八十八夜

学生時代から大好きなマンガの2次小説です

まやかし婚152

2022-03-12 08:00:00 | まやかし婚(完)

 

 

道明寺に強く引っ張られる私の両手首。

このままだと、また道明寺の胸の中に入ってしまう。

 

手は使えない。

私は道明寺のお腹を目がけて足を蹴り上げた。

 

ズキン!

片足に体重が集中したからか、足の裏に痛みが走る。

あっ!

私の足、今、ボロボロだったんだ。

 

同時に視界に入る、ベージュ色のスカート。

ふんわり舞うスカートの裾から、私の太ももがっ!!

これ以上、振り上げたらパンツが見えちゃう!

 

 

 

俺が好きだって気持ちだけは、信じてもらいてー。

滋と紀明のことも、まだ一言も伝えられてねーんだ。

俺は、牧野の両手首を強く引き寄せた。

 

この時、俺の視界に入ってきた────。

ふわって舞い上がるベージュ色のスカート。

こいつの真っ白でやわらかそうな太もも。

 

俺は、自分の目が見開いたのがわかった。

牧野の太ももばかりを見ていたんだろう。

だから、見えていなかった。

 

次の瞬間!!

俺から漏れた言葉にならねー言葉。

「あ““!!!#$%&¥」

 

なんだ?この痛みは?

俺の急所は、なんでこんなに痛いんだっ!?

 

痛すぎて、その場にうずくまる俺。

不覚にも、目に涙が浮かんでくる。

 

 

 

えっ!?嘘っ!!

目の前の道明寺がうずくまる。

 

私の蹴り上げた足は─────。

道明寺のあのその、そのあの…。

えっと、大切な部分にあたってしまったの。

 

どどどど、どうしようっ。

やばいっ!!

ヤバイよね!?

 

うずくまっているよ。

道明寺の目には、うっすら涙が浮かんでいる。

 

まさか、まさか…。

あんなところを蹴ってしまうなんて、思ってなんてなかったのー!!

 

道明寺のお腹を狙ったつもりだったのに!

足が痛いのと、パンツが見えちゃうって思って角度を変えたのが悪かった。

 

小さい頃、進のことも蹴ったことがあった。

あの時の進はすごく泣いて…。

 

『ムチャクチャ痛い。』

って言っていたのを覚えている。

 

ママなんて悲壮な顔して

『男の子の大切な所を蹴ってはいけません!』

って言っていた。

 

どうしよう…。

うずくまったまま動かない道明寺。

 

痛すぎて動けないのかな?

使えなくなるとか?

えっ?何に。

 

その…。子孫が残せなくなるとか?

ギャー!

そんなことになったら大変っ!

 

 

 

「ごめん。道明寺。大丈夫?」

うずくまっている俺の隣にきて声を掛けてくる牧野。

 

大丈夫なんかじゃねー。

一瞬、二度と使えねーんじゃねーかって思ったんだぞ。

まだ、使ったことねーけど。

 

いや…。

毎日、使ってはいる。

脱童貞してねーってだけで。

 

「本当にごめんね。わざとじゃないの…。大丈夫?」

心配そうな牧野の声。

 

わざとじゃなかったら、殺意抱いているっつーんだ。

大丈夫だけど、大丈夫じゃねー!

人生最大の痛みだぞ!

想像を絶する痛みなんだからなっ!

 

 

 

よりによって…。

なんで、あんなところを蹴ってしまったんだろ。

お腹とかだったら見られたのに…。

いくら心配でも、あんなところ見られないよ。

 

一度見たことあるけど、あれは不可抗力だったから仕方無いよね。

あの衝撃的な大き…。

 

ぎゃー!

私、何を思い出しているのっ!

 

まだうずくまっている道明寺。

やっぱりすごく痛いんだよ。

本当にどうしよう…。

 

それなのに、急に立ち上がった道明寺は

「お前、先に風呂に行って来い。俺は、後でいい。」

こう言ってリビングへ移動した。

 

すごく心配だけど…。

なんとなく道明寺の言うとおりにした方がいいように思った私は、急いでお風呂に向かった。

 

お風呂を出て、道明寺を見に行くと…。

道明寺はいつものようにリビングのソファーで座っていた。

そんな道明寺の姿を見て、本当に安心した。

 

 

 

さすがに、こんな状態を好きな女に見られたくねー。

こう思った俺は、牧野に先に風呂に行くように伝えた。

リビングのソファーに移動し、横になっていると痛みが引いてくるのがわかった。

 

しばらくすると、牧野がスゲー顔をしてリビングに入ってきた。

基本、こいつは入浴後にリビングに来ることは無い。

 

それだけで、俺のことを心配してくれているのがわかる。

その証拠に、牧野は俺を見るなり、ホッと安心したような顔をした。

 

今のこいつは、淡い水色に雪の結晶の柄のフリースのパジャマ。

スゲー可愛い。

 

こいつはソファーでは無く、俺の足元に座り────。

「道明寺、ごめんね。もう痛くない?」

って、心配そうに聞いてきたんだ。

 

 

 

 

お読みいただきありがとうございます。