東京を襲った大空襲により、せっかく翻訳した原稿が燃えてしまいます。
しかし、心配する英治の言葉に花子はこう言うのです。
「原稿はまた書き直せばいいのよ。]
「この原書と辞書がある限り、大丈夫。何十回爆弾を落とされようと、私、この翻訳を完成させるわ。私に出来る事はこれだけだから。」
泣けてきますねこの言葉…。
てっ!小さいはなじゃん。いつ来たでぇ。
ほうか、このはなが苦労して修和女学校で勉強したから今の花子があるわけで、
"Anne of Green Gables”も世の中に出せるちゅうこんだね。
ふんじゃあ、 小さい花子に、この本がどんな話かおせえてやってくれちゃあ!
(話し出す花子) 主人公は赤毛で、そばかすだらけの女の子、アン・シャーリー。生まれて間もなく両親を亡くして、孤児院へ預けられたアンは、ふとした間違いで、男の子を欲しがっていた、マシュウと、マリラという兄妹のおうちへやってくるの。マシュウは、働き者で、無口なおじいさんなんだけれど、アンの事がとっても気に入ってしまって、マリラにこう言われるの。「マシュウ。きっと、あの子に魔法でもかけられたんだね。あんたがあの子をこのうちに置きたがっているって事が、ちゃ~んと顔に書いてありますよ」。「そうさな。あの子は、ほんに面白い子供だよ」って。
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こうしてこの物語は始まります。貰われた家のマシュウは、お爺やんによく似ていました。「この他にも花子とアンは似ているのよ」と、大きいは花子は小さいはなに話して聞かせます。
(花子) あなたとアンは、似ているところがたくさんあるの。アンは、11歳の時に、一人でプリン ス・エドワード島にやって来るんだけど…。
(小さいはな) おらが修和女学校にへえった時みてえに?
(花子) そう。その日から、アンの運命は、大きく変わっていくの。
(小さいはな) てっ。アンって、 ふんとにおらにそっくりじゃん。
(花子) 本当に私たちにそっくりなの。
(小さいはな) 花子! この話はいつ本になるでえ?
(花子) それは…分からないの。本に出来るどうかも分からないわ。
(小さいはな) ほれなのに、 花子はどうして翻訳なんしてるでえ?
(花子) それはね、私の中にアンが住み着いていて、絶えず私を励ましてくれるから。先の見えない不安な時でも、アンは決して希望を見失わず にこう言うの。
「曲がり角をまがった先に、何があるかは分からないの。でも、きっと一番よい ものに違いないと思うの」って。
こうして、花子は希望を失わず、曲がり角の先にあるものに希望を託すのです。