食べ物のおいしいのは矢張り、アルゼンチンです。然し、土着の食べ物で言えば、ペルーの料理が一番美味しかったですね。その点、チリはどちらも余り美味しいとは言えません。然し、勤勉さでは抜群なので、その点は日本人に似ているかも知れません。
この三つの国で残念だったのは「パン」が美味しくない事でした。作り方が悪いのか、小麦の質の問題なのかは追求しませんでしたが。ペルーでは未だ若かったし、海外給与も安かったので、美食を追求するほど余裕もなく、ありきたりの食パンを食べていました。アルゼンチンには一応社長として赴任しましたし、
肉料理は美味しいのに、どうしてパンは美味くないのか、アチコチ探して廻った事もありました。或る時、イタリヤ料理を食べに行った時です。出て来たパンは焼きたてで美味しいのです。それでレストランに代金を払うから少し分けて貰えないかと訊ねると、これはお客様に出すために焼いているので、販売するものではないと断られてしまいました。食後、支払を済ませて出口に行くと、「セニョール」紙袋を渡すので、中を覗いてみるとパンが沢山入っていました。アルゼンチン人はこういう対応の仕方をするのかと感心しました。
チリでレストランを成功させるには、「量を多くし、安いこと」に尽きると思っています。友人に誘われて何度か通ったVinndobonaも高かったので短期間に倒産してしまい、残念に思い、そのシェフがどうしたか調べると山の方に少し登った処にあるレストランに雇われていると聞き、ここにも何度か通いました。それでも長続きはしませんでしたが。
こんなパンが一般的でした。