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高校政経

高校政経

弁護士の仕事

2011年10月05日 | 憲法・法律
神山昌子『苦節23年、夢の弁護士になりました』いそっぷ社

 男女差別がなく、法律の能力次第で道が切り開けると判断したバツイチ子持ちの女性が37歳から23年目で司法試験合格をはたした経緯が書いてあります。
司法修習のあと、検察官や裁判官になれるのは、(比較的)若くて優秀な人のようです
。(裁判官の任官は20代が中心、検察官も30代後半では、暗に志望を取り下げろと教官から忠告される)。
 著者は、法律サービス過疎地の解消のためにつくられた「法テラス」の弁護士として旭川で働いていたことがあり、法律の知識で人助けをしたい、と考えている人には具体的なことが多く書かれているので参考になると思います。

法律をはじめて学ぶ

2009年07月08日 | 憲法・法律
東大大村ゼミ著 大村敦志監修 『ロースクール生と学ぶ 法ってどんなもの?』岩波ジュニア新書(320 ト)

 東大のロースクールの学生が、「法とは何か」について中高生との対談形式で書いた本です。成年を18歳にするかどうかの章が特におもしろい。入門書よりもさらに導入の「門前書」としてあっという間に読めると思います。これを読んで次ぎの段階の本(伊藤真の憲法入門や民法入門など、法学部で法律を学ぶための導入になります。)にすすんでください。

長谷部恭男・爆笑問題『爆笑問題のニッポンの教養 みんなの憲法入門』講談社 002ハ2

2009年01月21日 | 憲法・法律
 爆笑問題がNHKの番組で、学者と討論番組をやっています。その対談集がこのシリーズです。この本は、東大の憲法学の教授・長谷部恭男との対談で書かれています。
 長谷部の仕事のしかたは、「注文生産」だそうです。出版社からの依頼に対して、テーマや分量が与えられて、それに対して原稿を書くという作業をする。東大の学生でない者にとっては、キャリア官僚や法曹にすすむ東大の学生がどのような憲法の授業をうけているのか知る機会になるので、いろいろ発信してくれるのはありがたいです。新書でもたくさん書いています。
 この本での長谷部の発言をいくつか・・・・・・・・・・。
 (憲法改正について)憲法が変えにくくなっている(憲法96条)のは、憲法が社会生活の本当の基本を定めているものだからいったん決めた以上はよほどのことがない限りかえないほうがいいという考え方にたっている。だから憲法の内容は、いろいろな価値観をもっている人々が共通して受け入れることのできるようものになるだろう。
 政治のエネルギーを、我々の身近な日々の生活上の諸問題の解決に注ぐようにするため憲法は変えにくくなっている。
(学問に取り組む姿勢について)憲法は自然科学のようになにか根本的に進歩していくような学問ではない。人々の価値観の対立はなくならない。なくならない中でどうやって公平な社会の仕組みをつくっていくのかをそのつど考えていく。

中澤まゆみ『おひとりさまの法律』法研 367.7ナ

2009年01月21日 | 憲法・法律
 上野千鶴子『おひとりさまの老後』の続編の本です。著者は法律家ではなく、ノンフィクションライターです。
ひとりで老後を迎えるにあたり法律的な問題にテーマをあてて書かれています。相続、離婚、財産管理、消費者問題、医療、老人ホーム、遺言について具体的に書かれています。
 結婚しない人や、離婚後、シングルのまま、老後をむかえる人が多くなっていることがこのような本が売れる理由でしょう。
 老後に関係なく、身近な法律入門として気軽に読める本です。

今村核『冤罪弁護士』旬報社(327.6イ)

2008年12月05日 | 憲法・法律
 なぜ冤罪事件が起きるのか。
具体的な事例をもとに弁護士である著者が解説しています。
ちかん冤罪を扱った映画「それでもボクはやってない」の監督も、この弁護士に取材をしてシナリオをつくったそうです。
 代用監獄(警察署の中の留置場)で長期間拘束されて自白が強要されている現状や、うその証拠のねつ造など、ずさんな捜査についてもかかれています。法学部志望者は必読の書です。

