ほっと文庫 入浴剤＋小説 「郵便少年」森見登美彦

入浴剤と、薄い文庫サイズの小説がセットになっている「ほっと文庫」なるもの。
全部で６種類あって、カラフルで可愛らしいパッケージと、人気作家さんと、お値段も１個３００円台とお安いので、つい買ってしまいました。

ほっと文庫 「郵便少年」 森見登美彦

今まで読んだ森見作品の中で、これが一番私は好きでした。５つ★
読みながら「ペンギンハイウェイ」と似てるな・・と思ったら、やっぱりそうで、ペンギンハイウェイの１年ほど前の設定のお話になるそうです。
ペンギンハイウェイは、主人公の男の子がユニークで、面白く読んだのですが、後半からのファンタジーなストーリー展開に、ちょっとついて行けない部分もあったんです。
でも、この「郵便少年」は、そのファンタジー部分をバッサリそぎ取っています。

内容は、ちょっと小生意気だけど賢い主人公のアオヤマ君と、ヒサコさんとハセガワ君という、ちょと偏屈な２人との交流のお話。
短い小説ながら、きちんとまとまって出来ているし、最後の締めのある部分が、と～っても素敵で、大好きです！！
赤いポストや、南極やら、彼の住んでいるご近所の緑の風景などの鮮やかな映像が、読んでいてぱっと浮かび上がるのも良かったです。

（あらすじ）主人公のアオヤマ君は、賢く大人びた小学校三年生。赤くて四角い郵便ポストが大好きで、郵便が届くシステムも郵便やさんも好きだ。
彼は歯医者で出会ったヒサコさんという、ちょっと風変わりな、おばあさんと仲良くなる。おばあさんは南極に行ってみたいらしい。
アオヤマ君は、郵便屋さんっぽい赤い鞄や帽子をヒサコさんから譲り受け、アオヤマ郵便局なるものを作る。そんな時アオヤマ君のクラスにいる、ハセガワ君という、宇宙人と呼ばれ、ちょっとひねくれた男の子が１通の手紙を投函してくれた。彼は火星宛に、宇宙語の手紙を書いたという。

★以下ネタバレ　白文字で書いています★
ヒサコさんからの手紙が届いた（ヒサコさんは突然亡くなってしまい、歯医者の若先生が、代わりに彼女の手紙を投函したようだ）
その内容は、ヒサコさんは子供の頃、ハセガワ君のような人間で、さみしい思いもしたし、人とうまくつき合っていけなかった。アオヤマ君とハセガワ君が仲良くなってくれたらいいなあ～と願っていること。どうやったらハセガワ君の手紙を火星に届けられるか？を考えてみたら、タイムマシンで将来に送るというアイディアが浮かんだようだ。タイムマシンに乗せるとき、この自分の手紙も一緒に乗せてもらえるでしょうか？そうすればこの手紙も時間を超えて、未来のアオヤマ君に届くでしょう。大人になったアオヤマ君がこの手紙を読み返し、ヒサコさんの事を思いだしてくれると幸いです、というのです！！！
なんかもう、素晴らしいアイディアで、感動してしまいました。以上
肝心の入浴剤の方は、森の香りかな？緑色で、普通に良かったです。

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もう一つ「ほっと文庫」を買ってしまいました。
黄色いパッケージの「ほっと文庫 ゆず、香る」有川 浩

小説の内容はというと、森見さんの入浴剤とは直接関係無い独立した小説とは違って、この「ほっと文庫」の商品の為に書いた！というお話でした。商品＋恋愛ものとを入り混ぜた内容で、よくもまあ、有川さんは、ちゃっちゃ！と、こう小説を上手に作れるものだなぁ～と感心してしまいます。３つ★半

（あらすじ）主人公の２人は長年の友人、お互い好意を持ちつつも、いまだ恋人未満。２人はそれぞれ高知県と静岡県出身で、故郷のみかんバトルや、うなぎバトルなどで盛り上がった事がある。
男性は、バンダイ？で働いていて、今回あらたに製作したのは柚の入浴剤。
「県庁おもてなし課」でも郷土愛を示した高知県出身の有川さんが、本作でも、故郷の柚についての産地や農家の状況などを書いています。

入浴剤は、優しい感じの柚の匂いでした。

他のも買ってみたくなりました。
ほっと文庫