ハリウッド映画を見てつくづく思うのは、”筋肉ブタ”と”ポルノ”と”広い家”の3つの大きな致命傷が、未だに作品の多くを支配してる事に尽きる。
筋肉ブタは詰まる所、薬物汚染を引き起こし、人間を脳みそから破壊する。ポルノは女優の娼婦化を促しブロンド女を腐らせ、無駄に広い家は呪われた館を意味する。
原題は”You Should Have Left”。
つまり、”アンタはここに居るべきではなかった”である。
裕福な銀行家のテオ・コンロイ(ケビン・ベーコン)は、1回り以上年の離れた(売れない)中堅女優スザンナ(アマンダ・サイフリッド)と結婚し、娘エラを授かる。
そんなテオ夫婦に対する世間の目は冷ややかで、テオの前妻は入浴中に溺死し、”旦那が妻を事故死に見せかけて殺した”という噂で持ちきりだ。
コンロイ一家は、休暇をウェールズの大きな貸別荘で過ごす事にした。しかし、エラが謎の人影を見たと訴え、テオも悪夢にうなされる。
その上、妻の浮気がバレてしまい、”呪われた”広い屋敷には父娘の二人だけとなる。
テオは悪夢の中で、もう1人のテオと出会い、”アンタはここに来るべきではなかった”と囁かれ、二人でこの屋敷から逃げ出そうとするが、悪夢に引き付けられるが如く、この屋敷に舞い戻ってしまう。
テオは妻に本当の事(前妻の殺害)を告げ、”自分はこの屋敷に残る”と言い、母娘と最後の別れをする・・・
無駄に広すぎるアメリカ
典型の”呪われた屋敷”系のホラー作品だが、広すぎる屋敷と”冴えない”ポルノ紛いの女優の組み合わせには、最初からうんざりだった。
ケビン・ベーコンの善人か悪人か判別できそうにない役柄にはいつも感心するが、それ以外は見るべきものはない。
スザンナ役のアマンダ・サイフリッドの腐った魚みたいな顔が大映しになると、流石に引いてしまった。
それ以上に、広すぎる屋敷が全てをぶち壊した様な気もする。
何故、アメリカ人は無駄に広い屋敷に住みたがるのか?家族数人が住むのに、部屋が10室以上もある必要がどこにあるのか?
毎晩の様に多くの人を呼んで、イベントやパーティーを行うつもりなのだろうか?それともバレーボールでもやるつもりか?
とにかく、キッチンにしても居間にしても寝室にしても、全てが無駄に広すぎる。
贅沢な空間というより、無機質で虚無な空間である。悪夢にうなされ、怪奇現象に悩まされるのも当然ではある。
”恐怖物件”としてみれば、世界中でアメリカほど怖い物件もない。怪奇も悪夢も嫌悪も
アメリカの為にある様なもので、中東から立ち去るべきはアメリカだった筈だ。
しかし、もはや立ち去る事すらできなくなった。今の悲しいアメリカは、この映画のエンディングそのものだろう。
呪われ過ぎたアメリカ
つまり、これは今の空洞化し、分断化しつつあるアメリカを象徴してるのではないだろうか。
無駄に大きく、無機質で怪奇な国のアメリカ。戦争をしでかす事でしか生き延びれないアメリカ。都合の悪い事は、すべてその歴史から消し去るアメリカ。
かつて”夢の新大陸”と世界中が憧れた自由の国のアメリカは今や、呪われた大国のアメリカでもある。
大英帝国から清教徒が移住して建国したアメリカだったが、”アンタらはここに棲みつくべきではなかった”と、神様の囁き(God Bless)が聞こえそうだ。
結局、無駄に広いアメリカは最初から呪われた大国でもあったのだろうか。
因みに、私の家も無駄に広い。
まさに、空洞化しつつある無機質な空間に近いが、悪夢や怪奇現象に悩まされる事も少なくなった。
そういう意味では、アメリカよりかは少しはマシなのだろうか?
真新しい家でも広い家はなにか嫌な予感を感じてしまいます。
多分思い込みのせいかもせれませんが・・・
今さっき、コメントのままに追記しました。
とても参考になりました。
今では”戦争仕掛け人”ですよね。
下手にイランの内政に関与したから、後戻りできなくなった。
石油の取引だけで大人しくしてればいいものを・・・
それ以上の事をやろうとするから、泥沼にハマってしまった。
朝鮮戦争といい、ベトナム戦争といい、湾岸戦争といい、全ては実質上の敗北と化しました。
今のアメリカには、呪われた広い家しか残ってない様に思います。
世界中でアメリカほど
怖い物件もない
怪奇も悪夢も嫌悪も
アメリカの為にあるようなもの
中東から立ち去るべきは
アメリカなんだけど
もう立ち去る事もできなくなった
まさに
この映画のエンディングそのものだ