「各服点」の発表 風炉の場合

　茶道裏千家では、緊急事態宣言の間、第16代坐忘斎玄黙（ざぼうさいげんもく）宗室
お家元がビデオメッセージで様々なお話をされていました。

　その中で、以前ご紹介したように約100年前に現家元の曾祖父にあたる裏千家第13代家元・圓能斎鉄中（えんのうさいてっちゅう）宗室により考案された濃茶「各服点」（かくふくだて）のお話がありました。
お家元のメッセージ

　とうとう６月26日(金)に「各服点」がビデオで発表されました。

　茶道の先人たちに感謝を込め、流派を問わず、お茶を楽しんでもらえるよう
参考にしてほしいとの願いをこめて、会員向けに限らず、
誰でもみられるようになっています。
　ご興味ある方は是非ご覧になって下さい。

各服点について
http://www.urasenke.or.jp/movie/explanation/explanation.html

　その内容について。
　「各服点」が最初に執り行われたのは、明治４４年１１月と記録がある。

＜５人で行う場合＞

◎　正客への１碗目濃茶が出されるところまでは、通常の濃茶点前と同じ。

◎　正客が茶碗を取り込み、連客で総礼。

◎　正客が一口召し上がったところで、亭主と正客の問答。
「お服加減は？」
「大変結構でございます。」

◎　そこで、亭主は水屋に戻り、濃茶が入った次客以下四名様分の茶碗を長盆に乗せて持ってくる。
盆を持っているので、襖は閉めず、開けたままにする。
（水屋は亭主が長盆を取りにくるちょうどよいタイミングに合わせて、
茶碗と濃茶を準備しておくこと。）

◎　亭主は点前座に座り、長盆の上の茶碗、右向こう、左向こう、左手前、右手前
の順に湯をくみ、一気呵成に手早く濃茶をねる。

＊　一杓に一杯湯を汲み、向こう２碗に半分ずつ湯をいれる、
　更に一杓一杯に湯を汲み、手前２碗に半分ずつ湯をいれる
＊　置き柄杓　（１回の湯で練り上げるから置き柄杓となる）
＊　つぎ柄杓なし

◎　長盆を持って客付にまわり、右向こう左点前と回してお盆を定座に出す。
（何回で回すかはお盆の長さによる）

◎　次客が長盆を持って席に戻り、自分の茶碗をヘリ内膝前正面へとり、長盆を三客へ回す。
同様にして末客まで長盆を回し、それぞれが茶碗を取り込み、
取り込んだら順に飲み始めてよい。

◎　正客は次客以下飲んでいる間に、いつものように問答する。
「大変美味しく頂戴致しました。」
「お茶名は？お詰めは？」　等々。

◎　末客が吸い切り、飲み口を清め長盆に茶碗を返す。

◎　四客、三客、次客と飲み終わった茶碗を末客へ送り、
末客は元通り長盆に茶碗をおさめ、茶道口へ長盆を運ぶ。

◎　茶道口に置かれた長盆は水屋がひく。
（長盆の茶碗は数茶碗の扱いとして、拝見には回さない）

◎　正客から主茶碗拝見する。
以降、通常の濃茶点前と同じ。


　そもそも圓能斎好みの長盆は京畳をベースに作られているのでかなり大きいし、
厚みがある。
　ということで、近々、当代お家元お好みの少し小ぶりの長盆が公表されるということも
メッセージの中でおっしゃっていました。

　お客様の人数が少ない場合は、それぞれが工夫したお盆で代用もよし。
　但し、お茶を点てるためのお盆であるから、安定しないものや華美なものは必要なく、
ある程度しっかりした作りのものがよい。

　私は２回確認の為にメッセージビデオを拝見しました。
　濃茶を４服も一気に点てるというのはどうでしょう。
　ビデオではさらっと４碗濃茶を点てていらっしゃいましたが、さすがだなあと思いました。
　また、今回”風炉”での「各服点」でしたが、”炉”では長盆の扱いがどうなるのか、気になります。

　一人一人が「各服点」と共にお茶を楽しむことができますように。