KU Outdoor Life

アウトドアおやじの日常冒険生活

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2017年03月20日 | 

 「最後の冒険家」石川直樹・著 ☆☆☆★

 熱気球で数々の世界的記録を持ちながら、最後に単独太平洋横断に挑戦して消息を絶った神田道夫のノンフィクション。
 著者はセブンサミッツ最年少記録(当時)を持つ石川直樹氏で、この作品で第6回開高健賞を獲っている。

 正直なところ、最初は熱気球による冒険と聞いて、それはあくまで「乗り物=道具」に頼ったものであって、登山とか潜水とか生身の身体を張ってする挑戦に較べて果たしてどうなのかなという疑念はあった。
 何となく気球というと、のんびり優雅に空に浮かんで後は風任せ、少なくとも体力的には楽なイメージを持っていた。
 しかしながら読んでみると、急激な高度順化やマイナス50度という気温、不眠不休での操縦、そして荒れた海や山中に不時着した時のことなど考えると、かなりリスキーで精神力、忍耐力、判断力が求められる冒険だということがわかった。

 著者は一度はこの太平洋横断行に参加し、そして時化の海に不時着しつつも九死に一生を得ているだけあって、その時の描写は何とも迫力があり、読み応えがあった。


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