茶の湯 徒然日記

茶の湯との出会いと軌跡、お稽古のこと

五感で学ぶこと

2005-10-29 22:17:56 | m-tamagoの物想い
 狂言師の野村萬斎さんといえば、教育テレビ“日本語であそぼ”に出ているが、私はこの番組は画期的と思っている。小さい頃から日本語の美しさ、独特なリズムに触れることは大切なことだと思う。

 日本人の赤ちゃんに様々な音を聞かせてどれが一番落ち着くかという実験を見たことがある。なんと、狂言や能の音を聞かせるとすやすやと眠り始めたり、落ち着いたり、心地よい脳波を出したのである。他の音が何であったか残念ながら忘れてしまったが、赤ちゃんは不快を示したり、無反応だったりした。私は驚いた。自然に感じ取っている日本のリズムというのがあるのかもしれない。(高校生の私が課外授業で能・狂言を見に行って寝てしまったのも、実は心地よいから、なのか?)
 都一中先生という一中節・常磐津宗匠とお話した際、日本の音楽には楽譜がなくて、実際口ずさみ、リズムを取ったりしながら伝承していくものなんだよね、だから、小さい頃から聞いたり口にする機会があるのは大事だ、とおっしゃっていた。
 また、歌舞伎役者橋之介さんと結婚した三田寛子さんの子育てのドキュメンタリー番組では、まだ乳飲み子の息子を連れて歌舞伎を見に行く姿があった。歌舞伎の世界でも理解できるできないにかかわらず、小さい頃からその音に親しむということは大切なことで、乳飲み子であっても稽古場や舞台に行って聞かせるのだそうだ。感性って頭じゃなくて五感で作られていくんだなぁと思った。
 そういえば、私の従兄弟は、叔母がピアノの先生で、毎日生徒を教えていたそばで育ったせいか、絶対音感が小さい頃に確立していて、聞いた音をそのまま自分で再現でき、小学生の頃には県代表のピアノの腕前となった。彼にとっては音は理屈ではないようだ。

 音に限らず、五感や身体で覚えるものというのは繰り返しやって定着させるしかないし、小さければ小さいほど吸収しやすい。
 若い頃、身体で覚えたことは忘れないというけれど、茶道も何度もお稽古することで身体が自然に覚え、しなやかにお点前ができるようになるのだろう。机上の勉強も大事だけれど、お稽古精進しなくてはと思った。
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