死ぬ作法とは 山越阿弥陀来迎図

2005年01月26日 | art
五木寛之の百寺巡礼で、前回の京都永観堂禅林寺を録ったビデオを観る。
ここは「紅葉の永観堂」で一般に知られているらしいが、寺宝は見返り阿弥陀とわたしが好きな仏画の「山越阿弥陀如来来迎図」だ。

全国に山越阿弥陀図はあるのだが、以前何かの本で読んでから、わたしは永観堂禅林寺の山越阿弥陀に惹かれていた。だからこの来迎図を一度は目にしたいと思っているが、まだ永観堂を訪れる機会には恵まれていない。
山越阿弥陀来迎図は鎌倉時代の人が死に向かい合った時の、死ぬための装置…それは「死ぬ時の作法」とともいわれている。
当時の人は臨終を迎えようとする時その傍らに、山越阿弥陀来迎の図を掛けたらしい。
死に行く者を浄土へと導いていくのは阿弥陀如来だ。
だから死の床に横たわる人は、仏画の中の阿弥陀と直接繋がっている五色の糸を握り、白豪から出る光に注目をしながら、安心して極楽浄土への死出の旅に出るという。
白豪には水晶球がはまっているものもあるらしく、その背後から灯明などで光を当てると、まるで阿弥陀の白豪が本当に光を発して輝いているように見えたのだと思う。
光に注目をしながら念仏を唱え、心静かにあの世に旅立つ・・・それが当時の人たちの、死ぬための作法だったのだろう。
わたしも願わくばそんな穏やかな死が、わたしのうえに訪れて欲しいと思っているのだが・・・。
 
コメント
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