きょうも休みです
ようやく観に行きました、『アヒルと鴨のコインロッカー』
モーニングショーで安く観に行くつもりだったんだが、昨夜も遅かったんで案の定寝坊
延期しようかとも思ったが、コロナがレイトショーで安くしてたんでそっちへ
チャリで30分ほどだが、出掛けに空気入れてたりしたら、思ったより時間食った
そんなわけで猛スピードで向かう
まぁ、暗いし悪路だし、で空気入れてなかったらパンク確実だったなー
で、ちゃんと10分前に着く
メロンソーダを買って席へ
スカスカだなぁ、わしの他には女性ふたり組1のカップル3しかいない
まぁ、夜だし街中から離れてるし、こんなもんなんかな
で、上映開始
実は昨夜のうちに予習のために原作の出だしをちょろっと読んでた
プロローグと 現在編・2年前編の各々1章目ずつ、だからホントに出だしも出だしである
ストーリーは、大学進学で引っ越してきた椎名が、アパートの隣人河崎に本屋襲撃を持ちかけられる
同じアパートに住むブータン人・ドルジのために、広辞苑を奪うためだ
と同時に、2年前のドルジと河崎、ドルジの恋人で河崎の元カノ・琴美の物語が平行して語られる
ドルジと琴美は、そのころ頻発していたペット殺しの犯人を目撃、彼らに狙われていたのだ
2年前、ドルジと琴美に何があったのか、そして、本屋襲撃の真相とは
浜田岳演ずる椎名の気弱なカンジ、瑛太の河崎の得体のしれないカンジ、よく出ている
まぁ、河崎はそんなに悪魔っぽくもなく、割ととっつき易そうだが
あり、黒猫のシッポサキマルマリが出てこなかった
そんなに重要なキャラじゃなかったのかな
あとは、ステレオがが最後まで出てこない
たぶんこれは大きな変更であろう
河崎の部屋でふたりが呑む酒は、赤ワインでなくって一の蔵かなんかの日本酒になってるみたい
一の蔵が協力してたから、そのように類推
…ってまぁ、映像作品って原作と寸分違わず作るものじゃないからな、こんなことやっててもあんまり意味ないよな
とっとと結論を言っちゃいましょう
面白かった
泣けた
以下、結末部分に触れます
我々が河崎だと思ってた男こそ、実はドルジだったんですな
なるへそ、ペットショップの店長・麗子を「信じるな」、と言ったのも、彼の正体を知ってるからなんだな
まぁ、麗子は麗子で椎名とコンタクトをとっても「河崎くんを信じるな」としか言ってくれませんが
で、ここで松田龍平がやっと登場
真の河崎が彼でした
“ガイジン”に微妙な拒否反応を示す日本人と特性を知っているドルジは、椎名を本屋襲撃の相棒にするため、河崎の名を騙ったんですな
2年前、ペット殺し3人組を追い詰めたドルジと琴美だったが、裏口から逃げられ、彼らの車の前に立ちはだかった琴美は轢き殺される
直後、車道に出たその車にトレーラーが激突、主犯格の江尻(都市伝説でお馴染み、ハローバイバイの関暁夫)以外は絶命
後に、河崎とドルジは生き残った江尻が書店員であることを知り、彼に復讐するため、その書店に向かう
しかし、HIVに感染していた河崎はそこで容態が急変、帰りの車中で息を引き取る
そして2年の月日が流れ、ドルジの前に現れたのが椎名、琴美が“神様”と言ったディランを唄う男だった
冒頭のふたりの出会いのシーンがここでもう一度繰り返される
すべての真相を知った上で、ドルジである河崎の「ディラン?」というセリフをもう一度聴く
涙
パンフの伊坂と監督の中村義洋の対談で、原作者たる伊坂自身がこのシーンに感じ入っている
いいシーンである
で、ドルジと椎名は本屋を襲撃
椎名は裏口の警備を担当
「裏口から悲劇は起きるんだ」
冒頭に示された謎のセリフや行動にひとつひとつ意味が与えられていくこの心地よさったらないぜ
で、ドルジは江尻を拉致、椎名が戻ってくるまでに江尻をトランクに詰め込んでおく
広辞苑でなくって広辞林を獲ってきたのは、日本語が読めないから
耳で日本語を覚えた彼は、未だに読みは苦手なのだ
あぁ、椎名が河崎の“河”の字を訊くエピソード
川か河か訊かれて、「じゃあそっちだ」っちゅうのは、ホントはどっちだかわかんなかったからなんだね
あぁ、椎名が教科書を買うときのエピソード
何を買ったかわかんなくなって彼は、河崎(ドルジ)に電話して部屋に入ってもらい、右から順にタイトルを読んで、と頼む
しかし、河崎(ドルジ)は本が無い、という
