
「賢者はかく語りき」 齋藤孝 (小学館)
言葉を自分に投げかけることが、人生を豊かにしていくことのひとつだと
唱える。
現代を生きる私達に多大な影響を与え続けてきた、偉大な賢者9人を
分析して、彼らの生き方をわかりやすく教えてくれています。
ニーチェ、世阿弥、ソクラテス、アインシュタイン、老子、ゴッホ、
清少納言、ヘッセ、良寛
著者は、読書の良さについて、同じ時代に生まれなかった気の合う人に
出会う機会だとも言っている。
共感できる場面や出来事、その人となりに出会う時
心に広がるなんともいえぬ充実感を体験できます。
そんな中で、良寛の存在感ということを考える章がある。
何ゆえ、それほどまでに人は良寛に惹きつけられるのかと。
良寛は元々、越後出雲崎の名主のボンボンであった。
18歳になると名主見習いとなり、そうした仕事をするようになっていた。
近所でも有名な秀才である。このままいけば、名主である。
ところが、名主見習いとなってしばらくすると、突如出家してしまう。・・・・
良寛は、自らの意思で安定した職と暮らしをなげうって、僧となった。
しかも僧としての出世も望まない。山奥のボロボロの庵で、ひとり過ごす。
例えば、欲しがる人が後をたたなかったという「書」。
あるいは玄人はだしの「画」。手製の手鞠を持っていたという「鞠つき(子どもたちとの遊戯)」、あるいは生涯を捧げた「正法眼蔵」(道元)や「法華経」の研究。
ひとり研ぎ澄ましていく、深く感じ入るために、こうしたものに突入した。
~・・・・
自分の凡人さ加減もそれはそれとして、なんだか俗世間に埋もれない人に
心惹かれてしまう。
偉人伝とかは、色々とあるけれど
齋藤孝さんの本て、齋藤さん自身の分析が面白い。
惚れ込んだ人をとことん、自分を通して語られる感じが
とても素敵なんです。