KU Outdoor Life

アウトドアおやじの日常冒険生活

2017GW・谷川-巻機 縦走

2017年05月05日 | ロングトレイル

日程:2017年5月3日~5日
行動:単独

 残雪期の上越・奥利根縦走は以前から興味があって、昨年は一気に谷川から巻機、平ケ岳を回って尾瀬まで行けないかと大それた計画を立てたが、初日にまさかの吹雪となり、あえなく敗退。
 結局、一ノ倉岳までの往復で終わってしまった。
 そして今回。休みの関係もあって一気に縦走することは無理と判断。計画を分割することにし、まずは手堅く三日間で谷川岳から巻機山まで行くことにした。
 このコース、無雪期は藪に覆われているため残雪期ならではの人気ルートとなっている。
 地形からすると谷川岳より白毛門経由の方が自然で効率的だが、何となく百名山から百名山へ繋げたくてこのコースにしてみた。

5/3 天候:
天神峠11:00-トマの耳13:15-茂倉岳15:25-武能岳16:55-蓬峠17:30

 朝、横浜を発ち、高崎、水上経由で土合まで。
 久々の土合駅の階段だが、それほどキツいとは感じなかった。二泊三日で荷物はそれなりにあるが、やはりロープやガチャ類がいらない分、楽だ。
 登山と関係なさそうな鉄道ファンで賑わっている。

 


 駅周辺は雪解けが進み、春というより初夏の様相。雪があまり多くても大変だが、少ないとこのコースは藪が出てくるのでちょっと心配である。
 ロープウェイに乗って天神平のスキー場まで一気に上がる。
 昨年も出だしは天神尾根で楽するつもりだったが、強風のためロープウェイが運行中止となってしまい、しかたなく西黒尾根を登ったことを思い出す。

 天神平に上がると、豊富な残雪と明るい陽射しで思わずクラクラとしてしまった。
 スノボや雪遊びの観光客を尻目に、右手の天神尾根に向かって歩き出す。
 雪は固くもなく、かといってグズグズでもなく、アイゼンは着けずにキックステップで登っていく。
 途中の熊穴沢避難小屋は屋根だけ残してほとんど雪に埋まっていた。

 

 頂上から降りてくる登山者に上の様子を伺うと、予想に反してそれほど混んでいないという。
 広いドーム状の雪の斜面を登り詰めると、やがて肩の小屋、そして最初のピークであるトマの耳に到着。
 たしかにGW初日にしては、かなり静かだ。
 西の方、オジカ沢ノ頭や万太郎山方面はかなり夏道が出ている。

 一休みしてから縦走開始。
 オキの耳から先の岩場は鎖が出ていた。

 
一ノ倉岳では昨年は見かけた避難小屋が、今回はまだすっかり雪の中に埋もれていて、ちょっと驚いた。
 この先は他の登山者を見かけず、トレースはあるものの一人歩きとなる。
 人がいない分、一ノ倉岳から武能岳間は静かで気持ちよく、残雪の稜線を独り占めしているような気分になった。

 
 
 登り始めが遅かったせいで、そろそろ陽が傾いてきた。
 この日は頑張って蓬峠まで。武能岳から下りは夏道が出ていて時間を稼げたので助かった。
 蓬峠には既にテントが二張。どちらも単独行の人で、一人は二日かけて白毛門回りで来たらしい。
 この時期、ヒュッテはまだ閉まっていて、小屋周りに適当にテントを張って静かな夜を迎えた。

 

5/4 天候:風やや強し
起床5:00-蓬峠(出発)6:50-七ツ小屋山7:35-清水峠8:15-ジャンクション・ピーク10:15~30-檜倉山13:10~20-柄沢山15:10-テン場16:00

 昨日の疲れもあって、起きた時にはもう陽が昇ってしまっていた。
 朝食はマルタイラーメン。いつも水をケチって失敗しがちだが、昨日のうちに雪解け水を豊富に手に入れておいたので、かなり上手くできた。
 テントを撤収し、まずは七ツ小屋山へ向かう。

 
 
 大源太山への分岐を右に取り、清水峠へ。大きな三角屋根の建物は東電の管理用宿舎で、一般登山者用ではない。
 そばに小さな「白崩避難小屋」がある。こちらは小さいが、谷川岳周辺にあるカマボコ型のブリキ小屋に較べてけっこう綺麗に整備されていた。
 ここからジャンクション・ピークへの登りとなるが、この2時間の登りがなかなかキツい。
 ほとんど雪面だが、ほんの少しだけ藪の中を進んだり、ちょっとしたスノー・リッジを進んでいく。
 
