20.大海をあしらふ時は大指は
肩にかけるぞ習ひなりける
”大海”という茶入は、様々な茶入の形の中でも、平べったく、大ぶりで、肩が横平面に張った平丸型をしているので、横から持ったままでは、蓋が扱いづらい。
そのため、平棗の扱いと同じで、茶入を左手で上から半月にとり、茶杓を持った右手であしらって、左手のひらにのせ、蓋をあけて、抹茶を掬いだします。
この左手にのせたとき、大指=親指を茶入の肩にかけるようにすると、安定するということになります。
<”大海”について>
”大海”は本来は茶席には用いず、茶臼でひいた抹茶を入れておく「挽溜(ひきだめ)」として水屋で使っていたものを、茶席で用いるようになったといいます。
しかし、利休様の時代になるとあまり用いられなくなったようです。
”大海”は、抹茶を仕込み、仕覆に入れた時、長緒結びをします。
仕覆の紐は、茶入の形によって、また、中に抹茶が入っている時、入っていない時で、結び方が違います。都度、何度も結んで手に覚えさせていくしかありません。
私はしばらく結んでいないと忘れてしまって、でも、やり始めると自然に手が動きだすという経験を何度もしています。
一度で覚えられるに越したことはありませんが、道具の扱いは、何度もやっていくことで、定着してくものかもしれません。