少年法

2008年05月12日 | 憲法・法律
藤井誠二『「悪いこと」したらどうなるの?』理論社

 成人の犯罪者の処罰に対して、未成年者は、少年法のもと、刑罰とは異なる対応がなされます。少年法の内容、少年院での処遇、少年法改正について、犯罪少年の家族はどうしているのか、被害者は許してくれるのか、などについてわかりやくす書かれています。
 著者は、加害者の親も取材しています。あるケースでは、親戚はいっせいに縁をきり、友人や知人もみな離れていき職場にもいられなくなり、転居をせざるを得なくなったそうです。ときどきマスコミがやってきて、事実がわかってしまい、また転居を余儀なくされる。「犯罪」は被害者だけでなく、家族や周囲の人間からすべてを奪い、多くの人の一生を狂わせてしまうことがわかります。この本の初めにマンガが書かれています。16頁の短いもので、まずはマンガから見てください。

徴兵制?

2007年10月15日 | 憲法・法律
 斎藤貴男『報道されない重大事』ちくま文庫(304 サ)

 著者はフリーのジャーナリストで、『ダカーポ』『東京新聞』などに掲載したものを文庫として、この本にまとめました。以下はこの本に載っていた有力?政治家の発言。
 2002年5月3日安倍晋三・当時副官房長官「核兵器の保有も使用も憲法違反ではない」(早稲田大学での講演)
 この安倍発言を受けて当時の福田康夫官房長官(現首相)は、非核三原則の見直しを示唆。
 石破茂・自民党政調副会長(現防衛大臣)「徴兵制は違憲ではない」と発言。サンデー毎日6月23日号で、国を守ることは国民の意に反した奴隷的苦役ではないからといっていたそうです。
 1980年の政府見解で徴兵制は、憲法13、18条違反であるとしているが、解釈の問題としていつひっくり返ってもおかしくない状況に今はあります。

裁判員になりました  疑惑と真実の間で

2007年04月08日 | 憲法・法律
『裁判員になりました』(監修・発行 日本弁護士連合会)を手に入れました。

日本弁護士連合会が、2009年に導入される裁判員制度を広く知らせるため作ったマンガ冊子です。後半部分に刑事裁判の原則など、裁判員制度の意義などが文章で書かれています。

学校関係だと無料で郵送してくれると新聞に出ていたので申し込みました。

 事件は、女子大生がナイフで刺殺され、被告人はその女子大生と顔見知りで、無罪を主張、裁判の行方は・・・・。原則マンガはダメですが、図書館に入れてもらうよう頼んでみます。

 

参議院60周年記念事業

2007年02月02日 | 憲法・法律
2007年、参議院は、1947年5月20日に第1回国会が召集されてから60周年を迎えます。今年、半数の改選をする通常選挙もあります。
 参議院が、二院制下における参議院のその役割を啓蒙すべく、参議院60周年記念事業を実施します。5人一組で学校経由の申し込みになるので希望者は相談に来てください。
以下ホームページより。


高校生特別体験プログラム
 高校生を対象に、実際の委員会室などを使用して、議長、委員長、大臣などの役割を演じながら委員会・本会議を模擬体験し、立法過程を学んでいただきます。
 なお、参加には、事前の申込みが必要です。
開催日時: 平成19年5月19日(土) 午前9時30分の回  午後1時の回
5月20日(日) 午前9時30分の回
募集方法: 各回75名ずつ、計225名の高校生
申込書に必要事項を記入の上、5名で1グループをつくり、グループ単位で、所属する学校(連絡担当の先生)を通じてお申し込みください。
募集期間: 平成19年2月1日(木)から4月18日(水)まで
応募多数の場合は原則として抽せんにより参加者を決定いたします。

