鴨が行く ver.BLOG

鴨と師匠(ベルツノガエル似)と志ん鳥のヲタク全開趣味まみれな日々

牡丹灯籠 全段通し

2016年08月08日 21時46分53秒 | 歌舞伎・落語・古典芸能
昨日は猛暑の中、師匠と一緒に内幸町のイイノホールにお出かけ。
夏ならでは、楽しみにしていたこちらの落語会に行ってまいりました。

柳家さん喬 牡丹灯籠 全段通し(チケットぴあ)

落語に知識のある方なら、三遊亭円朝作「牡丹灯籠」を全段通しでやる、ということのスゴさがわかると思います。
牡丹灯籠と言うと「あぁあれね、お露さんとか言うきれいな女の子の幽霊が、カランコロンと足音をさせながら好きな男のところに通ってくる・・・」と、その程度なら落語好きじゃなくても知ってるんじゃないかと思いますが、そのシーンは「牡丹灯籠」という長大な作品のほんの一エピソードに過ぎません。怪談と銘打っておきながら、実は幽霊が登場するシーン自体本当に極わずかで、ストーリーの本質は黒川孝助の敵討ちです。それも単純な勧善懲悪ではなく、一人の登場人物が善人にも悪人にもなり、強がったり弱みを見せたりしながら騙し騙され、愛し愛され、現代人の我々の価値観でも存分に楽しめる非常にモダンなサスペンスです。

それにしても、円朝作品は登場人物が多いわ複数のストーリーが同時並行に展開するわ、一人の演者が演じ切るには本当に難しいです。さん喬師匠は中入を挟んでたっぷり3時間、見事に演じ切りました。円朝のオリジナルテキストと比較したら、粗筋をさらっとなぞったぐらいなんだろうと思います。が、たっぷりと魅せるべきところは時間を掛け、緩急を付けて一切中ダレせずに3時間。これぞ至芸ですね。なかなか観られるもんじゃないですよ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする