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ヒトリシズカ特論 その2

日本の四季の移り変わりなどを、身近な場所に行って、その場での観察などによって、ご紹介しています。

人気ミステリー作家の伊坂幸太郎さんの単行本「逆ソクラテス」を何回か読んだ話です

2020-07-29 12:00:05 | 
 人気ミステリー作家の伊坂幸太郎さんの最新刊の単行本「逆ソクラテス」を何回か読んだ話の続きです。

 この単行本「逆ソクラテス」は、集英社が2020年4月30日に発行したものです。



 この単行本「逆ソクラテス」には、5編の短編が収められています。後半の「非オプティマス」「アンスポーツマンライク」「逆ワシントン」の3篇は、この単行本のために書き下したオリジナルです。

 この後半の3篇は、同工異曲のような話です。主人公は小学生の高学年の仲間です。この主人公の小学生たちはいろいろと考え、体験します。“大人の人間関係”の入り口を体験します。

 短編の「非オプティマス」の中では、担任のやや気弱な教師と見られていた久保先生が「みんなに覚えていてほしいことは、人は、ほかの人との関係で生きている、ってことだ」といい、いくらか話をした後で「人が試されることは、だいたい、ルールブックに載っていない場面なんだ」と話します。

 他人に迷惑をかけることの意味合いを、小学生にかみ砕いて伝えます。

 短編「アンスポーツマンライク」では、バスケットボール競技での、スポーツマンらしくないファールの“アンスポーツマンライクファール”をしてしまった小学6年生のバスケット仲間との話です。

 バスケットボール競技のチームメイト5人は地元の中学から、それぞれ別々の高校に進学し、久しぶりに再会し、小学校6年時の試合を振り返ります。

 その帰りに、無意味に弱い者を傷つけている犯罪者に出会い、この5人でこの暴漢を倒します。久しぶりのチームプレイでした。

 さらに、数年後にこのチームメイトは再会します。バスケットボール競技のコーチングでは「型に嵌(は)めようとする指導者が多い」などと、子供の教育法を語ります。

 このように書くと、この短編集は人間の生き方の教育法をストレートに書いているようにお感じでしょうか、短編のストーリーは複雑で話の展開が簡単には読めません。

 この後半の「非オプティマス」「アンスポーツマンライク」「逆ワシントン」の3篇を読んで、作家の伊坂幸太郎さんは小学生時代からあれこれと考え、1971年生まれなので約50歳になっても悩み続けている様子が分かります。

 こうした話の流れは、伊坂幸太郎さんの小説のテイストでは珍しいものです。軽い味わいで、話の流れが変化に富むというこれまでとは、違うものです。
 
 この短編集は、人気ミステリー作家の伊坂幸太郎さんの変曲点なのかもしれません。

 2010年代を小学生で過ごした子供たちは、昔と違って、スマートフォンを持ち、SNSを駆使し、Webサイトを閲覧しと、それ以前の昔の小学生と違って情報にあふれている世界を生きてきました。昔のような小学生とは違う、人生観を持って成長したことと思います。

 前回、この伊坂幸太郎さんの最新刊の単行本「逆ソクラテス」をご紹介したには、2020年7月8日編です。ご覧ください。

人気ミステリー作家の伊坂幸太郎さんの最新刊の単行本「逆ソクラテス」を読み終えました

2020-07-08 12:00:05 | 
 人気ミステリー作家の伊坂幸太郎さんの最新刊の単行本「逆ソクラテス」を何回か読みました。

 この単行本「逆ソクラテス」は、集英社が2020年4月30日に発行したものです。



 人気ミステリー作家の伊坂幸太郎さんの最新刊なので、東京都内の大型書店では、5月には平積みされて、目立つ場所に置かれていました。

 この単行本「逆ソクラテス」は5編の短編で構成されています。この内の「非オプティプス」などの3編は書き下ろしです。この書き下ろし3編にまず感心しました。

 この単行本の表題になった「逆ソクラテス」は、権威的な小学校教師の担任の久留米をぎゃふんといわせる物語です。担任の久留米は“絶対的に正しい存在”として振る舞っていました。

 小学生の個性や意見を軽視している権威主義あるいはあまり何も考えていない担任の久留米は優等生の子を盲目的にかわいがり、成績のよくない小学生を大人として高圧的に見下す大人です。