後藤昭『新版 わたしたちと裁判』岩波ジュニア新書

2006年11月28日 | 憲法・法律
民事裁判、刑事裁判、近年の司法制度改革についてコンパクトにまとめられている本で、
著者は一橋大学教授です。紛争が、裁判による決着で妥当なのか。「ルール」に従うとはどういうことか、についても考察されています。
 裁判傍聴をするにあたっては、第3章「裁判所へ行ってみよう」が参考になります。
 高3の政経選択者には少々物足りない部分があります。たとえば「裁判官の独立」のところで、「・・・・実際、裁判所長が、行政事件を担当する裁判官に国の側を勝たせるように働きかけたことが明るみにでて、大問題になった例もあります。」と書いてあります。
 政経選択者がこの部分を読んだならば、「平賀書簡事件」「長沼ナイキ基地訴訟」を思い浮かべてほしいところです。注などで一言、触れてもらえればより親切な気もしますが、導入の本なのでやむを得ないかもしれません。

渥美雅子『10代が「法」と出会うとき』ポプラ社(320ア)

2006年11月20日 | 憲法・法律
 著者は弁護士で、中高生にとって法律と関わる部分について紹介している本です。
胎児・・・相続権がある
0歳・・・出生届が出される
6歳・・・義務教育の開始
14歳・・・犯罪を犯すと処罰の対象となる
15歳・・・義務教育の終了。親が離婚するときは、家庭裁判所はその子の意見を聞かなければならない。
16歳・・・女性は結婚することができる。二輪、原付運転免許を取得できる
18歳・・・男性は結婚することができる。普通自動車の運転免許を取得できる
20歳・・・成人となる。選挙権を得る。

構成は、1.生まれる 2.学ぶ 3.失敗する 4.恋をする 5.自立する、となっていて、著者の自分の経験も交えて書いています。

「恋をする」の章で、著者が中3のときに国語の先生に恋をして、気に入られようと詩を書いたり、国語だけは猛勉強をしたそうです。放課後の職員室で掃除をするふりをしながら、その先生のノートを盗み読みしたことが、書かれていて、驚きました。もっと驚いたのが、そのノートに著者ではない別の生徒を好きなことが書かれていたことです。また、中絶体験も書かれています。堕胎罪は3年で時効なので、白状しても法的な責任は問われないそうです。

 大人になるために、法律のしくみがどうなっているのか知るための入門書として最適です。

木村晋介『二十歳の法律ガイド 第四版』有斐閣(320.4 キ) 2001年

2006年10月30日 | 憲法・法律
遊ぶ、旅する、ドライブする、愛する、買う、借りる、住む、貯める、学ぶ、働く、選ぶというテーマに沿って法律問題を取り扱っています。
「列車の遅れの損害をJRに請求できる?」という項目では、自分の体験を思い出しました。新幹線や特急にのるということは、利用者とJRとの間の運送契約に基づいて、対価を払って目的地まで列車に乗ることができる「法律行為」です。
 京都から新幹線にのって新横浜まで帰る途中に、地震のため静岡あたりで停車してしまい、架線の確認が遅れたため、2時間ちょっと到着が遅れてしまいました。
 特急料金については、スピードが速いから、時間を短縮するために特別な料金を支払っているので、「所定の到着時間に2時間以上遅延したときは、特急料金を払い戻す」と定められています。
 社内放送で特急料金の払い戻しのことは連絡されず、私は、払い戻しのルールを知っていたので精算所に行き特急料金を返金してもらいました。知らない人は、そのまま改札で特急券を渡していました。今は社内放送や、改札で返金の情報提供しているかどうか知りませんが「知らないと損」を実感した出来事でした。

 自分の進路が定まらない人は、法学部にいって世の中のルールを知るというのはいかがでしょうか。法曹(裁判官、検察官、弁護士)になるつもりがなくて法学部にいく人もたくさんいます。法学部にいく人はつぶしがきくといわれるのは、世の中の一応のルールを知っていると雇う側が判断しているからです。



鎌田實『この国が好き』マガジンハウス(323.14)

