市川市でblog

本八幡を中心に千葉県市川市内の美味しいお店や風景、催事を紹介した個人のブログです。趣味は船釣り。 

『あしあと』  勝目 梓

2014年06月26日 | 読んだ本
作家の唯川恵さんが新聞に書評を書いているのをみて、気になって読みました。

10編からなる短編小説。

        

以下、新聞に掲載されていた唯川恵さんが書かれた書評の抜粋です。

「大人の作家による、大人の小説である。
若い小説家の躍進は素晴らしいし、読み応えのある作品も多いが、大人はやはり、大人の小説を読みたい。
勝目さんは一九七〇年代半ばにバイオレンス・ロマン小説のジャンルを確立された。夢中で読まれた方も多いはずだ。瞬く間に、流行作家、売れっ子作家となられたが、その呼称は、多くの作家から羨うらやまれたと推察するも、ご本人は不本意であったらしい。二〇〇六年に発表された『小説家』で、その思いを書かれている。読者と編集者の大きな期待という重荷を下ろして、勝目さんが望んでいた小説を手掛けられるようになったのは、そう昔のことではない。そして、作家生活四十周年を迎えられて出版されたのが本書である。
生と性と死。
結局のところ、人間はそれがすべてではないか。読み進めるにつれ、シンプルでありながら、実はもっとも遠いところにある答えにいざなわれていった。それは心地よい覚醒でもあった。

                     ~~中略~~

確かにそこに存在している。突飛とっぴではないストーリーだからこそ、勝目さんの熟練の技が光る極上の作品となっている。
本書を閉じた時、大人になってよかったと思った。これこそが大人の特権である、と、誰ともなく自慢している私がいた。」

以上、唯川恵さんの書評です。

短編のうち、個人的には「ひとつだけ」と「あしあと」が印象に残りました。


「あしあと」
勝目 梓
文藝春秋
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