許されようとは思いません
芦沢さんの本は、これで3冊目。これも面白かったです。3つ★半~4つ★
許されようとは思いません/目撃者はいなかった/ありがとう、ばあば/姉のように/絵の中の男
の5つの短編集です。
★以下ネタバレで簡単なあらすじ・感想★
許されようとは思いません
祖母がぼけた祖父の行動のせいで村八分の目に遭っていた。
田舎の古くからのしきたりって怖いわ・・・。
でも祖母は離婚したくても実家に戻れなかったのね。お墓に一緒に入るのが嫌だから、わざとこういう策を練ったとは・・・。可哀想な人生だったな祖母・・・。
目撃者はいなかった
間違って多く注文してしまった木材。なんとか誤魔化そうとした渦中、偶然交通事故に遭遇。
目撃者となってしまう。運悪く加害者側が相手が亡くなった事をいいことに嘘をついている。証言してあげたいのは山々だが自分がやったことがバレてしまうから警察に行けない・・・
最後は被害者の妻が、自分が証言してくれないからと、逆に違う事件の加害者として疑われる様な工作を行う。
ありがとう、ばあば
痩せて美しくなった孫、色々彼女をがちがちに管理している祖母。
最後はベランダの外で締め出しをくらう
ばあばが死ねば、年賀状を出さなくて済むからという、驚きの理由。
(太ってる時の自分の写真がプリントされた年賀状を出さずに済む)
姉のように
姉妹で犯罪を起こしてしまったお話。
ミスリードで、てっきり虐待をしたのは姉かと思いきや、それは妹の事件で、姉は金に困って人の物を盗んだ事件でした。
この中で、共感してしまう部分があったので抜粋
私は小学生の頃から、夏休みの宿題は七月中に終わらせるような子どもだった。
やらなければならないことが見通しが立たないまま積み重なっている状態がストレスで、その借金のようなものをすべて返済してしまわなければ心の底から休みを楽しめなかった。とにかく目の前のことを片づける。それから休む。そうして生きてきた私が最初につまずいたのは、社会人になったときだったと思う。
新卒で入社したのはウェブデザインの下請け会社で、仕事を締め切り前に片づければ、その次にあるのは休みではなく別の仕事だった。いつも仕事が速いから助かるよ、と言われてはにかんでみせながら、内心ではどうすればいいかわからずに悲鳴を上げていた。休みたい。終わりが見えない。でも締め切りぎりぎりまでの時間を程よく休みながら働くことができない
私もこれ、すごく解るわー。
絵の中の男
家政婦として高名な画家の二月先生のお家で働く。夫の恭一も画家だったが二月のようなずば抜けた才能はなかった。二月は一人息子の猛を火事で失ってしまう。スランプに陥った二月。
夫は自分が二月の目の前で衝撃的な死を迎えれば、彼女の絵の題材になると思って自ら起こした。
許されようとは思いません 芦沢央 2019年05月
汚れた手をそこで拭かない
芦沢さんの本は、これで3冊目。これも面白かったです。3つ★半~4つ★
許されようとは思いません/目撃者はいなかった/ありがとう、ばあば/姉のように/絵の中の男
の5つの短編集です。
★以下ネタバレで簡単なあらすじ・感想★
許されようとは思いません
祖母がぼけた祖父の行動のせいで村八分の目に遭っていた。
田舎の古くからのしきたりって怖いわ・・・。
でも祖母は離婚したくても実家に戻れなかったのね。お墓に一緒に入るのが嫌だから、わざとこういう策を練ったとは・・・。可哀想な人生だったな祖母・・・。
目撃者はいなかった
間違って多く注文してしまった木材。なんとか誤魔化そうとした渦中、偶然交通事故に遭遇。
目撃者となってしまう。運悪く加害者側が相手が亡くなった事をいいことに嘘をついている。証言してあげたいのは山々だが自分がやったことがバレてしまうから警察に行けない・・・
最後は被害者の妻が、自分が証言してくれないからと、逆に違う事件の加害者として疑われる様な工作を行う。
ありがとう、ばあば
痩せて美しくなった孫、色々彼女をがちがちに管理している祖母。
最後はベランダの外で締め出しをくらう
ばあばが死ねば、年賀状を出さなくて済むからという、驚きの理由。
(太ってる時の自分の写真がプリントされた年賀状を出さずに済む)
姉のように
姉妹で犯罪を起こしてしまったお話。
ミスリードで、てっきり虐待をしたのは姉かと思いきや、それは妹の事件で、姉は金に困って人の物を盗んだ事件でした。
この中で、共感してしまう部分があったので抜粋
私は小学生の頃から、夏休みの宿題は七月中に終わらせるような子どもだった。
やらなければならないことが見通しが立たないまま積み重なっている状態がストレスで、その借金のようなものをすべて返済してしまわなければ心の底から休みを楽しめなかった。とにかく目の前のことを片づける。それから休む。そうして生きてきた私が最初につまずいたのは、社会人になったときだったと思う。
新卒で入社したのはウェブデザインの下請け会社で、仕事を締め切り前に片づければ、その次にあるのは休みではなく別の仕事だった。いつも仕事が速いから助かるよ、と言われてはにかんでみせながら、内心ではどうすればいいかわからずに悲鳴を上げていた。休みたい。終わりが見えない。でも締め切りぎりぎりまでの時間を程よく休みながら働くことができない
私もこれ、すごく解るわー。
絵の中の男
家政婦として高名な画家の二月先生のお家で働く。夫の恭一も画家だったが二月のようなずば抜けた才能はなかった。二月は一人息子の猛を火事で失ってしまう。スランプに陥った二月。
夫は自分が二月の目の前で衝撃的な死を迎えれば、彼女の絵の題材になると思って自ら起こした。
許されようとは思いません 芦沢央 2019年05月
汚れた手をそこで拭かない
短編集ってどの話を感想に書くか迷ってしまいます。
最初の「同じお墓に入りたくないから・・・」ってので思い出しました。
あと抜粋の部分。
頑張って仕事を早く終わらせても、次から次へと来るのよね^^; 真面目で仕事を頑張る人ほど、仕事が増える。
なんか理不尽よね~~~。
でも世の中って理不尽なことだらけ。イヤになる。
これ、読まれていたのですねー。
読んでても感想書かずじまい・・って事ありますよね。私は結構あるんですよ。
短編集って読んだばっかりなのにもかかわらずタイトルだけ見て、すぐスパッと内容が出て来ない!って事があります。
抜粋の部分、解って頂けて嬉しいです
わざとゆっくりやる・・とか、そういうのも面倒というか苦手でした。
今はもう働いてないのですが、一番最後に働いた職種は、そういうのが無い仕事だったので助かりました。
どの物語も、雁字搦めになりながらそこを抜け出すトリックとしての行為が、これだけ後味悪いことになるのかと思うと、空恐ろしい・・と、ゾッとしました。
ただ、「許されようとは~」の終わり方は、経緯はともかくスッキリしたものになったのが救いでした。
https://aosyo6.seesaa.net/article/202004article_2.html
短編ながら、それぞれアッと思わせられるオチや展開があって、芦沢さんってアイディアが一杯ある方なんだなあーと感じています。
割とコンスタントに新作を出しておられるし。
そうですね、「許されようとは~」はやっぱり好きか嫌いかはさておき、この短編集の中でも印象に残る作品でした。