天候:一時
行程:鳥屋鐘沢出合9:45-20m二段大滝10:35-終了点の尾根13:00-本間ノ頭
14:15-太礼ノ沢源頭15:15-太礼ノ沢出合16:45-鳥屋鐘沢近く駐車ポイント
18:00 (釣りをしながらなので、かなりゆっくりペースです)
参考:「丹沢の谷110ルート」山と渓谷社・刊
単独
ここ二週、インドアジムの週末が続いたので、今週は外へ。
当初、奥多摩の大雲取谷を予定していたが、東京より神奈川の方が天気が良いらしいので、近場の丹沢へ変更。
先月に続いて、またしても裏丹沢の早戸川シリーズ。ほぼ一ヶ月半ぶり。
しかし、この日の朝はどうしたわけか寝坊してしまい、現地に着いたのは9時半頃。
本日行く鳥屋鐘沢は早戸川国際マス釣り場の少し先。
出合の直近には駐車スペースが無いため、さらに林道を奥に進んだ幅の広い場所に車を停める。 (早戸川林道は落石が多いため一般的には駐車禁止だが、まぁ自己責任で。)
沢への入口は特に目印があるわけではないが、マス釣り場方面から左手を見て最初の大きな山の切れ込みだから、まずわかる。
ガードレールの切れ目から明瞭な踏跡があり、早戸川本流の浅瀬を渡って入渓。
左のガードレールの切れ目が入口
出だしは幅の広いナメ滝。
ペタペタと歩いていくと、小ゴルジュとなり、しばらく釜の深い小滝が続く。
濡れずに脇から巻き上がることもできるが、特に難しいわけでもない。この沢はクソ暑い日になるべく水流通しに行くのが楽しい。
最初に現れる幅広ナメ滝
しばらく行くとF1。トポでは8mとなっている。
右岸にはちょっと不気味な「お化けポスト?」があり、水を吐き出している。これはマス釣り場の取水口となっているとか。
で、F1。
登れそうな所は右側の浅い凹角で、途中、残置スリングの垂れたハーケンも確認できる。
一応8mm×30mロープを持ってきたが、ロープ無しでも何とか行けそう。
左側のフレークも使いながらそのまま取り付くが、ラスト落口へ抜けるところが高さもあって少々固まる。
F1、8m(右奥)。
お化けポスト
そのまま直上しようとすると緑のコケにスメアしなければならず、これがズルむけそうで、踏ん切りがつかない。
で、よく見ると足元のバンドがそのまま滝中央の落口に繋がっているのに気づき、頭上のスローパーに指先を集中させたまま慎重に足を左に送ってクリア。
まぁ落ち着いてやれば何てことない。Ⅲ+程度か。
F1。右隅の陰になっているルンゼが登ろうと思えば登れる。
その後、すぐに小ゴルジュとなり、2mトイ状滝。
トポでは最狭50cmとなっていて、他の記録では「ツッパリで中央突破」なんてことも書いてあるが、実際にはけっこう幅が広く、股関節固めのオヤジにはギリギリな感じ。
とりあえずツッパリで攻めてみるが、中間辺りからちょいと際どい。
両側の壁はヌルヌルと黒光りしていてフリクションが甘く、何より水流が物凄い。
落ちても溺死することはないだろうが、巨大洗濯機の渦に揉まれてモガくこと必至。
何とか落ち口までツッパリ通したかったが、結局、途中から右側の浅い凹角を使って逃げてしまう。
上から確認すると、出口はかなりツルツルで、おまけに下から見る以上に水流がヒョングっていたので、今日のところはチキン・ハートで正解だったかも。
2mトイ状滝(左)。 同じく上から見下ろしたところ(水勢が凄い!)
