8年間飼っていた金魚が死んでしまった。
七夕の夜のこと。
金魚の死はある日突然やってくる。
人間のように長患いの末に・・・ということは聞いたことがない。
夕食中、ふと水槽の方に目をやったら、すでに横になって浮かんでいた。
食事の支度をしているときには元気だったのだが・・・
金魚が人間に馴れる魚だということは本当だと思う。
水槽の方を見ると、金魚はいつもこっちの方を見ていることが多かった。
私が食事をしている時も、風呂上りで裸に近い姿でビールを飲んでいる時も
”アンタはこっちを見ていたよね・・・”
空腹の時、エサが欲しい時には大暴れして「自己主張」していた。
そんなヤツを父は「家族の一員」と言っていた。
そうなのかもしれない、いつの間にか家族になっていた。
平成10年に母が亡くなった年、レンタルビデオ屋でやってたキャンペーンの
クジのハズレの景品が金魚だった。
当たりは確か、有線放送の加入権だったような気がする。
私はハズレのヤツを車のバックミラーにぶら下げて家まで運転して帰ってきた。
まだ小指の先ほどしかない小さな命、愛しく思えた。
ところが数年経つうちに原型を留めないほどのマッチョな身体になってしまった。
「何これ? 本当に金魚?」うちに来た人は驚愕する。
すでに手のひらに乗り切れないくらいに成長して、まるでシーラカンスのような
貫禄を身につけていた。
金魚の寿命は長生きして7年くらいだそうだ。
うちの”タケちゃん”(皆からそう呼ばれていた)は長生きした方かもしれない。
七夕の夜に死んだ金魚、三途の川といわず、天の川を渡って行ったのかな。
亡骸は庭のバラの樹の根元に埋葬した。
何も入っていない水槽に無意識に目が行ってしまう。
心のどこかにポッカリと空洞が出来てしまったような気がする。
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