 ようやくジャンクションに到着。一ノ倉岳から先、蓬峠で幕営していた二人以外は一切見かけなかったが、ここまで来るとやはり白毛門から縦走、あるいは反対側の巻機山からの縦走者の姿がチラホラ見受けられる。
 そして、この辺りから残雪量もぐっと増えてくる。
 
 大烏帽子への登りから檜倉山へ。
 檜倉山は、平坦なピークで残雪期は快適なテン場となる。
 よほどここでテントを張ってのんびりしてしまおうかと考えたが、この先、大きな柄沢山が控えている。
 時間もまだ早いし、明日の下山を考えるとやはり今日中に柄沢山は越えておきたい。
 
 しかし、この山域は北アなどの人気コースと違って、本当に静かだ。
 行き交う人もほとんど単独行で、それもポツポツと見かけるだけ。
 自分もイイ歳になって、クライミングだ、アルパインだと言うよりもこういった「山旅」の方がしっくり来るようになってきた。
 元々は1970年代のバックパッキングに憧れて山を始めたわけで、そういう意味ではこのエリアはあの頃の「原点」を感じさせてくれる。

 
 
 柄沢山は南側からだと見栄えがしていい山だ。
 途中にクレバスがあったり特に最後の登りは白い斜面が続き、気分としては疑似モンブランといったところ。
 
 山頂を越し、少し進んだところで先行していた単独の人に追い付く。
 途中、何人か追い抜いたが、この人にだけは追い付けなかった。
 話をすると、どうやら地元の山岳会の方で、先週は越後駒に登ったらしい。山馴れしていて、どおりで強いと思った。
 時間もちょうどいいし、テン場に手頃な場所だ。後からもう一人到着して、少し間隔を置いて三張が張られた。
 辺りは360度、上越、奥利根の山々が連なる。
 平ケ岳、尾瀬方面はもちろん、昨日登ってきた谷川岳もここからだとけっこう遠くに見え、けっこう歩いたなと感じる。


 
 持ってきたバーボンを飲みながら、このGW前半に突然、沢で一人逝ってしまった友人タケちゃんを想う。
 沢専門の彼だったが、GWは鹿島槍東尾根や前穂北尾根、北鎌尾根や剱の八ツ峰やなど付き合ってくれた。帰ったら葬儀に参列させてもらうが、まだ信じられない。

 

5/5 天候:
テン場6:10-米子頭山-巻機本峰10:00-清水12:00

 快適なテン場だったが、昨夜はなぜか結露がひどく眠りはイマイチだった。
 しかし、日の出の景色は素晴らしく、気分は悪くない。


 
 巻機山のなだらかな山容が近づき、いよいよこの山旅も終わり。
 先週の小川山で傷だらけのくるぶしが靴に擦れて痛いので早く下りたいと思う反面、この雄大な雪の稜線にいつまでも留まっていたいとも思う。




 
 米子頭山へのルートではスノー・ブロックが崩壊しそうな所や45度の雪壁などもあって、この縦走の中では刺激のあるアクセントとなった。

 
 
 巻機山手前の平坦な所で、しばし奥利根の山々を眺めながら一休み。来年の今頃はどうしているかわからないが、越後三山から平ケ岳、そして尾瀬は何年越しでも繋げてみたい。
 
 そして巻機本峰へ到着。
 以前、米子沢を遡行して以来だから、何年ぶりか。山頂は土が出ていた。
 下山は井戸尾根。日帰り軽装の登山者が続々と登ってくる。

 雪の状態は良く、途中300mほどシリセードも楽しめた。
 しかし気持ちが下界に行ってしまうと、この尾根も意外と長い。最後はちょっとヘロヘロ気味になりつつも、無事に清水の村に到着。
 バス停手前で、白毛門からそれぞれ単独で縦走してきたというお二人と出会い、タクシー相乗りで越後湯沢まで。

 
 
 最近は温暖化の影響で、このコースはGWでは遅いとも言われるが、今回の雪:夏道:藪の比率は7:2:1といったところ。
 結局、持参したアイゼンは一回も使わなかったが、これについては個人差があると思う。
 今回は天候に恵まれ快適な山旅だったが、途中には雪庇やクレバスがあったり、また天候が荒れてもジャンクションから巻機山までは途中でエスケープできない。必ずしも安心できるルートではないのでグループで歩いた方がいいのかもしれないが、やはりある程度経験が積んでから一人で静かに歩くのがいい。
 北アなどの喧騒に辟易している向きにはお薦めの、GWならではの好いコースだった。


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