その先で流れの中に一瞬、魚影が走ったので、テンカラ竿を出してみるが、残念ながら「当たり」無し。
少し行くとF2二段20m滝。
沢筋いっぱいに横に大きく広がった滝で、右の滝はスラブのすだれ状、左は一筋の直瀑となっている。
F2、二段20m。
トポでは「右端のクラックを使って・・」とあるが、見たところ残置アブミ(縄梯子?)がぶら下がっているだけで、どこがクラックなのかよくわからない。
それよりも滝のど真ん中にクラックが走っていて、こちらの方が登れそう。
上の写真、私のすぐ後ろ、斜めに走ったクラックが登れる。
よく見たら途中にランナー用の鉄釘?も2つ打たれていて、さらに近くに寄って見ると取付の位置にとんでもないモノが・・・。
「なんじゃこりゃあー
」
松田優作もビックリの特大アンカー。たしか三ツ峠の中央カンテ途中のテラスにも似たようなのがあったが・・・。
で、ここもノーロープで取り付く。
概ねⅢ級程度。ただ二本目のランナーから落ち口までの数メートルが足の踏み替えでヘンな体勢を強いられ、いやらしい。
少し悩んだが、こぶし大のチョック・ストーンにハイ・ステップで立ち込み、後は水流の中の細かいカチを拾って何とかクリア。
フリーソロだと、ここはⅣ級テイスト。下段の滝の落ち口にはハンガーボルト2本でビレイ用の支点が作られていた。上段は傾斜も緩く、問題無し。
先ほどのツッパリ滝は途中で挫けてしまったが、このF2は完全フリーで中央突破。さっきのチキンはこれでチャラだろと一人納得する。
右の巻道には残置アブミ。
一段目中央落口にあるビレー支点
さらに進むと、深い釜を持った小滝がいくつか続く。
F3(5m)は高さこそないが、深い釜の奥にゴォゴォと水を落としてまず直登不能。
右岸にテレビの平型アンテナ線?のフィックスが有り、高巻くことができる。
F3。深い釜のゴルジュ滝で正面突破は厳しい。左の巻き道にはアンテナケーブルのFIX。
その先の、やはり深い釜を持った4mCS滝は右から巻けるが、敢えて右側壁を水際ギリギリでヘツると面白い。イナバウアー・ムーブでボルダー4級ほど。
この辺りで上流から若いニイちゃん二人組が降りてくる。挨拶をすると彼らは釣りが目的なようで、いろいろ情報を聞くことができた。
一応、下流はヤマメ、上流はイワナがいるようだが、サイズはそれほど大きくなく、けっこう釣り人が入ってしまっているので魚もだいぶスレているよう。
上流から引き返してきた釣りのニイちゃん
彼らとすれ違った後で再び良さげなポイントを見つけ竿を出してみるが、やはりヒット無し。
鳥屋鐘沢のハイライトはここまで。
この先、しばらくゴーロとなり、堰堤が4つほど続く。
やがて顕著な二俣。トポのとおり左俣へ進む。
すぐに見栄えのする大滝(20mぐらい?)。
最上部が堰堤になっているのが興醒めだが、人工物と自然滝のMix、いわばハイブリッド滝か。
左俣最初のハイブリッド滝。割と楽勝。
高さもあるので一人だとちょいと緊張するが、案ずるより生むが易し。
水流右側、岩とのコンタクトラインに取り付いてみると意外と簡単。ちょっとシャワーを浴びて冷たい思いをするが、せいぜいⅢ級-ぐらい。
その先で再び堰堤を4つほど。
水量も減り、やがて水涸れとなるが、ここから稜線までの詰めがけっこう長かった。
藪漕ぎがまったく無いので助かる。もう季節は秋なのか、源頭部に多いマイクロ・ブヨも今日はまったくいない。
さらに稜線に出てから本間ノ頭までの距離がやたら遠く、一時間半以上かかってしまう。
この辺り、伐採のための作業道が多くあり、境界用の赤杭や赤テープが随所にあるので不安はないが、それにしても長い。
ガスのかかったブナの林の中、忠実に赤杭と踏み跡をたどっていくと、ようやく丹沢三峰の正規の登山道に合流。ほどなく本間ノ頭に到着する。
ブナ林の中を進む。
本間ノ頭
今日は最初からのんびりモードだったが、途中、釣りもしたのでけっこう時間がかかっている。
簡単に行動食を摂って、先へ進む。
アップダウンを繰り返し、もう一つの本間ノ頭、円山木ノ頭、太礼ノ頭まで進む。 (本間ノ頭は二つあることを改めて知った。)
今回下る太礼ノ沢は円山木ノ頭のすぐ先にあり、太礼ノ頭まで行ってしまうと行き過ぎなのだが、前回、沢を間違えたこともあり、今回は一つ先まで確認した上で引き返すルート取りにした。
太礼ノ沢源頭部は急なガレがしばらく続く。
下るにつれ水流が現れ、小滝も出てくるが、クライミングダウンできる程度でロープ不要。
二俣を過ぎ、F2とされている8mトイ状滝も前向きツッパリで降りられた。
太礼ノ沢下降中
ラストF1、20mは左岸から簡単に巻いて降りられる。
全部で三段構成になっており、下から順に3m、12m、5mといったところか。
ガイドブックでは「滝の登攀グレード2級」となっているが、これは左岸を巻いた場合。
直登となると、もちろんビレーが必要でけっこう手応えあると思う。
太礼ノ沢F1
さらに水流の中を快適に下っていくと、ようやく早戸川の本流に合流。
ここでも一応竿を出してみるが、釣果無し。
今日はダメですな。
早戸川本流
そのまま登山道と林道をダラダラ歩いて車のデポ地まで。これがまたけっこう長い。
まぁザックは軽く、ほとんど緩やかな下りなので、それほど苦ではなかったが・・・。
途中にある廃屋(貞子が住んでそう・・・)
車に着いて着替えると、今回は大丈夫だと思っていた丹沢ヒルズが足に2~3匹張り付いていた。
渓流スパッツでしっかりガードしていたと思っていたが、やはりダメ。
一匹は皮膚の中に入り込みそうなぐらいピッタリ密着していてなかなか剥がれず。オヤジの血がそんなに旨いか。
「必殺!塩まぶし」で、お引取りいただく。
おのれ!丹沢ヒルズ
鳥屋鐘沢は上部の堰堤、水涸れ部分が長いのがイマイチだが、下部の小ゴルジュ帯はどっぷり水流通しに行けば楽しめる。
釣り人がかなり入っているようで、巻き道ははっきりしている。
【写真集】