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音盤日誌「一日一枚」#356 フランク・シナトラ「リフレクションズ」(CBSソニー 22AP 2514)

2022-11-05 06:00:00 | Weblog

2007年4月29日(日)



#356 フランク・シナトラ「リフレクションズ」(CBSソニー 22AP 2514)

今月最後の一枚はこれ。フランク・シナトラ、44年~50年、CBS録音のバラード集。60年リリース。

今では廃盤になったようなんですが、名唱ぞろいなんでご紹介しときます。中古レコード屋で探してみてください。

とにかく、いい曲が一杯なんだよなあ。ヤング=ワシントンの「星影のステラ」に始まり、ヴァンヒューゼン=バークの「バット・ビューティフル」、グリーンの「身も心も(BODY AND SOUL)」、トラッドの「グッドナイト・アイリーン」、アーベの「ネイチュア・ボーイ」、カーン=ハマースタイン二世の「君は我がすべて(ALLTHE THINGS YOU ARE)」などなど。

いずれも多くのシンガー、プレイヤーたちにカバーされてきたナンバーばかりだが、シナトラはすべて自家薬籠中のものとして、しっかりと歌いこなしている。

とりわけ「ネイチュア・ボーイ」などは、ヒットさせたナット・キング・コールのイメージが圧倒的に強いのだが、あえて彼に真っ向から勝負するかたちでこの曲に取り組んでいる。

歌の出来を勝ち負けで捉えるのはナンセンスなのだが、あえていえば、シナトラのほうが、解釈の深さというか貫禄でまさっているような気がする。

技巧と感じさせない技巧というか、細部のフレージングのたくみさは、さすが王者の中の王者。

単に甘いだけじゃない、一本芯の通ったクルーナーぶりはネヴィン=スタントンの「バラのように(MIGHTY LIKE A ROSE)」あたりでも、いかんなく発揮されている。

個人的には「バット・ビューティフル」がベスト・トラックかな。これは筆者の持ち歌ともさせてもらった曲。バディ・グレコのバージョンと並んで、最高の歌声を聴かせてくれるトラック也。

キャピトル時代のシナトラも名盤ぞろい(アレンジ面では、ピークだろう)だが、CBS時代にも捨て難いものがある。

録音当時、シナトラは28才~34才。若干線が細いものの、若さにあふれていた時代だ。

後年のノリのいいスウィンギーなサウンドはまだここでは聴かれないものの、その甘く美しい歌声は十分に魅力的だ。既に結婚し、子供もいる身ではあったが、女性リスナーには絶大なる人気があったのが納得いく。今のキムタクみたいなもんか(笑)。

それまでは「男性ジャズ歌手=オジさんぽい人」というパタ-ンがほとんどだったのだが、はじめてオジさんくさくない歌手が出てきた。それがシナトラだったということやね。

以後、50年代エルヴィス・プレスリーにとってかわられるまでは、セックス・シンボルであり続けたシナトラ。

まさに一番「イケてた」時代の一枚。若いけど、歌のうまさはハンパじゃない。二十世紀を代表するシンガーの打ち立てた、金字塔であります。

<独断評価>★★★☆


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