茶の湯 徒然日記

茶の湯との出会いと軌跡、お稽古のこと

結納

2007-11-11 15:39:14 | 結婚よもやま話
 二人が結婚の約束をし、次に待っていたのが両親との顔合わせ。週末にそれぞれの家に行きました。それなりに緊張はしましたが、和やかに話をして終了しました。
 双方両親共異存はなさそうだったので、式場と結納の日取りを決めることに。話はスムーズに進んでいきました。決まる時は決まるというけれど、まさにそんな感じでした。

 結納も近年では色々な形式があるようです。友人から聞く話では、両家で会食をして、女性は婚約指輪をもらい、男性はお返しの記念品、例えば時計をもらうという内容が多かったので、私たちも気軽に両家での会食の方式を選びました。
 ただ、昔ながらの結納品や結納金を揃える形式がどんなものかは大変興味があり、ブライダルサロンに結納品を見に行ったりはしました。

 結納とは互いに結婚を正式に約束するという人生の門出を確認しあう儀式。そもそもは、結(ゆい)という共同体に入る為、酒と肴といった飲食を共にする結入(ゆいいれ)、結婚の申し込みをする言入(いいいれ)が結納に変化したもので、品物のやりとりは、神様に捧げた供物でした。

 結納品は七品目、五品目といった略式もありますが、正式には九品。日本では奇数は”陽”、九はその極みとして一番めでたいことを表します。茶の世界にも言えることです。
 九品目は、目録、長熨斗(ながのし)、金宝包、勝男節(かつおぶし)、寿留女(するめ)、子生婦(こんぶ)、友白髪(ともしらが)、末広(すえひろ)、家内喜多留(やなぎだる)。
 いずれも目出度い字が充てられています。
 熨斗鮑は広く長く延びることから、長寿や広く長いおつきあいを願って、
 勝男節は健康なたくましい男性の象徴として、
 寿留女は寿を留める女性と書いて、幸せな家庭を作るお嫁さんの象徴として、
 子生婦は子宝に恵まれることを願って、
 友白髪は仲良く夫婦で白髪になるまで一生暮らせるように、
 末広は扇子のように家が繁栄していくように、
 家内喜多留は祝い酒をいれた柳樽のことで、柳のように柔和で従順で、家の中に喜びが多く留まるようにとの祈りがこめられていて、昔は酒樽が準備されていたのが、今は清酒料としてお金が入っています。
 金宝包というのがいわゆる結納金ですが、目録には新郎から新婦へは御帯料、新婦から新郎へは御袴料と記入されます。昔は帯地、袴地を結納品として準備した名残でしょう。

 結納品には美しい水引細工が施されており、松竹梅、鶴亀、海老、鯛、宝舟などの縁起ものを表す結びと、淡路結びの二種類がありました。様々な細工があり、見事です。結婚のご祝儀袋の水引は10本の結びきりが通常で、解けないように結ばれ二度とないことを示しています。結納品の水引も決して解けないようになっているはずです。
(ご参考)和紙と水引
http://blog.goo.ne.jp/m-tamago/e/0836c6ec317a344eee7a270f403100e2
 
 これらの結納品は仲人がそれぞれの家に運び、仲立ちをしていましたが、今では一同に会してやりとりをするのが通常となっているようです。
「幾久しく芽出度くお納め下さい」
「幾久しく芽出度くお受け致します」

 取り交わした結納品は両家で床の間などに飾り、結婚後は一対にして保存、先々の銀婚式や金婚式の際に飾って往時を思い出しお祝いするとよいとのことです。

 色々知っていくとこういったものを揃えたい衝動にも駆られましたが、実用的な私たちは、しまっておくのも場所をとるしと見るに留め、結納にこういった深い意味が込められていることを心に留めて互いの記念品となった指輪と時計を取り交わしました。

 昔から伝わる慣習や文化は、時代によって変化していき、私も含めつい簡単な方法を求めてしまいますが、当初の形、目的を知ることは自分のルーツ、日本人としての自覚を認識する貴重な機会となります。結納の品々を見て、形の中に心がこもっていること、日本人が人との繋がりを大切にしてきたこと、モノにも細やかに心遣いをして大切にしてきたことを感じました。やるやらないにかかわらず、私たちはこういう慣習を知り、大切にして伝えていかなければならないと思います。

 
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4 コメント

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なつかしい (蜆子)
2007-11-12 10:52:55
結納などは地方によってすごく違いますね。もともとの意味を膨らましたり、簡略にしたりです。
私の地方、そういうことは呉服屋の仕事でした。
水引の宝船をはじめとしてさまざまなものも全部作りました。柳樽、実物が今でもあります。
多栄金、家満栄茂、御久和志、優美和、寿留女、永和栄酒、子生婦、結納、酒肴料、化粧料、寿栄広、目出鯛、こんなような目出度さ満タンの目録、実は私書いていました。
最後に、右之品幾久敷目出度御受納被下度候也
と書いていました。
目録の表紙には、高砂、裏には、鶴亀と書いていました。目出度さもきわまれり。
そして大安の日に、うやうやしくお届けいたしておりました。
みんな目出度き人生を送っていらっしゃるでしょうか。
懐かしい話題でした。
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結納 (チャチャ)
2007-11-14 09:13:34
現代っ子だった私は 簡単を望んだのですが、 やはり台は必要だと セットでいただきました。 あわびは丸台ののせてお正月の飾りに利用していますし、 水引の亀、鶴なども玄関中のお正月飾りとして とってあります。 松はいつも台子の柱に結んで 重宝していますよ。
指輪は 子供達に残せるものをといって、主人が考えていたものより、おねだりししまいました。 ヘヘ。
たまご様も おねだり上手の奥様 頑張ってね。(笑)
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呉服屋さん (m-tamago)
2007-11-15 12:09:41
蜆子さん、こんにちは。
蜆子さんは呉服屋さんのご出身だったのですね!しかも、こういったおめでたいものを実際準備されていたとは!!
やはり昔は結納の品に、袴地、帯地を贈っていたのだなあと納得しました。

多栄金、家満栄茂、御久和志、優美和、寿留女、永和栄酒、子生婦、結納、酒肴料、化粧料、寿栄広、目出鯛、高砂、鶴亀、おめでたいオンパレードですね。うーんいいなあ。

大安をそれほど意識したことがなかったのですが、今回、皆さんから頂くお祝い品が必ず大安に届いたり、大安に出席葉書を出すようにした、内祝は大安に届くように手配した方がいいなどの話を聞いて驚きました。
私自身が友人の結婚式の時、大安をあまり意識せず、色々なことをしていたのを反省しました。
返信する
結納 (m-tamago)
2007-11-15 12:12:37
チャチャさん、こんにちは。

チャチャさんは結納セットおもちなんですね。
確かにお正月飾りに活躍しそう。

>指輪は 子供達に残せるものをといって、主人が考えていたものより、おねだりししまいました。 ヘヘ。
おお、そういうねだり方がありましたね!
おねだり上手だなあ。
これからチャチャさんを見習ってクリスマス、誕生日、結婚記念日にはおねだり上手を目指します(笑)。でもお財布はもう一緒(涙)。

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