舞台袖に戻るとヒロムがいた。
「宰、どうなされたんですか。」
岸折奈美江は驚いた。
「奈美江さんのお話を聞きたくなってね。」
「まあ、嬉しい。宰にお会いできるなんて。」
「素晴らしかったよ。あなたの話し方はほんとに魅力があるね。引き込まれていったよ。」
「お恥ずかしいですわ。」
「また、会員が増えそうだね。」
「ありがとうございます。」
「じゃあ。」
「お帰りですか。」
「ああ、青山によろうと思ってね。」
奈美江は深々と頭を下げた。ヒロムの姿が見えなくなると奈美江はキッとした顔で振り向いた。
「堀部、堀部は、」
「ハイ。」
「前列中央、右から七番目の女をターゲットにしなさい。私の講和中に三度もあくびをした。」
「ハイ、解りました。」
組織は巨大化した。ヒロムはほとんど何もしなくなった。時々、ヒトミと会員の前に現れればよかった。「流魂」はヒロムの手を離れたのか。確かにヒロムが見込んだ幹部は優秀だった。法学部、演劇部、経済学部、薬学部、理科学部、それぞれの得意分野を生かし、組織が大きくなることを喜び、ヒロムとヒトミに認められることを競い、ヒロムの手が、ヒトミの身体が癒しを与えてくれることを望んだ。幹部クラスになると十分に楽しみながら「命の水」を使った。
「宰、どうなされたんですか。」
岸折奈美江は驚いた。
「奈美江さんのお話を聞きたくなってね。」
「まあ、嬉しい。宰にお会いできるなんて。」
「素晴らしかったよ。あなたの話し方はほんとに魅力があるね。引き込まれていったよ。」
「お恥ずかしいですわ。」
「また、会員が増えそうだね。」
「ありがとうございます。」
「じゃあ。」
「お帰りですか。」
「ああ、青山によろうと思ってね。」
奈美江は深々と頭を下げた。ヒロムの姿が見えなくなると奈美江はキッとした顔で振り向いた。
「堀部、堀部は、」
「ハイ。」
「前列中央、右から七番目の女をターゲットにしなさい。私の講和中に三度もあくびをした。」
「ハイ、解りました。」
組織は巨大化した。ヒロムはほとんど何もしなくなった。時々、ヒトミと会員の前に現れればよかった。「流魂」はヒロムの手を離れたのか。確かにヒロムが見込んだ幹部は優秀だった。法学部、演劇部、経済学部、薬学部、理科学部、それぞれの得意分野を生かし、組織が大きくなることを喜び、ヒロムとヒトミに認められることを競い、ヒロムの手が、ヒトミの身体が癒しを与えてくれることを望んだ。幹部クラスになると十分に楽しみながら「命の水」を使った。