NEST OF BLUESMANIA

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音盤日誌「一日一枚」#166 V.A.「GUITAR WORKSHOP SERIES/TRIBUTE TO OTIS REDDING」(ビクター音楽産業 VDR-1659)

2022-04-29 05:08:00 | Weblog

2003年6月3日(火)



#166 V.A.「GUITAR WORKSHOP SERIES/TRIBUTE TO OTIS REDDING」(ビクター音楽産業 VDR-1659)

今日はちょっと体調が悪いので(といっても、昨日飲み過ぎただけなのだが)、短めだが許しとくれ。

人気企画「ギター・ワークショップ・シリーズ」のひとつ。89年リリース(AMGはデータ誤り)。

日本のビクターのスタッフが、アメリカのミュージシャン達とともに制作したアルバム。

なんといっても、参加アーティストの顔ぶれに圧倒される。

プロデューサー、アレンジャーを兼ねたデイヴィッド・T・ウォーカー、ブッカー・T・ジョーンズを軸に、スティーヴ・ルカサー、ジェイ・グレイドン、スティーヴ・クロッパー、フィル・アップチャーチ、エイブ・ラボリエル、ジェフ・ポーカロといった巧者が集って、稀代のソウル・マン、オーティス・レディングをカヴァーしているのだから、いやが上にも期待は高まるね。

<筆者の私的ベスト3>

3位「THESE ARMS OF MINE」

フュージョン・ファンにもおなじみの、黒人ギタリスト、フィル・アップチャーチをフィーチャーした、オーティスの自作バラード。

彼のプレイは、共演するウォーカー(全曲で登場している)との相性がわりといいように思う。

ともに、オーソドックスなブルース・プレイを得意とするだけに、「親和度」が高いのだ。

最初はアップチャーチから弾き始め、ウォーカーが引継ぎ、ジョーンズのオルガン・ソロ、ジェリー・ピーターズのピアノ・ソロをはさんで、最後はふたりのインタープレイという構成。

プレイ・スタイルの違いがほとんどないので、仲のいい友人同士の会話のように、和気あいあいとしたムードでプレイが進む。

理想のギター・デュオとは、まさにこういうのをいうのだろうね。

2位「I'VE BEEN LOVING YOU TOO LONG」

オーティス自身のステージでもハイライト的な曲だったこのバラードを演奏するのは、ウォーカーとグレイドン。

ウォーカーから弾き始め、グレイドンへソロを渡す。後半ではふたりの掛け合いもある。

このふたりが実に対照的。ウォーカーはギブソンのフルアコでひたすらブルーズィな演奏、グレイドンはテレキャス・タイプなれどハムバッカー&トレモロアーム搭載のモデルでロックなプレイ。

ワタシ的には、ウォーカーのほうが曲調に合っている気がするので、彼に軍配を上げてしまうが、グレイドンのディストーションの効いたエモーショナルな音も、実は捨てがたい。

ちょっと木に竹を接いだという感じもしないではないが、ドラマティックな盛り上げ方は、さすがトップ・プレイヤーだ。

1位「(SITTIN' ON) THE DOCK OF THE BAY」

オーティスといえば、この曲抜きで語るわけにはいくまい。彼の死のまぎわに録音された遺作にして、代表的ヒット。

オーティスとともにこの曲を作ったクロッパー自らがギター・ソロを弾いているのだから、出来が悪いわけが無い。

おなじみのサンバースト・テレキャスター(ローズウッド・ネック)を操り、純正サザン・ソウルな音を聴かせてくれる。

バックも、盟友ジョーンズのオルガンはいうまでもなく、ジェリー・ピーターズのピアノもいい味を出しているし、リズム隊(ジョン・ロビンスン、スコット・エドワーズ)もビッグ・ネームではないが手堅いプレイだ。

「THESE ARMS OF MINE」についてもいえるが、派手な要素はまるでないし、どこか「いなたい」が、まことに心なごむ音。そういう感じだ。

この一枚、全体にロック系より、ブルース、ソウル系のギタリストのプレイのほうに見るべきものがあると思うのだが、それはやはり、彼らのほうがオーティスの「音」の本質、すなわち「うたごころ」をよく知っているからだろう。

各自が好きにやってるふうで、統一感にはいささ欠ける内容だが、個々のギタリストのプレイはなかなか楽しめます。機会あれば、試聴してみては。

<独断評価>★★★


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