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高校政経

高校政経

裁判員制度

2006年06月18日 | 憲法・法律
日本で、2009年までに裁判員制度が導入されることが決まりました。
重大な刑事裁判を対象に、20歳以上の国民が裁判員として、裁判官とともに事実認定、量刑判断ともにするものです。
 重大な刑事事件は、 代表的なものをあげると,次のようなものがあります。
人を殺した場合(殺人)、強盗が,人にけがをさせ,あるいは,死亡させてしまった場合(強盗致死傷)、人にけがをさせ,死亡させてしまった場合(傷害致死)、泥酔した状態で,自動車を運転して人をひき,死亡させてしまった場合(危険運転致死)、人の住む家に放火した場合(現住建造物等放火)、身の代金を取る目的で,人を誘拐した場合(身の代金目的誘拐)、子供に食事を与えず,放置したため死亡してしまった場合(保護責任者遺棄致死)
 詳細は、以下の裁判所のホームページで見てください。Q&Aで、詳しく載っています。
死体等の写真をみることもあるのか、という質問も持っていました。
http://www.saibanin.courts.go.jp/introduction/event.html
まずは、以下のKIDS用のQ&Aをやってから見てもいいと思います。
http://www.saibanin.courts.go.jp/kidz/
私は5問全問正解でした。

小池・青木編『なぜ、いま代用監獄か』岩波ブックレット

2006年06月06日 | 憲法・法律
もし、なんらかの理由で警察に逮捕されると、容疑者(法律上は被疑者といいます)は、警察の留置場に入れられ取り調べを受けます。

逮捕後48時間以内に検察官のところに送られ(送検)、検察官が留置の必要があるかどうかを判断し、必要を認めたときは、24時間以内に裁判官に勾留の請求を求めます。

裁判官が勾留を認めたら最大20日間(10日+延長10日)留置されます。
本来、送検後(逮捕後48時間以降)は拘置所というところで拘禁しなければなりませんが、拘置所の空きがなかったり、あるいは取り調べをしやすいという理由で、警察の留置場(代用監獄)にそのまま留め置かれているのが現状です。

その割合は98%を越え、ほとんどが代用監獄で取り調べられているのです。
日本の現状は、国際的にも「後進国」であり、この本では、その問題点(医療の不備、冤罪の温床の可能性、被疑者の防御の不十分さなど)が指摘されています。

日本でも、2009年までに裁判員制度が導入され、20歳以上の人は、裁判員として選ばれると、刑事裁判で人を裁かなければならなくなります。こんなこと関係ない、では済みません。

刑事司法の具体的な「事実」をしり、自分なりの「問題意識」を高めてくれればと思います。

司法試験~伊藤真『泣き寝入りしないための民法相談室』平凡社新書(324 イ)

2006年05月26日 | 憲法・法律
 現在、法曹(弁護士・検察官・裁判官)になるためには、大学卒業後、原則、法科大学院(ロースクール)に進まなければならなくなりました。この本は旧司法試験の問題を扱っています。

 司法試験というと、法律をすべて丸暗記しなければならないと思っている人も多いようです。実際の問題はどんなものでしょうか。

本より一問掲載します。この本は、現実の民事的な紛争を法律的にどのように解決するか、クイズと司法試験問題により解説しています。下記の問題の解説は本で読んでください。


司法試験問題・択一本試験・昭和61年度第24問

甲・乙夫婦は、ドライブの途中、運転を誤ってがけから転落し、重傷を負って入院したが、甲は入院後間もなく死亡、乙はその翌日死亡した。甲・乙夫婦には子供がなく、親族として、甲には弟A、乙には母Bと妹Cがいるだけである。
 この場合に、当初甲が所有していた財産を取得することとなる者はつぎのうちどれか。

1.A、B、C  2.A、B  3.B、C  4.A  5.B

正解2


法学部で法律を学ぶ 

2006年05月25日 | 憲法・法律
 これまで法律系の本を何冊か紹介しましたが、それらは教養書です。
大学で、学ぶ法律学は、「法解釈学」で現在の、法律がどのようなものか、
科目ごとに、その法律の内容、判例、学説などを学ぶことになります。
 各科目にはいわゆる基本書というのがあり、読むのは結構、大変です。
それを努力して読んでいくわけですが、高校生が大学の法学部での授業内容をイメージするには以下の本を読むのが良いでしょう。

 伊藤真の入門シリーズ(日本評論社)で以下の本が図書館にあります。
大学生でもその科目の入門書として使えるはずです。
六法のうちの「商法」は今年、改正されたのでまだ購入していません。

『憲法入門』
『刑事訴訟法入門』(327.6 イ)
『民事訴訟法入門』(327.2 イ)
『民法入門』(324 イ)
『刑法入門』(326 イ)

