういった努力をしてくださいね。

高校3年にもなってから「何か絵に関係した仕事につきたいのですが、デッサンとかできないので美大とかは無理です。イラストレーターの専門学校に行こうと思っていますが、イラストレーターの就職率はどれくらいですか?」なんてお馬鹿な質問をしないでくださいね。
(この質問のどこがお馬鹿かわからない人は、絵の道は諦めて堅実な道を行ってください)


こういう人は「何か絵に関係した仕事」なんかに就けませんからね。やりがいとか、楽しさとか、そんな贅沢を仕事に求めちゃいけません。何でもいいからとにかく堅実な仕事に就ける道を必死で探ってください。高3にもなるまで、まともな努力をしてこなかった自分が悪いのです。

どうしても絵をあきらめきれないなら、ちゃんと堅実な仕事についたうえで、両立して目指してください。

今まで努力してこなかったんだから、せめてその程度の努力はしましょう。


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