原周成の下町人情話

錦糸町駅南口の「下町の太陽法律事務所」の所長弁護士が人情あふれる下町での日常をつづる

下町の名所旧跡を訪ねて第20回「古民家シリーズ(2)」

2014年01月11日 | 下町散歩
 下町の古民家を訪ねてシリーズ第二回は、墨田区の立花大正民家園内の旧小山住宅を訪ねます。JR平井駅の北側へ徒歩10分程の旧中川西岸沿いに旧小山家住宅があります。1998年(平成10年)墨田区のものになり、翌年から区立公園として開園しました。ここへは旧中川の縁から随分と下って行かなければなりません。地面が相当低いことが分かります。
 

 約410坪ある庭は大変手入れが行き届いて、ヒマラヤスギ、モッコク、ツゲ、モチ等の木々が生い茂っております。
 

 そして木々の間には庭石、灯篭、七福神石造等が配されていて、しばし時を忘れさせてくれます。
 

 さて肝心の旧小山家住宅です。1917年(大正6年)平井・吾嬬を中心に活躍した大工田口鉄五郎(通称大鉄)の手になるもので、格子窓や格子戸等は江戸時代の町屋の伝統が色濃く出ていると言われています。格子窓は、次の写真に写っている窓です。
 

 格子戸は、次の写真の右側に写っている引き戸です。
 小柳ルミ子が歌って大ヒットした「瀬戸の花嫁」の一節「♪格子戸を潜り抜け~♪」と歌われた「格子戸」、と言えば分かる方が多いのではないでしょうか。
 
 
 近代以降の一般住宅においては、接客空間に比重が置かれ、奥の座敷は客間として転用されることが多いとされており、この旧小山家住宅もその形式を踏襲していると言われています。
 また天井は根太天井として丈夫にし、水害時に貴重品や生活用具を屋根裏に引き上げ、一定期間そこで生活できるようになっています。
 

 何度となく水害を蒙った経験から生み出された生活の知恵なのでしょう。今更ながら、この地域が昔からゼロメートル地帯であったことを思い知らされます。


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