 いわゆる法律の教養書とは異なるので、読んでみてどうしても「合わない」と感じる人は法学部への進学は避けたほうがいいかもしれません。

 法律の専門知識を、高校生のうちに身につけておく必要はありません。
入試科目も、日本史・世界史を要求している大学がほとんどで、法律学は大学にはいってからじっくり学べばいいのです。


伊藤真『高校生からわかる日本国憲法の論点』トランスビュー(323.14 イ)

2006年05月23日 | 憲法・法律
著者は以前にも紹介した司法試験塾の伊藤塾・塾長です。憲法の根本的原理として強調しているのは、「権力に歯止めをかけること」です。

国家といっても、権力をもつ人間が権力者として国家権力を使うことになります。
自分の都合のいいように(恣意的に)権力を使う可能性もゼロでありません。

権力を持つと人間が変わるといいますが、権力の濫用を防ぐために、歯止めとして「憲法」を定めました。

何のために、どこを変えようとしているのか、争点となっている部分を話し言葉でわかりやすく書いてあります。改正案を読むにあたっての着眼点として以下のことを挙げています。実生活を送る上でも参考になるものです。

「必要性」と「許容性」を考える
根幹と枝葉を見分ける
法と現実にはズレがある

憲法改正の国民投票実施の可能性がでてきた今、憲法改正案に対して自分の意見をもつためにもぜひ読んでおいて欲しい本です。

副田隆重・浜村彰『第3版 ライフステージと法』有斐閣アルマ

2006年05月20日 | 憲法・法律
2版、3版と版を重ねているのは、世の中から支持されている本と考えてよいものです。

この本は、人が生まれてから死ぬまでの出来事が法的な観点から書かれています。

 例えば、自分の子どもの「悪魔」という名前をつけて、いいものかどうか。
親の命名の自由VS公共性 の対決?です。新聞記事でも大きく取り上げられました。出生届けを受けつける役所が「悪魔」の届けを拒否したことから、争いになりました。

親なら、どこまでが許されるのでしょうか。

生活をすることは法律と否応なしに関わることです。法学部志望の有無に関わらず目を通して欲しい本です。

なお「有斐閣アルマ」シリーズは大学のテキストとして使えるように書かれたものです。入門編、教養編、専門編とグレードに分かれていて、「○○学」という学問がどのようなことをするのか知るために目安になります。

図書館にもかなりの本が蔵書としてあるので、出版社名の検索で「有斐閣」と入力して探してください。

中高生のための憲法教室

2006年04月27日 | 憲法・法律
http://www.jicl.jp/chuukou/index.html

憲法を勉強することの意義を中高生向けに解説しているホームページです。
書いているのは、伊藤真という、司法試験予備校で有名な伊藤塾の塾長です。
卒業生の大学生がダブルスクール(大学に行きながら、司法試験受験のため、あるいは法科大学院受験のための予備校にも通うこと)で通っている人もいるようです。

 公務員の人権が制限されるワケ、プロ野球選手がストしていいの?、黙っていたら人権はない、攻められたらどうするの?、「戦争放棄」の理由、「憲法改正」を考えるヒントなど様々なテーマで書かれていて専門用語を使わず柔らかく書いてあるので読みやすいです。

 「世の中を知る」ために一度はのぞいてみてください。リンクも充実しています。

井上ひさし・樋口陽一『日本国憲法を読み直す』講談社

2006年04月06日 | 憲法・法律
 井上ひさしは作家、樋口陽一は憲法学者で、この本は2人の対談集です。(だからとても読みやすい。)表紙には、国連は清く正しいのか、第9条は「自由」とセットである、日本国憲法のアイデンティティは「個人の尊重」である、と書かれています。

 憲法を語るスタンスで、護憲派、改憲派と分かれます。表紙の言葉からもわかるように、樋口陽一は護憲派で、特に9条は擁護すべきという立場です。

 今の憲法は、アメリカからの押しつけ憲法だから、改正しなければならない、と主張する人がいます。誰が、誰に、押しつけたのか。アメリカが日本にというだけでは正確な理解になりません。その国のどういう立場(議員、官僚、財界人、軍人などのある意味支配階層か被支配階層か)の者が、誰に押し付けたのかということを正確に把握しないと狭いナショナリズムから抜け出せません。

 憲法改正がいよいよ政治の話題にあがってきています。
少ない情報で物事を判断することがないように、憲法改正の論点について、自分なりの意見を持つようにしてください。

 憲法改正に対する視点を養うだけでなく、社会科学系一般(国際関係、国連、政治学、戦後社会)について書かれているので、小論文を書く前提知識の獲得としても有益な本です。

