NEST OF BLUESMANIA

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音曲日誌「一日一曲」#328 B・B・キング・アンド・ラリー・カールトン「Rock Me Baby」(Musique De Lune)

2024-02-28 07:44:00 | Weblog
2024年2月28日(水)

#328 B・B・キング・アンド・ラリー・カールトン「Rock Me Baby」(Musique De Lune)





B・B・キングとラリー・カールトンの共演アルバム「Amis Ensemble」より。キング、ジョー・ビハリの共作。

このアルバムは、今年1月末にフランスでリリースされたばかりだが、内容は83年にレコーディングされたもの。かつて「In Session」というタイトルでゴシップ・レーベルよりリリースされていた。カナダのTV番組でのスタジオ・ライブから。

B・B・キングとラリー・カールトン、共に過去何度も取り上げて来たので、今さら紹介する必要もないだろうが、それぞれブルース・ギター界、フュージョン・ギター界を代表するトップ・アーティスト。この二大巨頭によるコラボだから、悪い内容になるわけがない。

「Rock Me Baby」はキングの十八番として知られているナンバーだが、もともとはテキサス・ブルースマン、リル・サン・ジャクスン(1915年生まれ)が51年にリリースした「Rockin’ And Rollin’」がその原型で、歌詞を改変して64年に「Rock Me Baby」が生まれた。本バージョンでも前語りのところで、BBがジャクスンについて話しているくだりがある。

B・B・キング以外ではマディ・ウォーターズも「Rock Me」のタイトルで歌い、このふたりによってブルース・スタンダードの地位を獲得したのだ。

歌詞の内容をいちいち説明するのは野暮なのだが、要するに男女の営みに関するナンバー。「ロックンロール」という言葉自体が性行為の比喩であることは、ポピュラー・ミュージック・リスナーの基礎知識なのですよ(ホンマか?)。

まぁそれはともかく、とてもエロい歌詞であることは間違いない。そんな曲を堂々と歌うBBやマディは、やはり断トツのセックス・アピールの持ち主と言えますな。共に生涯何度も結婚して、子供も大勢いるという共通点がありますし。

今回取り上げたバージョンは、過去何度もレコーディングされて来たもの、あるいはBBとエリック・クラプトンの共演盤などとも微妙に違う、ゆったりとしたテンポで少しジャズ寄りの仕上がりだ。

前語りに続いて、BBがワンコーラスを歌い、続いてもうひとりの若手ギタリストが珍しくスライド・ギターでソロを弾く。トーンを抑えた、ピュア・ブルースなスタイルがいい感じだ。

今回、カールトンがあくまでもバッキングに徹しているのが面白い。

再びBBがワンコーラス歌い、ピアノ・ソロが引き継ぐ。
クレジットは不明だが、ジャズィ&ブルーズィな感覚に満ちた、手だれの演奏である。

最後にBBがおなじみのソロ・ラインをワンコーラス決めて、曲は終わる。

アダルトな(いろんな意味で)雰囲気が横溢する、好演。B・B・キング58歳、ラリー・カールトン35歳の円熟したプレイを、じっくり味わってくれ。



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