そうか、読めなかったんだ、ドルジは
だから本を自室に隠し、無くなったと嘘をついたんだ
そして、拉致された江尻は、どこぞの海岸の茂みで生きたまま鳥葬の刑に遭う
夜中何度も出かける河崎(ドルジ)は、彼を簡単に死なせないため、食料を与えに行ってたのだ
あぁ、弁当屋のエピソード
ろくに選ばずにおにぎりをつかむ河崎、「何でもいいんだ」ってのはこういうことか
すべてが明らかになったその朝、椎名は父親の急病で帰郷することに
見送るドルジ
麗子は彼に自主を勧めたが、椎名はわざわざラジカセを駅まで持ってきて、ディランの『風に吹かれて』をリピートで流したままコインロッカーに入れる
“神様”を閉じこめたのだ
ドルジの“悪事”に見て見ぬふりをしてもらうために
それは、かつてドルジが暴力でペット殺しを撃退したときに、琴美がとった行動のエスカレート版だった
帰り道、車道に出てきた仔犬を救うため、飛び出すドルジ
ようやくありつけた“牛タン”を半ばまでしか食わず、眠ってしまう椎名
ふたりがその後どうなったかは語られないまま、ディランの名曲『風に吹かれて』が終わる
そして曲はリピートしてふたたび頭から、コインロッカーの中に置かれたラジカセと、ドルジ・琴美・河崎が動物園で撮った写真をバックに、エンドロール
“神様の歌声”に、また涙である
“映像化は難しい”と言われてたのは、河崎=ドルジという“トリック”のことを指してたんだね
本作では、2年前のシーンを完全に“椎名が他の誰かから聞かされる回想”という描き方をし、このハードルをクリア
河崎(ドルジ)が椎名に、自分が河崎であり、写真の美人が琴美であり、椎名の隣人がドルジである、と説明してるんだから、そういうキャスティングで映像が出てくることに不自然な点は無い
麗子が椎名に語る回想、の部分もあるが、河崎(ドルジ)のハナシを基準としてキャスティングしてしまった椎名に、正しい配役が浮かぶはずも無い
まぁ、ここで麗子が河崎=ドルジと教えてやらない理由がちょっとわからないが
疑問点が出たところで、もう何点か
HIV患者たる真の河崎の死に様
あんなに急に死んでしまうもんなんかな?
HIVとエイズの違いもよくわからんので、結局よくわからんが
あ、死んだ河崎を助手席に乗せたまま慟哭するドルジのシーンも泣けたなぁ
あとは、ペット殺しの犯人で、人も轢き殺した江尻が、のうのうと本屋で働いてるとこ
あれはどういうことなんかな?
未成年で、とっとと出てきちゃったのか?
だとすると、真の河崎が死んだ、ってのは案外に最近だったのか?
警官を目の前にしたあの状況で、証拠不十分で釈放、とかは考えられないしなぁ
“連れ去られたペット”も、ちゃんと車の中から出てきてるわけだし
このへんは、原作で細かく書かれていることを期待
そんなわけで、感動のうちに観終わりました、『アヒルと鴨のコインロッカー』
で、“アヒルと鴨”は何だったのかって?
琴美の説明によれば、アヒルは外国から来た鳥、鴨は元から日本にいた鳥
それに、登場人物の関係を象徴させたんかな
アヒルたるドルジと、鴨たる椎名が、コインロッカーに神様を閉じ込める、ってハナシだったんだよ
持ってきた原作本を、回転寿司『黒船』で寿司つまみながら読む
あぁ、けっこう端折ったり改変したシーンも多いんだな
椎名が初めて麗子を目撃するのが、バスで痴漢されてる女子を救うシーンだったり
映画ではバスに乗れないでいる留学生のために運転手に文句を言うシーンになってる
“ガイジンに弱い日本人”を演出する狙いがあったんだろうね
ドルジが石だけでなく傘も使ってペット殺しを攻撃したり
何章か読んで、帰路に着く
あ、キャストについて特撮者的な視点から
偽ドルジ(ホントは山形人)田村圭生は、555に出てたらしいんだが、何だろと思って調べたところ
ワームオルフェノク人間体
…うーむ、覚えてないなぁ
それより、江尻の本屋(ブックスなにわ塩釜店。ドカーンと看板出てやがる)で昼間バイトしてる訛りの強い子、ぜったい特撮で見た顔だ、と思ったら
マジレンジャーで魁ちんの彼女・山崎さん役だった平田薫
可愛いよね、この娘
いや、期待通り面白かったです
とりあえず、とっとと原作も読破したい
本とは『ラッシュライフ』、『陽気なギャング』と、発表順に読んでいきたかったんだけどな