マンガ その4 高井研一郎『あんたの代理人』小学館

2006年04月04日 | 憲法・法律
司法試験に合格した主人公は、台詞ももらえない役者の顔ももっている居候弁護士である。

役者では成長しないが、いろいろなトラブルを、ときに感情的になりながらも解決していくことで、弁護士として実力をつけひとり立ちしていく物語です。

絵がとってもシンプルで、読んでスッキリの漫画です。

弁護士は「人の不幸」が飯のタネの職業です。法学部の入試科目で、多くの大学は政経を必修にしていません。大学側は、高校時代には、法律知識を全く要求していないといえます。(慶応や上智、立教は、「政経」が入試科目にありません。)

「不幸」を予習する必要はありませんが、積極的に行動すると時には不幸になってしまうことがあります。また、「何で私だけ」と思わずにはいられない、理不尽な不幸も降りかかってくるかもしれません。

法曹に進む人は、「人の不幸」に共感できる感性を身につけて欲しいと思います。


マンガ、その3 田島隆原作・東風孝広漫画『カバチタレ!』講談社

2006年04月04日 | 憲法・法律
テレビドラマになった法律漫画です。絵がコテコテでちょっとつらいかもしれませんが、自分の知らない世界へ導いてくれます。

主人公の青年が、勤め先の社長に難癖つけられて、クビになり、給与も払われず、やけ酒を飲んでいたところ、行政書士の経営コンサルタントと知り合い、内容証明郵便を送ると、ナント社長が現金書留で未払い分の給料を送ってきて・・・・・というところから始まります。

「法律屋っちゅうのは、お上公認のヤクザなんじゃ」「世間にはの、弱者が法に縛られ強者が法を武器に弱者を狩る・・・そんな現実があるんじゃ」という台詞があります。

法律という武器をどこに向けていくか。知識は武器です。誰に向けて使うか。
勉強で身を立てていくつもりの人はよーく考えて欲しいと思います。
「ノーブレス・オブリージ(noblesse oblige)」です。

 私は、高校生のとき、法律に全く関心がなく、大学は文学部に進みました。
その後、法律の必要性を感じて、同じ勉強するなら、資格取得をしようということで行政書士試験を受験しました。合格者も多く、資格を生かして開業などとは全く考えませんでしたが、この漫画をみて行政書士の可能性を感じました。

逐条点検 日本国憲法

2006年03月31日 | 憲法・法律
中日新聞の過去の特集です。

http://www.tokyo-np.co.jp/nihonkoku-k/

条文ごとに時事的なことや、背景、解説があり、新聞記事なのでとても

読みやすく書かれています。

時事ネタとして、9条(戦争放棄)、96条(憲法改正)は読んでおきましょう。

過去の記事がタダで読めるのはなんともありがたいものです。

お薦めマンガ~その2~楠本哲『ベンゴ★スター』秋田書店

2006年03月31日 | 憲法・法律
お薦めマンガ第2弾です。

顧問をしている部の卒業生に、マンガの専門家がいて彼が紹介してくれました。

主人公は弁護士を目指す法学部4年生。法律事務所でアルバイトを始めるが、そこは多重債務者や自己破産を扱う事務所だった。闇金融といかに戦っていくか。すっきりした絵で楽しく読めます。(といっても私は1巻しかもっていないので、どうなっていくか楽しみです。)

なぜ、消費者金融の会社は、コマーシャルをあんなにテレビで流せるのか。儲かっているなら、金利を下げる競争をしたらいいのに。

欲しいものがあっても、借りて買うのではなく、我慢をするか、お金が貯まってから買いなさい!

因みに、消費者金融は、預金業務(お客から預金を預かること)ができない金融機関なのでノンバンクといいます。銀行から借りて、一般の人に高利で貸して、その利ざや(金利差)で儲けています。


マンガの活用

2006年03月29日 | 憲法・法律
 ある教員は、マンガはサザエさんと手塚治虫以外は低俗で読むべきではないといっていましたが、私はそうは思いません。

 マンガだけしか読まないのは考えものですが、国語のY先生(初コメントありがとうございます)は源氏物語関連のマンガをわざわざ生徒用に買い揃えて読むよう薦めているくらいですから楽しくて役に立つのです。

そこで、政経っぽいものを紹介します。

 毛利甚八作、魚戸おさむ画『家栽の人』小学館 はご存知の人も多いでしょう。
家庭裁判所の判事を主人公にしてテレビドラマ化もされました。植物を育てるのが趣味で、少年事件を担当し、「育成」を主眼におくので「家裁」ではなくあえて「家栽」と書いています。
 少年事件や家事事件(離婚や相続)を扱っていますが、影の主人公は家裁調査官です。
 弁護士、裁判官、裁判所事務官、書記官、家裁調査官(よくわからんというひとは村上龍『13歳のハローワーク』を読んでみましょう)に関心のある人もない人も読んでみてください。