泥から咲いた蓮の花

現在、リハビリ中なブログです。長い目で見守ってくだせ~

あなたが生きている理由

2007-08-24 00:46:10 | どろな話

『あなたが生きている理由 平成の駆け込み寺』
戸澤宗充著 家の光協会 1365円(税込)


昨日、母の運営する駆け込み施設「サンガ天城」に果物を送った。それと入れ替わるように母から電話が入る。

 本ができたんだよ

平成15年の夏。見切り発車もいいところ、なにもかも不十分なままに始めた駆け込み施設「サンガ天城」。当時、66歳だった母が私財なげうち、借金もして開所にこぎ着けた。親戚や心配する知人からは「ばかげてる」「お母さんを止めなさい」という連絡が私のもとに来る。はたからみれば、財産投じて、採算があう目処など、立ちようがない。周囲からは、母のしようとすることは、荒唐無稽と写っていたようだ。だが、社会に空いた穴を、最初に埋めていく作業はいつも孤独で奇異なものさ。

「老後は船で世界を一周したい」。そんな夢をよく口にしていた。その蓄えも、すべてサンガ天城に投じた。縁ある人々から寄付を仰いでまわった。60半ばを過ぎた一人の人間が、そこまでするのだ。応援しこそすれ、止める理由などあろうか。

 母の好きなようなさせてください。迷惑はかけません

それから4年。いいことあれば、つらいこともあり。よくやってきたと思う。昨今ではテレビなど各種メディアに取り上げられるようになり、駆け込む人も大勢いる。だからといって運営が安定するわけではない。

「あんたも売るの協力してよ。少しは足しになるからさ」。私にできるのはせいぜいそれぐらいなもの。どうせ、買うならひいきの書店からと思い、宇宙で一番オモロイ本屋「読書すすめ」に電話して、とりあえず初版発行部数の1.1%を注文させてもらった。

駆け込んで来る人たちを、「現実逃避」とそしる人もいる。それもまた一理あるかもしれない。だが、私はこうも思う。「逃げる勇気を実践した人」とも。ここに駆け込んでくる人々の多くは、逃げなければ死ぬくらいの状況を生き抜いてきた。それは武力による国家間戦争や内戦ではなく、家庭など親密な人間関係というカプセルの中で起こっている。危機から身を守るためにあるはずの「家庭」が、危機を温存して外に逃がさない牢獄として機能している。そこから決死の覚悟で、脱出してくる人々。なぜに誹ることができようか。

ちなみに発売は9月1日だそうだ。出版祝いでもささやかながら開いてあげよう。

最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
楽しみです♪ (安穏)
2007-08-25 21:48:54
こちらにはご無沙汰しております。
トラックバックかけさせて頂きました。
ご確認下さいませ♪

庵主様の御本、9月1日の発売が待ち遠しいです。
あのんの生きる理由・・書いてあれば良いなぁ。

コメントを投稿