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映画『恋の罠』 果たして、艶本執筆は作家の真髄か!?

2008年01月31日 | 映画

(C) 2006 IM Pictures Corp. All Rights Reserved.

出演:ハン・ソッキュ『シュリ』
イ・ボムス『スーパースター☆カム・サヨン』
キム・ミンジョン『僕らのバレエ教室』
監督・脚本:キム・デウ『スキャンダル』

2006年/139分/韓国/カラー/シネマスコープ/ドルビーデジタル/R-15
韓国原題『淫乱書生』음란서생/英題『Forbidden Quest』
日本語字幕:大塚毅彦


4月5日より公開の韓国映画『恋の罠』、見てきました
ヒロイン役がキム・ミンジョンで時代物ということで、韓国公開当時から
ずっと日本での上映を楽しみにしてきました。


主演は、『シュリ』、『8月のクリスマス』、『二重スパイ』などの
演技派俳優のハン・ソッキュ。
彼扮する、貴族の青年、キム・ユンソと美貌の王妃、チョンビンとの
スキャンダラスで雅な宮廷絵巻・ラブストーリー……と思って
この映画を見た人は、「えっ!?」と絶句することでしょう(笑)。


宮廷ものといえば、ペ・ヨンジュン主演の『スキャンダル』がありますが
あちらは韓国版『源氏物語』風なのに比べ、『恋の罠』は
と~てもマジメにと~てもくだらなく、エロ小説執筆と出版に奮闘、夢中になる
男たちを描ききった作品なのです。
そもそも原題が『淫乱書生』ですからね(爆)。
アッパレなネーミングですな


舞台は李朝時代。
物語はフィクションです。
名文家として広く知られつつ、保身に走る臆病者と陰口を叩かれるキム・ユンソ(ハン・ソッキュ)。
ある事件をキッカケに王命を受けたことから、エロ小説の世界に魅入られてしまいます。
その一方で、王の寵愛を受けながらも、真実の愛を求め
「欲しいものは全て手に入られずにはいられない」という業の深い
美しい王妃、チョンビン(キム・ミンジョン)に見染められる事に。


もうね、ホント、バカバカしいのですよ
楚々と、そして、ぼんやりと育ってきたいい年した貴族のおぼっちゃんが
書写職人(キム・ギヒョン)から見せられた巷で人気のエロ小説の一文を読み、
目を背けながらも「戯作者の真髄は、夢の中でしか味わえないものを
描くことだ」と聞き、啓蒙していっちゃうのね。


彼がこれまで書き綴ってきた情緒的で優雅な文章に比べ
そこには「××××××男の××を××××××女の陰部に~」と
卑猥な言葉が並んでいるのですが、ユンソの脳裏からずっと離れなくなってしまう。


紙に向かえば、ついつい「陰部、陰部、陰部」と筆を走らせるヨンソ(爆)。
自らのペンネームを秋月夜(チュ・ウォルセク)と名づけ初校をあげてしまう熱心さ
それが瞬く間に人気となり、秘密裏に今をときめく新進気鋭のエロ小説家に
なってしまうのです。


ライバルは、当代随一と誉れ高い売れっ子作家のインボン居士。
インボン居士作家を打倒するために、ユンソは絵心がありつつも
一族の宿敵で残忍な議禁府の役人、グァンホン(イ・ボムス)を説得し、
春画を描かせ、ユンソに想いを寄せるチョンビンとの情事を
作品に盛り込み、自身の小説『黒谷秘史』をベストセラーにのし上げます。


このユンソ、グァンホン、闇の貸本屋のファンガ(オ・ダルス)、書写職人と
模写職人(ウ・ヒョン)たちが真剣に、真顔で、小説に必要な体位や
エピソード作りに取り組む姿は、笑っちゃうしかありません。


特にユンソやグァンホンのように、どこかおっとりと明るいところを歩いてきた
人間が禁断の世界に足を踏み入れ、そこに生き甲斐と喜びを見出していく風景は
なにやら「さかり始めた中学生」状態(爆)。


その年頃の男子が教科書やノートに嬉々としてエッチな絵を描いてみたり
国語辞書のエロ系の言葉に線を引いてみたりしちゃってませんか?
なんか、そんな感じなんですよね


こうした禁断の書物や春画はどこの国でも古くから存在しておりますが
この『恋の罠』も事実考証に基づき、本作を構成しており、実際に
高価なレンタル料で上流層に秘かにユンソやインボン居士が執筆したような
小説が出回っていたということです。


知らぬは、ユンソとの恋に夢うつつのチョンビンばかり……。
ですが、やがてチャンビンもその事実を知ることになり、
残虐性を持つ王の耳にも妻のスキャンダルは耳に知れ……。


淫らな小説執筆にのめり込む男が大胆にも仕掛けた王妃への“恋の罠”。
チョンビンは自身の愛を踏みにじったユンソへどんな“恋の罠”をし返すのか。
そのあたりは公開時にお確かめを。


上映時間が139分と結構長いのですが、章立てのようなそれぞれの展開が織り交ぜてあり
衣装や美術も見事で随所で楽しめます。
寺院の祭りの夜の密会シーンの提燈の下を大勢の人が行きかう中の情景は
幻想的でとても美しい場面です。
もうちょっとチョンビンの女性的な視線を描いてくれれば、
満足度が数倍あがったと思いますが、聞きしにまさる愚かな男たちの
大マジメなプロジェクトを堪能することができました。


恋の罠 http://www.cinemart.co.jp/koinowana

4月5日(土)より
シネマート六本木、シネマート新宿、シネマート心斎橋ほか
全国ロードショー!


*-*- maczu:Cafe -*-*
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真葛@泉美咲月


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