ポコアポコヤ

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ネタバレ 小玉ユキ「青の花 器の森」と波佐見焼

2021-08-04 | 小説・漫画他

友達から「青の花 器の森」のコミックを教えてもらって、大好きだった「坂道のアポロン」の小玉ユカさんの最新作、読んでみました。
長崎の波佐見を舞台にした器と恋の物語、とっても面白くて一気に最新刊の7巻迄楽しく読みました。5つ★

メインのキャラは「坂道のアポロン」の、りっちゃんと少し似た風貌の32歳の青子と、静岡出身でフィンランドから1年くらいの期間見学かねて参加してきたイケメンの龍生の2人です。
つっけんどんで感じの悪かった彼が、だんだん柔らかくなってきて、2人が近しくなっていく様子が良い!
最初の早い段階から結構両想いなんだけど、丁寧にその2人の仲良くなっていく様子が描かれていました。

恋愛部分と、もう一つ最大の魅力が長崎の有田焼のすぐそばにある「波佐見焼」についての部分。
分業で普段使いの器を古くから、ずっと作っているんですよね。よく知らなかったので、すごく興味深かったです。
  以前、NHKの美の壺 こちら file263 「波佐見焼」でやっていました。

こういう風にただの恋愛ものじゃなくて、何か知らなかった部分を教えてもらえるような作品が漫画でも小説でも大好きです。

あとね、普通こういう器とか何かを作るという題材の作品だったら、才能のある人が有名・成功するのを描くっていうのが多いと思うのですが、本作は、そもそもヒロインが自分の名前が世に出ることなんて全く望んでいないんですよ。この工房の一員として仲間で作る器が、一般の多い人達に使われ、愛されるのを願っているんです。そこがなんていうのかなあ・・・ほかの作品にはない珍しさで、その慎ましさに好感を持ちました。
(だからといって、今後青子達が有名な人になっていっても、それはそれで読者として嬉しいけれど)
素敵なお皿ができて、それを唯一無二として高価で一点ものとして尊ぶっていうのではなく、それを沢山量産するという展開も斬新で、目からうろこでした。

恋愛部分も、お互いにひかれあっていく理由がバシッとあるのですよ。
今まで無地の白い器が好きで柄を入れることなんて・・と思っていた龍生が初めて柄のある器の良さを感じるようになり、また青子は龍生の作る器だとインスピレーションが沸きあがってくるという具合。
双方のセンスとアイディアと才能に惹かれる部分と、2人で作る時や器を見ていろいろ話する高揚感などが、読んでいてとても羨ましいし、名コンビなんですよねえー。

☆以下ネタバレ☆7巻まで
冷たくつっけんどんだと思っていた龍生が、最初にコラボで作った流れ星の絵が入った壺を買って家に飾っていたとは! というか、最初私は龍生ってフィンランドでハルマ君と恋愛関係だったのかもと勘違いしてました。

せっかく告白してくれてうれしいはずなのに手を握られて、拒否してしまう(もったいねー!って叫んじゃったわ)でも、その後も時間の問題と踏んだ同僚の読みは当たり、早い段階で自然にキスシーン(キャーー!とうれしくなっちゃうシーンでした)ここまではいいとして、その後彼の自宅でカルボナーラを食べるのを誘われついていき、その日にあっという間にベットイン!(え!!早すぎやしないか!!と内心思ったけど、まあ、30くらいのカップルなら、これが自然なのかもしれないが・・・ でもこのまどろっこしい2人ならば、キスからベットインまで、もうあと1巻あってもよかったんじゃないのか?などと思ってしまいました)そこから、すぐ同棲なんだものー! 彼がお料理上手でいろいろ作ってくれるわ家事もちゃんとやってくれる。

昔の彼氏の熊ちゃん。こういう誰にでも優しい人って問題よね・・・。助けに行った北海道の被害の場所で未亡人で子供2人とパン屋をやってるおうちをヘルプしているうちに・・って。ダメでしょーこんなの。 でも、しっかり青子が「一生許さない」って言ってくれてスカッとしたな。
そうそうバーベキューに何の気なしに誘ったお菓子の差し入れしてくれる同僚の女性が無神経でびっくり。でも誘われても熊さん側は普通参加しないよねえー。
いろいろと、この熊ちゃんに関してはルックスが人畜無害でいかにもよさそうに見えるだけで、やってる事や発言は結構ひどいと思ったな。

工房の会社の人たちのやさしさ、長年の友達のしのぶの配慮とか、すごく良くてね。こんな同僚たちと一緒に働いていけるなんて幸せな職場だよなあー。しみじみ羨ましく思いましたよ。社長にしても、陶芸業界の面々にしても、みんないい人ばかり。
あったかい気持ちやら、恋愛部分のまどろっこしさや楽しさなど、いろいろ心が忙しくなる作品でした。  以上


内容・あらすじ
波佐見焼きの窯で絵付けの仕事をしている青子。その窯に、海外で作陶していたという龍生がやってきた。無愛想で人を寄せ付けない龍生に「絵付けされた器に興味ない」と言われ、自分の生き方まで否定された気持ちの青子だが、反発しながらも龍生の器に惹かれていき…?
器に魅せられた男女が出会ったことで、大人の恋が動き出す

ネタバレ注意「坂道のアポロン」感想 漫画とアニメの差異など
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4 コメント

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面白そう (しずく)
2021-08-05 10:10:52
波佐見は黒髪山へ登るときに通る町ですが、ここ10年で素敵に生まれ変わったと感じていました。新しい陶工者や売る戦略がマッチして上手に旧い技術を受け継いだのでしょうね。美の壺でも取り上げてあったとは! 見逃していたのが残念です。
「青の花 器の森」、読みたくなりました。
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しずくさん☆ (latifa)
2021-08-06 09:27:20
こんにちは、しずくさん
コメントありがとうございます。

しずくさんは、地元ですもの、是非機会があったら、読んでみて下さい!

作家さんご自身も地元だそうです(佐世保の方だったかと思います)坂道のアポロンも是非!!!

そうなんですか、ここ10年程で素敵になってきた感じなんですね。
美の壺で放映したときは、全然知識無く見ていたので、私も再放送があったらじっくり見たいです。
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久々にこちらから (牧場主)
2021-08-09 11:31:24
読まれたのね~。
アートを極めるっていう方向性ではなく、量産のすばらしさを伝えるっていうところ、私も目新しくて面白さを感じました。
使われてなんぼというか。色んな料理に合う器っていいですよね。
私は食器はつい無地ばかり買ってしまうんですけど、今度柄にも挑戦したいと思いました。
恋愛面は焦れったいですね。二人がどうかくっつきますように~、って思って読んでます。

そちらは感染者増えてるかな、と心配してました。元気そうで良かった。では!
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牧場主さん☆ (latifa)
2021-08-10 11:33:33
牧場主さん、こんにちは
暑いですねー!そちらは地獄並みじゃないかしら・・・どうぞお体に気をつけてください!

いやあーいい作品教えていただいて、ありがとうございました
すごく面白かったです。
そうそう、そうなんですよねー!同感です

小玉さんのほかの作品も・・と思って、月影ベイベと、ちいさこの庭と、羽衣ミシンを入手。
月影はこれから読むところです。
短編はあっさりしてるかな? 長編のほうが読み応えもあるし、より好きかもです。

PS さっきメール届きましたよ。こちらからも送りました。PCの調子早く元に戻るといいですね。
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