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音盤日誌「一日一枚」#331 ロニー・ウッド&ボ・ディドリー「LIVE AT THE RITZ」(VICTORY MUSIC 383 480 006-2)

2022-10-11 06:09:00 | Weblog

2006年9月24日(日)



#331 ロニー・ウッド&ボ・ディドリー「LIVE AT THE RITZ」(VICTORY MUSIC 383 480 006-2)

ロニー・ウッドとボ・ディドリーの共演ライブ盤。87年11月、ニューヨーク・リッツにて収録、88年リリース。ロニー・ウッド、マーティン・アダムの共同プロデュース。

28年生まれ、当時59才目前のボ、47年生まれ、40才のウッド。師弟でもあり、親子でもあるような関係のふたりの、息の合ったライブ・パフォーマンスがぎっしりつまった、極上のロックンロール・ショーだ。

ボの代表的ナンバー「ROAD RUNNER」でステージはスタート。ふたりをサポートするミュージシャンは、ジム・サッテン、デビー・ヘイスティングス、マイク・フィンク、ハル・ゴールドスタインら、実力派ぞろい。

前半は、ボのヒット・パレードのおもむき。「I'M A MAN」「CRACKIN' UP」「HEY BO DIDDLEY」と、おなじみのナンバーを立て続けに聴かせてくれる。

バックのサウンドは、ロックンロール・リバイバル的な軽い感じではなく、けっこうへヴィーでタイト。87年の、現在進行形のロック・ビートなので、当時のAORあたりに比べても、聴き劣るということはない。これはやはり、仕掛人・ウッドの手柄といえますな。

「HEY BO DIDDLEY」ではゲストに、ホール&オーツのライブにも登場していた元テンプス組、エディ・ケンドリック、デイヴィッド・ラフィンが参加しているのが、目を引く。

5曲目からは、ロニー・ウッド中心のナンバーに。ちょっと驚いたのは、第一期ジェフ・ベック・グループのナンバー、「PLYNTH/WATER DOWN THE DRAIN」 からスタートしたこと。

本盤での当曲は、ウッドのへヴィー&ハードなスライド・ギター・ソロがたっぷり楽しめるアレンジとなっている。

続く「OOH LA LA SONG」は、フェイシズ時代の作品。ウッドとロニー・レインの共作。

ここでの、ラフながらも哀愁をたたえたウッドの歌声が、なかなかいい。

彼はボーカリストとしては、うんと素質に恵まれている人ではないのだが、「歌いたい」という気持ちが常にあって、前向きに歌に取り組んでいる印象に好感が持てる。

ギタリストの多くは「おれはギターが弾けるから、歌のほうは別にいい んだよ」みたいな感じで歌うことを降りてしまいがちだが、ウッドは拙いなりに、真剣に歌っている。その真摯さが、聴き手のハートを打つのだよ。

ウッドのオリジナルで、もう一曲。「THEY DON'T MAKE OUTLAWS LIKE THEY USED TO DO」を。

このラフで軽快なロックンロールを、ボとウッドが揃って熱唱すると、会場は大興奮状態。シンプル、ストレート、そしてパワフル。これぞ彼らの音楽の醍醐味であります。

とどめの一発。聴きおぼえのあるイントロは、そう、「HONKY TONK WOMEN」。ふだんはミック・ジャガーの歌でしか聴けないこの曲の、珍しくもロニー・ウッド・ヴァージョンであります。この大サービスに、聴衆も大喜び。

ボーカルはボに戻り、このライブのために用意したらしいオリジナルのスロー・ブルース、「MONEY TO RONNIE」を。ボは、彼としてはちょっと異例の、ディープなブルース・ボーカルを披露してくれる。

で、ここでの、ウッドのブルーズィなスライド・プレイは、実に聴かせます。艶っぽいトーン、和音使いのうまさ。彼のスライド・プレイヤーとしての実力は、かなりのものだということが、これを聴けばわかるはず。

白人ロッカーでは、D・オールマン、L・ジョージあたりのプレイばかりクローズアップされがちですが、ウッドのこと、もっと評価してもいいんじゃないでしょうか。

それはさておき、ラストはボの十八番「WHO DO YOU LOVE」で締めくくり。この曲では、ボはなんとドラムを叩きながら、歌いまくります。

「HEY BO DIDDLEY」でも出てきたゲスト・コ-ラス、テンプスや女声ボーカリストたちも加わっての総力戦。そのビートの強力なことといったら、圧巻のひとこと。

ボのワイルドで野太い個性、ウッドの粋でいなせな個性、このふたつが見事溶け合って、この上なくいかしたロックンロールを生み出した、コラボレーション・ライブ。

ロックンロールの本質は、力(パワー)なり、と、改めて思い知らされた一枚であります。聴かねば損損!

<独断評価>★★★★☆


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