 主人公の加賀は、担任の久留米が草壁という平凡な子どもを見下して接することに不満を感じていました。単純にものごとを決め付けて、それを小学生に押しつけていました。

 この「逆ソクラテス」という題名は、ギリシャの哲学者だったソクラテスは「自分は何も知らない」という非権威主義者として、何でも疑って考えたということから、権威主義の担任の久留米は非ソクラテスだという意味です。

 主人公たちは、成績が普通の草壁に、チームプレーでテストの回答を密かに渡して高得点を採らせます。この時には、優等生の美女の同級生も協力します。そして、このチームプレーは安斎という個性的な子どもが計画し、実行します。

 話は進んで、プロ野球選手が、この小学校にやって来て、草壁のプレーを見学します。

 担任の久留米は「草壁は平凡な選手」と決めつけています。しかし、プロ野球選手は「草壁は野球の才能がある」と評価します。

 時間は進んで、この草壁はプロ野球の選手として、渋い守備の名手になっていることを、主人公はテレビ観戦しています。才能が確かにあったようです。

 この短編の物語の進行役の主人公は、小学校、中学校、高校、大学と進むと、次第に平凡な成績の学生になり、ごく平凡な社会人になったと書かれています。なかなか意味深な結果です。

 また、個性的だった小学生の安斎も小学校をすぐに転校し、行方不明になります。
 
 この当たりの落ちが意味不明です。でも現実社会とはこんなものです。

 この短編「逆ソクラテス」を読み、小学校時代の同級生の変遷をいろいろと考えました。なかなか複雑な思いです。

 この「逆ソクラテス」は、文体がミステリー風ではなく純文学風になっています。ここがやや不満なところです。伊坂幸太郎さんの文体は変わるのかどうかが一番、気になっています。

作家の池澤夏樹さんが書いた単行本「ハワイイ紀行」を現在、探しています

2020-05-25 00:00:05 | 

 作家の池澤夏樹さんが書いた単行本「ハワイイ紀行」を現在、探しています。書庫のどこかにあるはずなのですが。

 外出自粛によって、晴耕雨読ならぬ、“晴読雨読”の日々です。

 この単行本「ハワイイ紀行」を思い出したのは、2020年4月11日に発行された日本経済新聞紙の土曜日版で、旅行記の本として、確か第8位あたりで紹介していたからです。この表紙は、のちに出た文庫版のものです(単行本は既に廃刊になっている模様です)。

 この単行本「ハワイイ紀行」は雑誌「SINRA」に連載されたハワイ諸島のハワイ島こそが南国ハワイを楽しめる島だという内容の旅行記です。単行本はとても分厚く、読み切るには時間がかかります。でも中身が面白いので、読み切ります。

 ちなみに「ハワイイ」とは現地の方の発音が「ハワイ」ではなく「ハワイイ」だからだそうです。

 小説家の池澤夏樹さんは小説「マシアズ・ギリの失脚」で谷崎潤一郎賞を受賞するほどの、南洋諸島好きです。ミクロネシアの島には米国系の航空会社が飛んでいる島すべてに行ったというほどの島好きです。日本の沖縄にも10年ほど、お住まいです。

 その島好きの池澤夏樹さんがハワイ諸島の魅力は“ビックアイランド”のハワイ島にあると気づいて、約2年間、ハワイ島に通ったというルポルタージュの旅行記です。

 約30年ほど前に、ハワイのワイキキ島には観光に行きました。定番のワイキキ市辺りを1週間ほど観光しました。

 わずか1日だけ、オプショナルツアーでハワイ島に行ったのですが、現地のエアラインのハワイアンエアーが出発が遅れて、ハワイ島の火山部分と海岸を駆け足で観光しただけです。

 この単行本「ハワイイ紀行」が発行された直後に読んだ記憶では、ハワイ島はハワイの元の住民が楽しく生活してます。コナ市も観光地として面白い場所のようです。

 池澤夏樹さんは、南国らしい暮らしぶりを、住民の方にインタビューし、生活や文化、歴史などをまとめています。日本人が持っているハワイのイメージとは異なる文化を描いています。

