先日読んだ「横道世之介」が、すごく良かったので、吉田さんの本をまた読んでみようと思って、図書館の棚に偶然あったので、この「さよなら渓谷」を選びました。
「悪人」の後に発表された作品だったんですね。
どことなく「悪人」と通じるところがある雰囲気の小説でした。
面白く引きこまれて読ませてもらったのですが、最後が、すとんと来ないというか・・・どうもスッキリしない感じで終わってしまったような・・・。3つ☆半~4つ☆
それにしても、過去に数人に廻されてしまった女性のその後の人生が・・・あまりに悲惨で、読んでいて同性として、辛すぎました・・・。
一番印象的だったのは、その時、どういう流れで、あんな事になってしまったのか?というのを詳細に描いたシーンでした。
まあ、、、読みながら、結構納得が要ったというか、なるほど・・・こういう風な感じで、そうなってしまったんだなあ・・・とリアルに感じさせられました。
まさか、そういう風になってしまうとは、思わなかったでしょうね。その場にいた全員が・・・。
★以下ネタバレ 白文字で書いています★
最後、部屋を出て行った水谷夏美=被害者かなこ。出て行ったということは、尾崎を許すという事になる・・らしい。でも尾崎はかなこを探す、探し出してみせるという勢いがあったのが救い。探し出して一緒になって欲しいと思いました。
尾崎は強姦したとはいえ、ずっと忘れられずに、重い罪を背負って生きて来たので、悪人とは思えずに読みました。以上
あと、印象に残ったのは、169頁の文章で、自分と同じ同性(男性)相手だと同じ男だってことで、気を許しているような、手加減ってわけじゃないけれど、そういうのがあるけれど、女相手だと、男の時以上にマイクを突っ込んじゃって、男以上に謝ってほしくなる。本当に苛々してくる。殴りたいのに絶対殴れないときのように」という処とか、
207頁で、「あんな事件を起こした自分を世間は許してくれるんですよ~以下略」という処とか・・・。
吉田修一 / 2008-06
内容(「BOOK」データベースより)
きっかけは隣家で起こった幼児殺人事件だった。その偶然が、どこにでもいそうな若夫婦が抱えるとてつもない秘密を暴き出す。取材に訪れた記者が探り当てた、15年前の“ある事件”。長い歳月を経て、“被害者”と“加害者”を結びつけた残酷すぎる真実とは―。
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「パーク・ライフ」
芥川賞を受賞していたそうな・・・。
う~~む・・・。私なんかには、この作品の凄さが解りませんでした・・・
普通にさらっと読めるお話で、とりとめのない感じの小説でした。3つ☆
「パーク・ライフ」と「flowers」の2篇。
表題作は、日比谷公園でいつも休憩している主人公は、同じ公園に時々休憩にスタバのコーヒーを買って来ている女性と出会う。
なんか、2002年といえば、もう10年も前なんだなあ・・・。このちょっと前くらいにスタバが日本でも知名度確立したんだっけ・・・と、そういう無関係な事を思い出したお話でした。日比谷公園ってちゃんと行った事がないけれど、地下鉄から出てその不思議な感覚が味わえるかトライしてみたくなりました。
「flowers」
運送の仕事をしている主人公は、故郷から一緒に出てきた妻と仲良く暮らしている。月に1回、豪華なホテルに泊まっている。
運送の仕事の先輩から誘われ、上司の奥さんと・・・
なんか、こんな誰とでも・・な奥さんいるのかな?旦那の同僚や仕事仲間と、こんなに関係持ちまくるなんて、怖いもの知らずもはなはだしいー。その驚きばかりのお話でした。
吉田 修一/ 2002-08-27
横道世之介
悪人
最近はちょっとミステリーに走った感があるけど、オシャレな文章を書くな~って。
一時期、スタバで吉田修一を読むのが俺の一番のオシャレな時間でした(笑
吉田さん、私も好きです。
もっと読みたい。
前に読んだ本なので、どんな本だっけ?と思い出しながら、latifaさんのレビュー見てたら、すっかり読み返したくなっちゃいました。
すぐ読めそうだし、チャレンジしてみようかな??
今、けんさんちで、これらの本の感想無いかな~って検索したら、好きな作家さんランキングっていうのがあったので、見て来ました。
>最近はちょっとミステリーに走った感があるけど、オシャレな文章を書くな~って。
そうなんですね?!
私は「悪人」から入ったので、初期の作品って知らなくて・・・。今後色々読んでみます。
>スタバで吉田修一を読むのが俺の一番のオシャレな時間
むふふ☆ そうでしたか
電車やカフェなどで、見知らぬ人が本を読んでいると、つい何の本を読んでいるのかなぁ~と、注目してしまいます。
ちきちきさんも吉田さんのファンなんですねー。
20代~30代前半の若い方に、吉田さんって好まれている作家さんなのかな。
私の世代だと村上春樹ファンの人が結構多かった気がするのだけれど、世代によって、そういう傾向とかあるのかな
被害者でありながら、女性に立場が弱いことに腹立たしく思います。
すっきりしない話でしたが、引き込まれる内容でした。
そうそう、すっきりしないお話ですが、凄く引きこまれて読みました。
でもお昼のドラマとかで使われそうな、ストーリーのような気も少々するかな?
毎日寒いですね~。
インフルエンザも流行りだしたみたいだし、お互い、気をつけましょう!
「さよなら渓谷」は映画の予告でもあんまり…で近寄らなかったけど、惹き込まれるのなら挑戦してみてもいいかなぁ。
でも、吉田修一さんといえば、今や(というか、だいぶ前からですが)一流の作家さんの一人ですものね。人気も実力も。
「悪人」あたりからかなあ・・・一段階、凄い作家さんの階段に登った感が(勝手な私の感覚で)
この作品を芥川賞に選んだというのは、審査員の先生たちの先見の目があったというか、見る目があったんでしょうね。