「抑止力は方便だった」という鳩山発言に関して、2月18日(金)の「琉球新報」第一面に「特別評論 / 鳩山『方便』発言が問うもの」(松元剛 琉球新報政治部長)が掲載されている。傾聴に値する明瞭な論理と主張である。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-173641-storytopic-3.html
まず、「波紋が、本質からずれる形で広がっている」と批判する。「国会での論戦や在京大手メディアの報じ方の大勢は、失言、放言の類いとみなし、鳩山氏個人の資質問題に矮小化しているように映る。」と。
そして、「鳩山証言が照らし出した核心」を、次の3つにまとめている。
1.沖縄に新たな海兵隊航空基地を押し付ける論拠にした「抑止力」は虚構
2.公約に掲げた「県外移設」実現を目指したが、自らの戦略、指導力の弱さを突かれ、対米従属を断ち切れない閣僚と官僚支配の軍門に下った構図
3.沖縄に基地を押し付ける差別的構造の温存
その上で、「名護市辺野古への移設を再確認し、菅直人首相が踏襲した日米合意の正当性はもはや、地に落ちている。」と論じている。
鳩山氏については、「言葉の軽さはあったにせよ、鳩山氏の証言に偽りはない。」「県外移設を期待した県民を裏切ったことへの反省と謝罪の意を基に、鳩山氏は驚くほど赤裸々に証言した。その内容は真実性、迫真性に富む。」と評している。
そして最後は、「沖縄はもうだまされないという意志を強固にした点で、鳩山証言の意義はきわめて大きい。海兵隊の抑止力が虚飾に彩られていることをしっかり国内外にアピールし、普天間の県外移設を切望する沖縄の声を一層鮮明に打ち出す好機到来と位置付けたい。」と締めくくっている。
非常に簡潔かつ明瞭に論じていることに感服する。
しかし一点だけ、認識の不十分さを指摘しておきたい。「普天間の県外移設」という表現に表れている認識についてである。
普天間基地の「移設」というのは、日米政府の立場であって、人民の立場ではない。人民の立場からは、普天間基地は「移設」すべきものではなく、ただ単に閉鎖すべきものである。「辺野古への移設」というのは言葉上のごまかしであって、最新式の大規模な基地の新設にほかならない。
人民が要求しているのは、辺野古への新基地建設反対、普天間基地即時無条件閉鎖である。
(ヒデ)