#243 デフ・レパード「Action! Not Words」(Retro Active/Mercury)
イギリスのハードロック・バンド、デフ・レパード、93年のアルバムより。同国の先輩バンド、スウィート、75年のヒットのカバー。スウィートのメンバー4人の共作。
デフ・レパードはベースのリック・サヴェージを中心にイングランド・シェフィールドで77年結成、80年レコードデビュー。以来、何回かのメンバーチェンジをおこないながらも、現在も活動を続ける5人編成の長寿バンドだ。
レコードの売上げは全世界で6500万枚を越え、その半分以上がアメリカでのセールス。英国っぽさを余り感じさせない、アメリカ人ウケのする抜けのいいサウンドが、その理由だろう。
さてきょうの一曲は、70年代に一世を風靡したスウィートへのトリビュート。テンポにしても、細かいアレンジにしても、単なるカバーというよりは、フルコピーに近い一曲だ。
スウィートは68年結成・レコードデビューなのでデフ・レパードの大先輩格にあたる。フォンタナよりデビューするも鳴かず飛ばず。パーロフォンを経て、RCAに移籍後、マイク・チャップマンらのプロデュースにより、ヒットが出るようになる。日本では、ボ・ディドリー・サウンドの「ブロックバスター」(73)で初ヒット。余談だが、同じ頃、デイヴィッド・ボウイも「ジーン・ジニー」というボ・スタイルの曲をヒットさせていたので、「どっちがパクりか?」なんて筆者の仲間うちでは話題になっていたが、タネを明かせばなんのことはない、ともにボ・ディドリーの影響を受けたってことだ。それをいえば、ヤードバーズだって同じなんだが。
ともあれ、だいぶんバンド名が世間に定着してきたので、75年には自分たちのオリジナルで勝負をかけることになる。それが「フォックス・オン・ザ・ラン」とこの「アクション」の英米両国での連続ヒットだ。メンバー全員の共作による、新しいスウィートの世界が大ブレイクしたんである。
スウィートはいわゆるグラム・ロックにカテゴライズされることが多い。確かにメンバーたちのルックスやコスチュ- ムなど、ビジュアルはきわめてグラマラスだ。しかし、ただそれだけではない。サウンドは見事な本格派ハードロックで、ほぼ同時期に出てきたクイーンや UFOにも負けず劣らずのテクニック、パワーを持っている。さらに、彼らの作るメロディラインはポップなセンスに満ち溢れている。グラム、ハードロック、ポップの三位一体、それがスウィートなのだ。
バンド名や見てくれから、彼らを女性向けの単なる甘ちゃんバンドだとナメるとエラい目にあう。スウィートの本質は、筋金入りのロックンロール・バンドなのである。
その見事なショーケースが、この「アクション」。イントロから息もつかせぬ目まぐるしい展開を見せる、ジェットコースター・ロックとでもいうべき一曲。激しいテンポ・チェンジ、ケレンに満ちた速弾きギター・プレイ、きらびやかなコーラス。スウィートの魅力がてんこ盛りなのだ。
デフ・レパードは、その原曲をほぼ忠実に再現しているが、これを聴くに、ホント、70年代の曲とはとても思えない。音の感覚の新しさには舌を巻かざるをえない。
80年代を制覇したハードロック・バンドのひとつ、デフ・レパード。彼らの原点はスウィートにあった。ハードロックを基調としながらも、聴きやすさ、ポップネスを忘れず、歌でも勝負したから、彼らの成功はあったんじゃないかな。
新旧バンドの競演、ともにバッチグーです。
イギリスのハードロック・バンド、デフ・レパード、93年のアルバムより。同国の先輩バンド、スウィート、75年のヒットのカバー。スウィートのメンバー4人の共作。
デフ・レパードはベースのリック・サヴェージを中心にイングランド・シェフィールドで77年結成、80年レコードデビュー。以来、何回かのメンバーチェンジをおこないながらも、現在も活動を続ける5人編成の長寿バンドだ。
レコードの売上げは全世界で6500万枚を越え、その半分以上がアメリカでのセールス。英国っぽさを余り感じさせない、アメリカ人ウケのする抜けのいいサウンドが、その理由だろう。
さてきょうの一曲は、70年代に一世を風靡したスウィートへのトリビュート。テンポにしても、細かいアレンジにしても、単なるカバーというよりは、フルコピーに近い一曲だ。
スウィートは68年結成・レコードデビューなのでデフ・レパードの大先輩格にあたる。フォンタナよりデビューするも鳴かず飛ばず。パーロフォンを経て、RCAに移籍後、マイク・チャップマンらのプロデュースにより、ヒットが出るようになる。日本では、ボ・ディドリー・サウンドの「ブロックバスター」(73)で初ヒット。余談だが、同じ頃、デイヴィッド・ボウイも「ジーン・ジニー」というボ・スタイルの曲をヒットさせていたので、「どっちがパクりか?」なんて筆者の仲間うちでは話題になっていたが、タネを明かせばなんのことはない、ともにボ・ディドリーの影響を受けたってことだ。それをいえば、ヤードバーズだって同じなんだが。
ともあれ、だいぶんバンド名が世間に定着してきたので、75年には自分たちのオリジナルで勝負をかけることになる。それが「フォックス・オン・ザ・ラン」とこの「アクション」の英米両国での連続ヒットだ。メンバー全員の共作による、新しいスウィートの世界が大ブレイクしたんである。
スウィートはいわゆるグラム・ロックにカテゴライズされることが多い。確かにメンバーたちのルックスやコスチュ- ムなど、ビジュアルはきわめてグラマラスだ。しかし、ただそれだけではない。サウンドは見事な本格派ハードロックで、ほぼ同時期に出てきたクイーンや UFOにも負けず劣らずのテクニック、パワーを持っている。さらに、彼らの作るメロディラインはポップなセンスに満ち溢れている。グラム、ハードロック、ポップの三位一体、それがスウィートなのだ。
バンド名や見てくれから、彼らを女性向けの単なる甘ちゃんバンドだとナメるとエラい目にあう。スウィートの本質は、筋金入りのロックンロール・バンドなのである。
その見事なショーケースが、この「アクション」。イントロから息もつかせぬ目まぐるしい展開を見せる、ジェットコースター・ロックとでもいうべき一曲。激しいテンポ・チェンジ、ケレンに満ちた速弾きギター・プレイ、きらびやかなコーラス。スウィートの魅力がてんこ盛りなのだ。
デフ・レパードは、その原曲をほぼ忠実に再現しているが、これを聴くに、ホント、70年代の曲とはとても思えない。音の感覚の新しさには舌を巻かざるをえない。
80年代を制覇したハードロック・バンドのひとつ、デフ・レパード。彼らの原点はスウィートにあった。ハードロックを基調としながらも、聴きやすさ、ポップネスを忘れず、歌でも勝負したから、彼らの成功はあったんじゃないかな。
新旧バンドの競演、ともにバッチグーです。
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