原作⇒だいぶ忘れかけてきた頃映画鑑賞 7年経過 映画再鑑賞⇒「続 横道世之介」読む
という流れです。
先日TVで放映をやってくれたのを見て、やっぱり面白かったなあ・・・と思っていた矢先、タイミングよく図書館からリクエスト待ちしていた本が回って来ました。
凄く面白かった前作の小説「横道世之介」感想の続編ということで、とても楽しみにしていましたが、きっと主人公の脇の人達のエピソードなんだろうな・・と、期待せずに読み始めたら、しっかり世之介が主人公だったのは嬉しかったです。
時代は1993年から94年にかけてと、現在は2020年オリンピック開催中の2つの時間枠で語られます。
★以下、ネタバレしまくりのあらすじです★
93年、世之介は一留年後、52社受けるも就職失敗、池袋駅の近くに引っ越し、もずく屋とバーでバイトしつつパチンコしている毎日でした。
大学時代からの友人で運よく一流企業に就職出来たものの上手く行ってないコモロンという友人と一緒にお酒を飲んだり、いきつけのパチンコ屋で台を取り合いになった女性で、後に美容院で髪を坊主にするという浜本という女性と出会う。彼女は寿司屋になるべく覚悟のカットだったんですよね のちに一流の寿司屋の親方にまでなっています!
コモロンと偶然窓の外の風景を見ていて見かけて(ちょっと犯罪入ってるけど^^)美女を見かけて家を突き止めたら、ちょうど彼女の小さな息子がビー玉を喉に詰まらせていて、それを救ってあげたことから知り合いになる。
その後、市民プールでばったり会って、息子を介して仲良くなり、そのうち彼女の実家(自動車整備工場)でバイトすることになる。
彼女のお兄ちゃん隼人は、かつてヤンキーだった中学時にタイマン木刀の喧嘩で、相手の男性を植物状態にさせてしまっていました。
その後、毎週日曜日には相手の家に通う生活を10年以上続けています。今では被害者のご両親にも認めてもらっていて、ただ黙って隼人が録画した格闘技やスポーツのビデオを鑑賞したり、たまには外でバーベキューするなどして過ごしています。
2020年オリンピック、桜子の息子の亮太はマラソンの選手になっていました!!
桜子と世之介が別れてしまった後も、亮太と世之介の交流はずっと続いていましたが、亮太が中学高校と専門的なマラソンの活動が忙しくなったり、思春期ならではの気恥ずかしさから、段々疎遠になってしまっていました。
コモロンは世之介とアメリカの旅の後、一念発起してアメリカに留学してから着々と仕事を成功させ、現在はかなりのエリートさんになってます。ベトナムに10年前から住み、枯葉剤の後遺症で苦しむ子供たちの施設見学で、どうやらあの「祥子」と顔見知りになっています。恋愛的なものはないです。
隼人兄ちゃんは、被害者の男性が急変して亡くなった後、船乗りになってます。
小説の最後はこの隼人から亮太にあてての手紙で締めくくっています。
(亮太からの返信には、いつも世之介の話題が多かったことが解る)とても良い締めくくりになっていました。
ヤンキーの桜子と世之介の共通の趣味が、スーパーなどの陳列を見てコメントし合うという、お金がかからないのに楽しい様子が、とても微笑ましかったです。
世之介は2回、桜子にプロポーズしますが、断られてしまいます^^
世之介が趣味で撮っていた写真ですが、自らが応募したコンテストには落ちてしまうも、勝手に隼人が送った地方都市の小さなコンテストで佳作に選ばれます。その授賞式で偶然お偉い写真家の師匠に出会い、偶然自宅もすぐそばであることが判明。これをきっかけにきっと世之介がカメラマンになったんだろうな・・。
この本を読んでいる渦中、さいたまで義父に殺されてしまった少4の男の子の事件が日々報道されていて、世之介は血のつながっていない亮介を、凄く可愛がっており、お正月の初詣の時に自分の事をお願いするのを忘れ、亮介の事を願うほどなんですよ。こんな人が義父だったら、どんなに息子は幸せだろう・・・と思わずにはいられませんでした。
読み終わった後、吉田さんのインタビュー記事こちらを読んだら、彼が小5の時に大勢の子供たちで遊んでいるさ中、1個上の子が自転車で怪我をして植物状態になってしまい、その後メンバーで彼の家に定期的に行くというのを続けていたそうで、それが隼人のエピソードにつながっているそうで、ご本人もこの小説で一番書けた気がする人物は隼人だったそうで、納得でした。
