ポコアポコヤ

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「とんこつQ&A 」 今村夏子 ネタバレ感想

2022-10-13 | 小説・漫画他

とんこつQ&A
タイトルのインパクトよ!
もともとは「とんこう」だったのがうの点が取れて、とんこつって!

今川は中華料理店「とんこつ」の接客バイトを始めるが緊張のあまり言葉が出てこない。それでも店主と息子のぼっちゃんは怒る事もなく彼女に優しくしてくれて仕事も続けられていた。ある日書かれた文字を読むことならできると気がつき、接客に必要な受け答えの言葉をメモ書き(とんこつQ&A)して携帯するようになり、お店も繁盛した。

その後、もうひとり別のアルバイト女性が雇われることになるが、その人もかつての自分と同じに接客がまるでダメな使えない人材だった。
しかし彼女は関西弁が話せるということで、若くして妻・母を亡くし未だ忘れられない店主とぼっちゃんは彼女に母を重ね合わせる。お客さんの中にも「おかみさん」と呼ぶ人も現れた。

うわー、どうなるのかな?と思いきや、彼女に(とんこつQ&A)メモを渡し、なんと大阪弁のメモも作ってあげたり、ファミリーバージョンまでも・・・・
そして4年が経ち、現在もそこで全員働いている。ぼっちゃんは高校生になった。

今川さんが作ったメモには「彼女がいてこそのとんこつである」とか、「ずーっと今川さんにはいて欲しい」とか、彼女の願望が入ったメモが・・・。笑

「嘘の道」
小学生の僕は一つ上の姉とその友達3人と仲良く遊んでいた。姉のクラスには与田正という生徒がいて彼は嘘ばかりつくという事等でイジメにあっていた。
両親と与田の話題が出ると、父いわく、そういう奴はそのうち消えていなくなってしまうというのだった。

ある日、姉弟は地域の敬老会の集まりに行く途中で道に迷ったおばあさんに出会い、親切心から裏の近道を教えてあげたのだが、運悪くおばあさんは転んで怪我をして大ごとになってしまう。
こんな細い道を教えたのは誰だ? 与田だろうという噂が経って、本当の事を打ち明けられなくなった姉弟はその後不登校になり・・・その後存在が消えてしまった・・・というお話。

うわーーこれは・・・・。キツイお話ですね。与田は転校していったけれど・・・ 
学校の今月の目標で期間限定でその時だけ与田に優しくみんなしたけれど、期間が終わったらまたイジメっていうのとかね・・・。
あのおばあさんにバッタリ会ったらどうしようと姉が道をあまり歩けなくなってしまうとか、そういうのは解るなあ・・・。

「良夫婦」(『群像』2021年7月号所収)
これはこのお話だけ以前読んだ事があったので、自分が過去に書いた感想をコピペ

面白かったです!短編読み切りですが、どことなく「あひる」っぽい感じの作品。

サクランボの木のある古い家に住む30代の子無しの夫婦。パートタイムで働く友加里は、近所の小学生の少年と知り合う。少年が痩せていていつもお腹を空かせていることを心配した友加里は、少年にお菓子をあげるようになる。そして自宅のサクランボの実がついた頃、木に登って好きなだけ食べて良いよと言う。
居留守を使って少年がサクランボを食べるところを覗いていたが、少年が木から落ちて大けがをしてしまう。その時パニックになって、保身・隠ぺいをしてしまう。
実は友加里はかつて訪問介護の仕事をしており、そこを仕切っているのが今の夫だった。その時にちょっとした不始末をしてしまったのを夫にもみ消してもらった過去があるのだった。
結局、少年側からは責められるとか問題が起きることは無く、暫くして普段どおりの日常が戻って来るというところで終わる。


冷たい大根の煮物
プラスチック部品工場で働く19歳の木野は、ある日芝山さんというおばさんから声をかけられる。
彼女には気をつけなよという忠告をされる。
安売りスーパーの存在を教えたのがきっかけで、芝山さんはそのお礼にと木野に親切に接してくれる。しかし木野は噂どおりに借金を申し込まれるのではないかと常に緊張はしていたのだが・・・
芝山さんは美味しい料理を作ってくれてレシピを教えてくれて・・・。
そして最後はいきなり仕事を辞めてパッタリと縁が切れる。お金も1万円かしていたけれど、当然戻って来ない。それでも芝山さんがいなくなった後、木野は自炊をするようになるのだった!
 
オチが結局・・・って事で終わりじゃなくて、ちょっと前向き?に締めくくってるのが良いですね。

相変わらず今村さんのお話、とっても面白くて好きだなー。4つ★~四つ★半
今後も楽しみにずっと追いかけて行きます。

とんこつQ&A  2022/7/21 今村夏子

今村夏子
「木になった亜沙」「良夫婦」
ネタバレ「父と私の桜尾通り商店街」「星の子」
「あひる」
「むらさきのスカートの女」
こちらあみ子
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2 コメント

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Unknown (わぐま)
2023-05-09 08:52:25
おはようございます。
うん、不思議な本でした。
表題作のとんこつも、大将&ぼっちゃんも少し変わった人たちですよね^^;
2作目の与田正の話も、いじめに対しての対応、どうよ?って疑問だったし(笑)
3作目のは・・・あ、そーいう事だったのね。と少し納得
最後のは、、、家に入れたらダメやろ~~~!って思ってた。
どこか不思議で、上手く感想が書けなかった。
latifaさん、体調が良くなく大腸カメラをしたとのことで、少し心配しました。
でもそっか、持病か~~~。何の問題も無かったのは良いけど、過敏性腸症候群もツライですね。私は医師では無いので何も言えませんが・・・何か楽しいことやって、気分転換しましょ♪ 私も持病の膠原病が悪化してて(多分、減薬したから)今月、通院なのですが憂鬱です。 上手いこと言えないけど、ガンバロー!
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わぐまさん☆ (latifa)
2023-05-10 08:50:29
わぐまさん、こんにちは!
コメントありがとう

今村夏子さんの書く小説に登場する人って奇妙な人が多いのよね。
ただ、今村さんご本人は画像で見る限りは普通の方で、エキセントリックさは感じないんだけど・・・。

彼女のエッセイとか普段の日常の様子なんかの本も、いつか読んでみたいかも。どんな人なのか?興味があるわー。

わぐまさん、励ましの優しいお言葉ありがとう。
わぐまさんも辛いね・・。
うーん、、そっかあ・・・減薬のせいなのか、異常気象で自律神経が参ってるせいもあるのか・・解らないけど、上向きになるのを祈ってます。

夫さんの方も前回と違って良くなってると良いなーと思ってます。

気分転換は重要よね。お互いがんばりましょう
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