 ついでに、池澤夏樹さんが書いた旅行記では単行本「パレオマニア 大英博物館からの13の旅」が白眉です。

 月刊誌「日本版PLAYBOY」誌に連載した遺跡巡りの旅行記です。大英博物館に展示されている像などを出発点に、その展示物のルーツとなった遺跡などを探る博物誌です。

 実は、この遺跡巡りの旅行記「パレオマニア 大英博物館からの13の旅」の単行本も見つかりません。かなり大きな判型の分厚い単行本なのですが・・。

  なお、2020年4月11日に発行された日本経済新聞紙の朝刊の付録の土曜版「NIIEI プラス1」の1面のテーマは「読めば家でも旅気分」ということで、旅情が味わえる紀行文学でした。この旅気分を味わえる単行本として、池澤夏樹さんが書いた単行本「ハワイイ紀行」が紹介されていました。


沢木耕太郎さんの単行本「深夜特急3」を読んだことを思い出しています

2020-04-16 00:00:05 | 

 新形コロナウイルス対策の緊急事態宣言によって、不要不急の移動を制限されているために、書店に行けず、困っています。

 ふだんは東京都豊島区の池袋駅近くか、千代田区内幸町近くか、千代田区丸の内の大型書店で主に本を買っているのですが、どの書店もやや混雑する場所に近いために、近づきにくい状況です。

 それこそAmazonのWebサイトから注文すればいいのですが、お目当ての本の購入と同時に、平積みの新刊を見て、他の単行本を選ぶ作業が好きなので、書店に行きたいのです。

 2020年4月11日に発行された日本経済新聞紙の朝刊には土曜版「NIIEI プラス1」という別釣りが付録として付いています。

 この時の「NIIEI プラス1」の1面のテーマは「読めば家でも旅気分」ということで、旅情が味わえる紀行文学でした。

 その紀行文学のお薦めの第一位は、開高健さんの「オーパ!」です。集英社から発行されています。確か、月刊誌日本版「プレイボーイ」の連載ものだったと思います。時々、読んだ記憶があります。

 そして第二位は、沢木耕太郎さんの「深夜特急1」です。香港から始まり、マカオから乗り合いバスを利用するバックパッカーものです。この沢木耕太郎さんの「深夜特急1」は記憶に残っています。

 この沢木耕太郎さんの単行本「深夜特急1」(1986年5月1日発行)はいつ、どのように読んだのかは覚えていません。その次の「深夜特急2」もどのように読んだのかは覚えていません。

 中身は何となく覚えています。まだ外国旅行に仕事でしか行ったことがない時で、中身は面白かったですが、具体的な影響は受けていません。当時は、同級生の何人かが貧乏海外旅行に出て、戻って来ていました。

 沢木耕太郎さんが26歳のころの1970年代初めに、香港からインドに向かい、ここからさらに西に向かいます。たぶん、1米ドルが360円かどうか辺りのころです。海外旅行はまだ高値の花でした(沢木さんの旅行した時点では、クレジットカードも事実上はまだなく、トラベラーズ・チェックか現金の時代でした)。

 一番記憶に残っているのは、単行本「深夜特急3」です。単行本「深夜特急2」で途絶えていた旅行記を、最終版として書き上げた話題作でした。

 単行本「深夜特急3」は1992年10月25日に発行されました。個人的には、この単行本が発行された時には、欧州のフランスやスペイン、ドイツ、スイス、イタリアに個人旅行などで行っていて、昔の若者の貧乏バス旅行の中身を知って、その時点との旅のやり方の違いにやや違和感を感じたものでした。1992年当時はたぶん、1米ドルが100円前後程度でした(1985年9月22日のG5によるプラザ合意以降の急激な円高によって・・。また急激なグローバル化によって)。

 この単行本「深夜特急3」は発行直後に購入し、たぶん1日か2日で読み終えています(当時は、多忙で速読が得意だったので)。

 何となく面白かったけれど、やはり旅行記を書くのがやや遅かったと感じました。当時の旅行に出かける事情と、この単行本発行時の1992年では、事情が様変わりしていたからです。

 今回、書庫の中を探してみたのですが、記憶した場所には、単行本「深夜特急3」はありませんでした。

 現在は、「深夜特急」は単行本ではなく、文庫本全6巻として発売されているそうです(あるいはたぶん電子版に)。

 現在、読み進めている翻訳物ミステリー本は、なかなか一気に読み進めることができず、他の本を読んだりして中断しています。