動物が幸せを感じるとき
テンプル・グランディン
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英題がいいですね。
Animals make us human だなんて
かねてから色んな本を読んで「こうじゃないか?」と思っていたことが書かれていて、ちょっと興奮しました(笑)。そこから作者ならではの着眼点で犬の行動が分析されていて、久々に、「おっ、これは
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」と思う内容でした。
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犬の本質は「子供のままであること」。オオカミは基本的に群れず、人間が群と思っているのは、オオカミの家族。
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犬の脳は、オオカミより小さい。(これは私も他の本で読んで知っていましたが、家畜全般に言われていることで、ちなみに人間の脳も、野蛮だった頃に比べて小さいらしい。)
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犬は家畜化の過程でオオカミのカーミングシグナル群を部分的になくしてしまっている。このため、成犬と言えども複数の犬間で意思疎通がうまくいかないことが多い。よって、犬同士だけでリレーションシップを維持することは難しく、人間の介入があった方が良い。
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犬の中でも、見た目がオオカミに似た犬種(ピットブル、ハスキーなど)の方が、カーミングシグナルを維持している傾向がある。これは、見た目が性質をリードするというわけではないが、淘汰された遺伝子にたまたま見た目の特徴が同居していたものと考えられる。
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シーザー・ミランが犬の群を引き取って維持し、犬の階級について述べているが、自然界のオオカミには階級は無い。動物園などの限られたスペースで家畜間でなんとかやっていくために編み出された階級である。過去に科学者が犬の階級について報告した例も、囲いに入れられた動物に見られる階級を観察したものであったことが分かっている。(テンプルは、囲い内の階級の頂点には人間が座り統治するべき、というシーザーミランの案に、賛成している。まあ、自分の飼い犬を囲いの中の家畜とみなすか、家族の中の永遠の子供とみなすかは、その人の趣味です。)
やっぱりね〜、って感じです。
驚いたのは、
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トイプードル、ラブラドールレトリーバー などは特にカーミングシグナルをロストしており、同犬種だけにしておくと、凄まじい争いに発展することがあった。
これ、意外ですよね。
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人間とは一番仲良くやってる犬種だから
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逆に、家畜化も一層進んでいて、犬間ではあんまり仲良くやっていけないことがあるのですね。
これを読んで思ったのですが、ドッグランで他の犬と仲良く遊ばなくても、無理強いしちゃいかんですね
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それだけ人間に傾倒してくれてるってことですもんね。
それに、慣れの問題と思い込んで「犬を嫌がる犬」に犬づきあいを任せて放っておくのは、危険そうですね。カーミングシグナルを出したり読んだりできなくなっている子かもしれないから。
そして…垂れ耳、ブチ模様、ロン毛、シッポくるり、といったネオテニーの特徴をことごとく備えたPONは、カーミングシグナルをけっこう喪失していそうです。
この本は、一章が犬、二章が猫、後半は牛とか他の家畜です。グランディンは、元々は牛など牧場の家畜が研究対象のようです。
で、第二章の猫が、これまためっちゃ面白かったです。
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猫は、他の家畜に比べて、ほとんど野生と変わってない。そのへんのヤマネコと家猫で、遺伝的な違いはあまり無い。犬と違って、猫だけでも群を維持できる。
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猫は、木から下りる方法は他の猫を見て後天的におぼえるので、他の猫にあまり会わないと、木から降りる方法をなかなか学ばない。
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猫は、短期記憶が弱い。窓の外にいる猫を見て、同居している猫と喧嘩を始めることがあるが、窓の外の猫と横にいる猫の区別をうまくできていない。人間に対しても同様の反応を示すことがある。
グランディンは自閉症だそうで、「自閉症の脳を読み解く」という本も書いています。「動物が幸せを感じるとき」が面白かったので、この自閉症の脳についても読みました。こちらも本当に面白かったです
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グランディンは、形質的に左脳が右脳より大きいのだそうです。考えてみれば言語中枢は左脳にあるので、「脳は左利き」っていう人が大多数なんでしょうね。(脳だから、見えないけど。)