作家の唯川恵さんが新聞に書評を書いているのをみて、気になって読みました。
10編からなる短編小説。
以下、新聞に掲載されていた唯川恵さんが書かれた書評の抜粋です。
「大人の作家による、大人の小説である。
若い小説家の躍進は素晴らしいし、読み応えのある作品も多いが、大人はやはり、大人の小説を読みたい。
勝目さんは一九七〇年代半ばにバイオレンス・ロマン小説のジャンルを確立された。夢中で読まれた方も多いはずだ。瞬く間に、流行作家、売れっ子作家となられたが、その呼称は、多くの作家から羨うらやまれたと推察するも、ご本人は不本意であったらしい。二〇〇六年に発表された『小説家』で、その思いを書かれている。読者と編集者の大きな期待という重荷を下ろして、勝目さんが望んでいた小説を手掛けられるようになったのは、そう昔のことではない。そして、作家生活四十周年を迎えられて出版されたのが本書である。
生と性と死。
結局のところ、人間はそれがすべてではないか。読み進めるにつれ、シンプルでありながら、実はもっとも遠いところにある答えにいざなわれていった。それは心地よい覚醒でもあった。
~~中略~~
確かにそこに存在している。突飛とっぴではないストーリーだからこそ、勝目さんの熟練の技が光る極上の作品となっている。
本書を閉じた時、大人になってよかったと思った。これこそが大人の特権である、と、誰ともなく自慢している私がいた。」
以上、唯川恵さんの書評です。
短編のうち、個人的には「ひとつだけ」と「あしあと」が印象に残りました。
「あしあと」
勝目 梓
文藝春秋
10編からなる短編小説。
以下、新聞に掲載されていた唯川恵さんが書かれた書評の抜粋です。
「大人の作家による、大人の小説である。
若い小説家の躍進は素晴らしいし、読み応えのある作品も多いが、大人はやはり、大人の小説を読みたい。
勝目さんは一九七〇年代半ばにバイオレンス・ロマン小説のジャンルを確立された。夢中で読まれた方も多いはずだ。瞬く間に、流行作家、売れっ子作家となられたが、その呼称は、多くの作家から羨うらやまれたと推察するも、ご本人は不本意であったらしい。二〇〇六年に発表された『小説家』で、その思いを書かれている。読者と編集者の大きな期待という重荷を下ろして、勝目さんが望んでいた小説を手掛けられるようになったのは、そう昔のことではない。そして、作家生活四十周年を迎えられて出版されたのが本書である。
生と性と死。
結局のところ、人間はそれがすべてではないか。読み進めるにつれ、シンプルでありながら、実はもっとも遠いところにある答えにいざなわれていった。それは心地よい覚醒でもあった。
~~中略~~
確かにそこに存在している。突飛とっぴではないストーリーだからこそ、勝目さんの熟練の技が光る極上の作品となっている。
本書を閉じた時、大人になってよかったと思った。これこそが大人の特権である、と、誰ともなく自慢している私がいた。」
以上、唯川恵さんの書評です。
短編のうち、個人的には「ひとつだけ」と「あしあと」が印象に残りました。
「あしあと」
勝目 梓
文藝春秋