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「影裏」沼田真佑 ネタバレ感想

2020-02-16 | 小説・漫画他

この作品の事を全然知らずにいたのですが、あるブロガーさんのところでこの本を知って、内容(親友だった人が急にいなくなり、その後彼の知らなかった姿が明らかになっていって・・・)が面白そうだし、今度映画化されるそうで、その配役も良くて、更に図書館で誰も借りられてなかったので、すぐ読むことに。

私は、こういった、親しくしていた人が消えた後、知らなかった姿が明らかになる・・って内容が大好きなんですよ。

とても薄い本です。
でも、読みやすいか?と言われれば、日浅がいなくなってから、次に再会する処が、時間が急に飛んで、ん??って一瞬戸惑ったりと、ちょっと読みにくいなあと感じる部分がありました。
あと、難しい漢字が出ていて、ルビ?もふられてないので、検索のしようもなかったり・・・。

★以下ネタバレ★

で、中盤まで読み進めていって、主人公の紺野の元恋人が男性であること、そしてその男が性転換して現在は女性になっていることが解ります。
あ、そうなのか、主人公は、日浅の事を友達というよりは、LOVEだったんだ・・・と、ここで見る目が少し変わります。

日浅役が、松田龍平と知って読んだせいか、まさにピッタリで、しっくり・・・
昔、伊坂幸太郎の「鴨とアヒルのロッカー」の映画で、龍平が演じた不思議な男役を、なぜか思い出したり・・・。

結局、日浅は東京で4年間大学に通ってると親に嘘を言い、仕送りしてもらっていたけれど、実は偽の卒業証書をもらっていて、何をしていたのか解らなかったり、職場の気の良いおばちゃんに何口も仕事の契約をしてもらったり、お金も30万だかを借りていたり・・・ 適当な男だったみたいでした。

そのうち、3.11の大震災が来て、行方不明になった日浅。
主人公は、あちこち彼を探すのですが、行方が解らず、結局日浅の実家を訪ねて行くのです。
そこで父から聞いた、日浅のこと。(偽造卒業証書、幼い頃の友人関係が独特だったこと。一人の子にべったりだが、暫くすると、別の子とまたべったり、という繰り返し)

ラストは、日浅が見つかるわけでもなく、特に何があるってわけじゃなくて終わります。

小説ならでは、の楽しさが感じられる作品でした。
途中までは、主人公がゲイってことは解らなかったし、それを解ってから読むと、この小説自体が、かなり違った印象になる。
(あ、映像でも、外見だけでは判断つかないから同じか・・この役を演じる綾野剛さんが、どういう演技をするのか、興味がわきます)

沼田さんは、受賞当時、確か塾講師をしてるとかで・・
小説家になってすぐ芥川賞を受けてしまったら、嬉しい反面、これからが厳しいでしょうね・・。

「影裏」沼田真佑 2017
内容・あらすじ
会社の出向で移り住んだ岩手の地で、ただひとり心を許したのが、同僚の日浅だった。
ともに釣りをした日々に募る追憶と寂しさ。
いつしか疎遠になった男のもう一つの顔に、
「あの日」以後、触れることになるのだが……。
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