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(ベネズエラ連帯)OHCHRのベネズエラ報告書にマドゥーロ大統領が抗議書簡

2019-08-09 | ラテンアメリカ

 7月4日に国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)がベネズエラ情勢について公表した報告書について、日本の多くのメディアが「独裁的なマドゥロ政権により、2018年だけで『政権に反対する者』が5287人殺害されているなどとし、『重大な人権侵害がある』と結論づけた。」(朝日新聞・岡田玄)「ベネズエラ政権、5287人殺害 国連報告『超法規的処刑』か 」(産経新聞)など、意図的にマドゥーロ政権を残虐な独裁政権と印象付けるような報道がなされました。しかし、多くの点で報告自体がゆがめられており、当初からベネズエラ政府が報告書の多数の個所について異議申し立てを行っていました。この問題について在日ベネズエラ大使館が、マドゥーロ大統領のOHCHRに対する抗議文を紹介するとともに、この粉飾された「超法規的処刑」についてコメントされていますので紹介します。

7月4日OHCHRのベネズエラ情勢の報告書をベネズエラが拒否を表明
各位
 国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)がベネズエラ情勢について7月4日に公表した報告 書に関し、ベネズエラのニコラス・マドゥーロ大統領、ベネズエラ政府、国内外の人 権団体がこれへの拒否を表明しました。
 ベネズエラ政府は7月11日にミチェル・バチェレ国連人権高等弁務官あて書簡を発出 しました。その中でマドゥーロ大統領は、同報告書は「偽りの言明、歪曲、データと 出典の誤魔化しに満ちた報告書」であると述べています。また、ベネズエラ外務省は 報告書の誤りや省略されている内容を70項目に渡り列挙した公的文書を送付し、虚偽 内容を修正するよう要求しました。
 一方、ベネズエラ人権ネットワーク(Red venezolana de Derechos Humanos)とこれ に加入するNGO 38団体は、バチェレ氏のチームに提供した情報が報告書には全く反映 されておらず、「除外され、無視され、差別された」ことは大変遺憾であると表明し ました。米国の弁護士で著名な人権の専門家であるアルフレッド・デ・ゼイヤス (Alfred de Zayas)氏は、同報告書について「不完全で失望させるもの」と評した 上で、バチェレ氏に対し、チームのメンバーをよりプロフェッショナルかつ公明正大 な人員と入れ替えるべきだと勧告しました。
 もう一つ目を引いたのは、一部の日本のメディアが報告書の内容について、「『政権 に反対する者』5000名(※)を超法規的殺害」などと報道していることです。 (※メディアによって数は5000〜6800名と異なります。)
 真実と情報を開示する責任に忠実になるならば、確かに治安の良くない状況はありま す(これも徐々に改善されています)。しかし、実際に報告書に記載されているの は、”resistance to authority” つまり「当局への抵抗」により麻薬密売人など犯 罪者が死亡したケースであり、一部で報道された「政権に反対する者」は、この” resistance to authority” を読み間違えたものです(報告書第50項)。実際に、ベ ネズエラ政府はデモでの死者は2018年は0名、2019年1月〜5月は29名だったと示した 旨、報告書そのものに明記されています(報告書第40項)。これも非常に痛ましい人 命損失であることには間違いありません。しかし、日本で一部報道されたように、政 治的理由による死者が5、6千名ということでは決してありません。

ベネズエラ大統領からバチェレ氏にあ宛てた書簡(日本語訳)ベネズエラ大使館サイトへのリンク



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