子犬がやってきた Ⅷ

サブタイトル［　密かな楽しみ　］

家のなかで、ララはアイドルだった。
娘は小学２年生だが、もはやアイドルの座をララに奪われたかっこうだ。
子供たちもララを可愛がり、義母も「可愛いね」を連発する。
私たち夫婦にとってララは癒しそのものだった。

やがて私たち夫婦とララは、子育て・介護のなかで、
密かな楽しみを持つようになった。
それはドッグカフェ巡りだ。
当時、家から３０分ぐらいの距離では４ヶ所のドッグカフェがあった。

そのなかでもお気に入りは京都府にあった「Ｎｉｃｅ　Ｄａｙ（ナイスディ）」。
京都府といっても我が家からでは隣り町で、車で１５分程度。
ナイスディは静かな住宅街にあったドッグカフェ。
ドッグカフェというより、犬連れＯＫのレストランという感じだった。
店内は白いテーブルとソファ、白いタイル敷で清潔感抜群だった。
庭側は広いテラスでオープンカフェ。
とても素敵だった。
また犬好きのスタッフは男性で、店が気に入りそのままスタッフになったという。
再来するお客の犬の名前を覚えて、対応が心地よかった。
店のマスコット犬はバーニーズマウンテンドッグ。

私の休日は日・水曜日が多い。
水曜日、子供達が学校へ、義母がディケアに行ったあと、ときどき昼食を食べに行った。
ララもその店の駐車場に入ると、グイグイと入口に引っ張っていく。
スタッフに可愛がられ、友達がいることを覚えているのだろう。
愛犬がスタッフに可愛がられながら、夫婦で食べるランチは最高だった。
子供達に内緒な密かな楽しみだった。
しかしその楽しみもつかのまだった。
その楽しみはこの写真の出所であるビデオでバレてしまった。

ナイスディは今はない。
シェフの女性オーナーが体調を崩されて店を閉じられた。
ドッグカフェブームのはしりだった。
今あればとても盛況と思う。
私たち夫婦にとっては想い出の場所だ。
とても癒された隠れ家だった。

―　写真はナイスディの店内　―
　（写真のなか、左端がララ）