「京都・北山丸太」 北山杉の里だより

京都北山丸太生産協同組合のスタッフブログです

ひと皮むけてい~い丸太になりました!

2011年10月07日 | 生産作業 工程

10月に入って最初の月曜日。清々しいと言うよりは肌寒さを感じる中川は日中でも17℃!

この前までの暑さはどこへやら、日だまりが恋しくなって来ました。

走っていると栗のイガが落ちていたり、柿の実が少しずつ色づいてきたり、川のそばでは蔓からぶら下がったアケビがはじけて開いていたり...目に映るもの全てが自然のままに流れているのがわかります。

 

そんな中、青空を背にまぶしく整列した北山丸太たち。皮をむいたばかりのほやほや丸太が天日干しされています。

今回はビデオ撮影のカメラマンに同行です。

先日、「本仕込み」の様子を紹介しましたが、近年この作業をしているところはほとんどなく、今では伐採してから枝葉をつけたまま約1ヶ月間、葉枯らし乾燥させたあと搬出し、水圧で荒皮むきを行うのが主流です。

機械がやってくれるのでその間、別の作業が出来るという利点もあります。

何度も行ったり来たりしているうちに、だんだん皮がむけて美しい木肌が姿を現します。

水圧で飛ばされた皮があちこちに付着しています。とても細かく、それだけ局所局所に強い力がかけられているのがわかります。

カメラマンも水しぶきを浴びるくらい凄い水圧です。

このように機械化されるまでは勿論、すべて手で荒皮をむいていたのです。今日は手作業での皮むきもご紹介します。

伐採された北山杉たち。この太さでも大体樹齢30年ほどだそうです。年輪が詰まっているんですね。

荒皮は分厚くガサガサしています。でも、職人さんは見ただけで「これはきれいにむける」と判るそうです。「熟練の勘」なんですね。

木肌を傷つけないように「ヘラ」を差し込んで横へ滑らして荒皮を剥がしていきます。するするとウソみたいに剥がれて、そこから覗く木肌はしっとりとみずみずしく...

これが「ヘラ」。それぞれ職人さんが自分の手に合うように手作りします。自然にカーブを描いているヒノキの枝を使います。その方が皮をむく時、丸太のカーブとなじんでむきやすいんですね。

ぺろ~ん!こんな風にきれいにむけました。さすがです!右の方にも一枚見えていますが、この杉皮は壁や天井に使用したり、瓦や茅葺屋根の下にひいたりされていました。

今では大部分、水圧でむいているので、逆に立派な一枚ものの杉皮は貴重な存在かも知れません。

 見て下さい、この光沢を! しっとりと濡れていて、たった今まで木が生きていたことを語っています。

ひと皮むけて、水も滴るイイ男って感じです^^

この後、まだ表面に付着している薄い繊維のような皮を丁寧にこそぎ取る作業が「こむき」です。

少し「こむき」をやらせてもらったのですが、なかなか根気のいる手作業。プロはシャカシャカといい音をさせて仕上げて行き、見る見るうちに表面がツルツルになりました。

 

伐採して、荒皮をむいたばかりの丸太は水分を含んでいて、とても重いのです。

それでもヒョイと担ぐ職人さん。どんなもんかと肩に乗せてもらったカメラマンさん、おっとっと。腰が入っていませんよ^^

 

また、同じ水圧を利用して手動でむく方法もあります。

長いノズルが洗車機のようですが、これで車を洗ったらボディがへっこんでしまうのでは?と思うくらいの水圧です。

 

先ほど「水も滴るイイ男」と言ってしまいましたが、この後乾燥された丸太は柱としての嫁ぎ先が決まると再びツヤツヤに磨き、綺麗にお化粧をして嫁に出されます。

手塩にかけた北山丸太が家もしくは間(ま)という主を持ち、あたたかな光を放ちながら佇む時...それは職人さん達の苦労が報われる時であり、喜びに違いありません。

幾重にも描かれた年輪は人に喩えると人生。

ヘラを使って手作業での荒皮むきを見て、そのごつい皮からつややかに濡れた木肌が現われた瞬間、雨の日も日照りの時も雪の重さにもじっと耐えた歴史を思うとともに「化粧柱」としての北山丸太の真髄を見たような気がしました...

 

 

 

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