2006年10月20日 | 憲法・法律
 図書館で本の装備をしていたら、なんとも薄い本がありました。薄い本は、その薄さにあわせてラベルに分類番号(323.14)の数字を細長く書きます。ぱらぱらめくると絵本です。あっというまに読み終わりました。

内容は、日本国憲法が日本にはあるから、この国が好きというものです。
著者は諏訪中央病院の医師で、法律家ではありません。
憲法9条の規定があるから、イラクに派遣された自衛隊は、基地外にあまりでず、軍事活動もできず、結果として、イラク国民を殺さず、自衛隊員も死ななかったと書いてありました。

 日本を守ってくれている?国(アメリカ)の武力行使に一緒に参加できる「普通の国」になるためには、9条の規定が邪魔なので、変えたがっている人がいます。現在の憲法では、「戦争の惨禍」を起こすのは「政府」なので、政府が戦争をできないように9条の規定(戦争放棄、戦力不保持、交戦権の否認)と、99条で憲法尊重擁護義務を国会議員や公務員に課しています。憲法は権力者を抑制するためのものです。

 まだ憲法改正のための国民投票法は成立していません。今国会に提出されるかもしれないので注目です。

日本裁判官ネットワーク『裁判官だって、しゃべりたい』日本評論社 327.12ニ

2006年09月29日 | 憲法・法律
ドイツの裁判官には労働組合があり、政治活動も自由で、本人の意思に反する転勤はありません。(映画「日独裁判官物語」) 日本の場合は、数年ごとに全国転勤があり、政治活動を表だってする人はまずいません。それだけ、抑制的に仕事をしているようです。裁判所と自宅の往復で、地域社会との接点もほとんどなく、赤提灯で気軽に一杯というのもしない人が大半だそうです。
 名前を出して、本を書いたり、シンポジウムで発言したりといったことも、ほとんどなされなかったのですが、この本の著者の裁判官ネットワークに属する裁判官は、意思表示を積極的にしていこうというまれな存在の人たちです。
 対談形式で読みやすく書かれています。元死刑囚免田栄氏と裁判官の対談や、裁判官の夫と弁護士の妻の家庭生活についての対談が興味をひきました。

裁判傍聴

2006年09月24日 | 憲法・法律
 
 裁判傍聴をしたことがある人は、上級生は少なからずいると思います。
 法学部を目指す人も、目指さない人も、在学中に一度は、傍聴にいって欲しいと思います。平日の、10時から3時まで間に、横浜地裁にいくと毎日裁判を公開でやっています。
 予約も不要で、抽選もほとんどありません。

裁判傍聴について事前に予習したい人は、学校の図書館の本棚で分類番号 327 を探してください。何冊か用意してあります。
一冊例に挙げます。鷺島鈴香『図解 裁判傍聴マニュアル』同文書院(327 サ)
裁判傍聴のしかた、弁護士へのインタビュー、何が犯罪になるかの解説などが書いてあります。(この本のイラストは、不気味です)

 初めていくなら、刑事裁判の一回目のものがいいです。
入り口に、事件表が掲示してあり、法廷番号や時間、罪名(窃盗や覚醒剤取締法違反は毎日やっています)、被告人(外国人の場合は通訳がつきます)、をみて、一番下の備考欄に「新」とあるものが、1回目になります。
 法廷前に行くと開廷中の場合は入り口のランプが点灯しているので、のぞき窓から様子をみて、静かに入室してください。
 写真撮影や録音はできません。携帯電話の電源を切るのもお忘れなく。
メモはOKです。
 最高裁のホームページに見学・傍聴案内 傍聴の手引がでています。
http://www.courts.go.jp/kengaku/botyo_tebiki.html

 話題になった事件になると傍聴券を求めての抽選になります。その情報は、横浜地裁の傍聴券交付情報  http://www.courts.go.jp/kengaku/yokohama.html  を見てください。
 抽選の裁判は月に何回か、あるようです。事件名と罪名のみで、被告人や当事者名はわかりませんが、チャンスがあれば並んで傍聴してみてください。