私も読みながら、特に後半、隼人と被害者、そのご両親などの関係やありかたには、一番ガツンと来たので。
それと、なるほど確かに、と思ったのは、浜本が修業時代いじめにあって大変だったころ、会いに行こうと思ったものの結局世之介は会いに行かなかったんですよね。でも、相手は渦中に会いに来られても迷惑なだけで、近い処にいつもいて話したい時に気軽に会える存在、っていうのが良いって処でした。
あと、吉田さんは古くから短文ですが日記をつけているようで、それで行った場所とか、思い出すのに、とても役立っているようです。
今となっては当たり前の100円ショップが世に出来始めた頃とか、色々読みながら懐かしいエピソードも多くて、とても満足の高い小説でした。
ほぼ5つ★ 凄く良かったんだけど、桜子とその家族や知人友人も、浜本も、みんなヤンキー上がりなんですよね・・・。
個人的に最近メディアでヤンキー懐古みたいな企画がとても多いのに満腹だったので、、、
でも「善良」な世之介。
読んでいて、微笑ましくて、後味も良くて、やっぱりこのシリーズが大好きです。
表紙の草原に親子らしき姿が見える写真は、読んでみると、そうなのか・・・と。
前作の表紙(私が読んだ単行本はイラストだったのですが)、現在版?文庫版?は草原の中、若い男性が走っている後ろ姿の写真の装丁になっていて、その写真と続の写真が対になっている感じで良いですね。
続 横道世之介 吉田修一 2019/2/20
吉田修一さんの本の感想
「怒り」
「路ルウ」「平成猿蟹合戦図」
「さよなら渓谷」「パーク・ライフ」
「横道世之介」
「悪人」
いや、そうでも無いか。事件は起きているのですが、横道の目を通すと何か物事が淡々としてしまう。
それだけの話なのですが。。。
なのに深く共感を呼び起こし、最後まできっちり読ませる。
面白い作品ですよね。しかし感想が書き難い
今は吉田修一さんの小説、結構好きって思っているんですが、最初に読んだ「悪人」で、悪意が多くてぐったりして、あんまり良い印象を持てなかったんですよ。(その後見た映画版が凄く良かったため、自分の記憶が塗り替えられ、今では面白かったと思っているのが恐ろしい)
でも「横道世之介」を読んだあたりから、吉田さんの印象が変わりました。
続、も良かったのが嬉しかったです。
もうこのシリーズはお終いかな・・・ちょっと淋しいな・・・
もっと世之介に会いたいです。
そうそう、続は私もついつい、世之介が高良さんの姿が頭にチラつきました。
続、続 も読みたいなあーー
視点変えて、世之介以外の、祥子のその後でもいいし
世之介が亡くなるって知っていて、それでももしやと期待して読むのは辛かったです。
小野寺さんの描く主人公と似ているのですが、ちょっと違う点があるような?
世之介の方がヘタレで危なっかしいのよね。桜子とその家族や知人友人も、浜本も、みんなヤンキー上がりなのが、私も気になりました。一方で、世之介が帰省せずに、長崎の実家のお父さんが上京する場面やお母さんの心配が胸に響きました・・・。8514
そうなんですよね、世之介が亡くなるって事を知って読むのは、辛いです。
しずくさんがおっしゃってる、世之介の両親の世之介を心配する様子等、感想に書き漏れてしまいましたが、私もとても印象に残りました。
ご両親の思いを考えると・・・、自分が世之介の母で、世之介があんな風に亡くなってしまったら・・と想像するだけで、耐えられん!悲しくて立ち直れないくらいズドーンとなってしまいます。
あ、それとヤンキー上がりが多い件、しずくさんも同じ風に思われたなんて嬉しいです!
先週、こちらと世之介の双方にコメントを差上げたのですが反映されていないようなので再度トライです!!
映画化されていたのですね。全然知りませんでした。しかも主役の俳優さんも知らない人だ 笑
この物語の可笑し味と悲し味は文章でこそ伝わるような気がするのですが、映画ではどんなだったのだろう?ちょっと興味ありです (^^♪
コメントありがとうございました。
すいません 何かブログの調子悪かったみたいですね、何度もお手数おかけしちゃって申し訳なかったです。
前作のは映画化されてTVでも放映されていましたよ。また機会があったら是非!。
主役の男の子は、この前のNHK大河ドラマ「青天~」にも準準主役で出演していた方です、見れば「あぁ、この人ね」って解るかもです。