goo blog サービス終了のお知らせ 

高校政経

高校政経

池上彰『大衝突 巨大国家群・対決の行方』集英社

2008年12月08日 | 国際関係、外交
 著者は元NHK記者。1章、中国vsアメリカ 2章、ロシアvsアメリカ・EU
3章EUvsアメリカ 4章サウジアラビアvsアメリカ 5章中国vs日本 とそれぞれの強み、弱みを対比しながらデータをもとに解説しています。
 国際関係の現状を知るのに読むと良い本です。厚くて大変そうですが、活字が大きく読みやすいので数時間で読めるはず。
 内容でびっくりした点をいくつか。ロシア男性の平均寿命はなんと59歳。
サウジアラビアの刑法では盗み1回目で右手を切り落とす、2回目で左足切断。
サウジアラビアの王子は1万人程度で、要職を皇族でほとんど占めている。
日本の輸入生鮮、冷蔵野菜で中国産の割合(数量ベース)63.3%(2006年)
 日本にとっての最大の貿易国になっている中国と、どのような関係を築いていったらいいのでしょうか。
参考文献一覧が充実しているのでより専門的な知識を得たい人にも対応できます。

「中国」を知ってますか?

2008年02月29日 | 国際関係、外交
池上彰『そうだったのか 中国』集英社 222.07イ

 この著者の本は複数とりあげています。元NHKの記者だった人で、文章はとてもわかりやすく書かれています。
 中国は日本にとって、近くて遠い国です。経済面においては、中国産なしで、日本の衣食は成り立ちません。冷凍餃子、ユニクロ製品などメイド・インチャイナがいっぱいです。
2つの中国と、冷戦構造のおかげ?で日本は中国と(中華人民共和国と)きちんと向き合うことをせずに、時間が過ぎてきました。1949年建国、日中国交正常化は、1972年、日中平和友好条約は1978年福田赳夫内閣のときです。現首相のお父さん、パパ福田です。
 なぜ、反日暴動が起きたのか、中華人民共和国の成立、文化大革命、一人っ子政策、天安門事件、軍備拡張などについてわかりやすく書かれています。
 毛沢東、小平、江沢民、胡錦濤がどのような人物なのかも、紹介されています。
21世紀の前半の「世界の工場」で、人口だけでなく、やがてはアメリカにつぐ「超大国」
になる中国について、知識をもっておくことは、国際関係を考える上でも必須です。

在日という生き方

2007年04月23日 | 国際関係、外交
朴一『在日という生き方』講談社選書メチエ171 (316.81 ハ)

新年度の政経の授業がはじまりました。
国家の3要素とは、ときかれたら、主権、国民、領域と答えられれば一応正解です。

「ポイント政経」には国民が人民となっています。
国民と人民の違いのひとつが国籍の有無です。日本社会は、日本国籍を有する人だけで構成されているわけではありません。
 在日朝鮮韓国人は、プロスポーツや、芸能界でも数多くの人が活躍しています。昨年のWBC(野球の世界大会)でも、日本代表として何人かが選出されていました。王監督も中国籍ですから、日本も国際化されたチームといえるのかもしれません。

 日本社会を構成する人の中で、外国籍で一番多いのが在日韓国、朝鮮人です。
指紋押捺拒否をはじめた人、力道山、ロッテの社長、自殺した衆議院議員(この人は国籍を日本に変えました)、ソフトバンク社長の孫正義(この人も国籍を日本に変えました)などについて大学の先生が書いています。

どのような社会が望ましいのか、考える上でも、知っておいたほうがいい内容だと思います。

河合秀昭『比較政治・入門 改定版』有斐閣アルマ

2007年03月03日 | 国際関係、外交
河合秀昭『比較政治・入門 改定版』有斐閣アルマ(312 カ)

久しぶりの掲載です。

 政治学科にすすもうとしている人は、大学で専門の勉強をはじめる前に
読んでおいて欲しい本です。
 
国によって政治の仕組みが異なります。その制度がどのように作られたのか、書かれています。イギリス、アメリカ、フランス、ドイツ、EU、ロシア、日本、中国が取り上げられていて、特にEUは国家を超える枠組みですから、日本の今後を考える上でも参考になると思います。

「政経」選択者で、難関大学を目指す人は、教科書にあまり載っていないEUや中国の章に目を通しておきましょう。

坪井ひろみ『グラミン銀行を知っていますか』東洋経済新報社 338.22ツ

2006年12月12日 | 国際関係、外交
 今年のノーベル平和賞はグラミン銀行と創始者のムハマド・ユヌス氏に送られました。
グラミンとは、ベンガル語で「村の」という意味で、グラミン銀行とは、主に貧困層の女性を対象に融資をするバングラデシュの銀行です。
 ノルウェーのオスロでの授賞式での演説で「貧しい人々の生活改善に資金を投入するほうが、銃に使うより賢明な戦略だ」と述べました。(06年12月11日 朝日夕刊)
 グラミン銀行の哲学は以下の通り。
1 クレジット(信用)は基本的な人権である。
2 人は誰でも、機会さえ与えられればよりよい生活をしようとする意欲と能力をもっている。
3 貧困は外から規定され、人工的、社会的につくり出されたものである。
4 人々が銀行に行くのではなく、銀行のほうが人々のほうに行く。
 銀行の融資の方法はマイクロクレジットと呼ばれ、5人のグループをつくり、無担保だが連帯保証をさせ、毎週集会に参加させて、生活改善を自ら考えさせていくという独特のものです。
 連帯保証は「悪」と思っていまいしたが、貧困から脱するための低利融資の方法として機能している(銀行経営が成り立っている)現実もあるのだとわかりました。バングラデシュは主にイスラム教で、女性の置かれている立場などもよくわかります。


猪口孝『国際政治の見方 9.11後の日本外交』ちくま新書(319.1 イ)

2006年10月26日 | 国際関係、外交
日本は国連で何を達成しようとしているのか。日本政府は、常任理事国になりたいと主張しましたが、国連総会では見送りになりました。
 国連そのものについてというより、2001年以降の国際情勢のおおまかなところを理解するのに役立つ本です。
 小泉首相の国連演説、国連に対する日本の不満、日本のビジョン、日本の常任理事国入りに想定される批判に対する反論など概論的にわかります。
 模擬国連に行く人は、一部でも目を通しておきましょう。

 著者は東大教授をへて現在は中央大学法学部教授。配偶者の猪口邦子も学者で、国連軍縮大使や小泉内閣で少子化担当大臣をしていました。

日本との関係 その2

2006年08月06日 | 国際関係、外交
 日本の米国大使館のHPで人身売買について、先日、掲載しました。

 横浜周辺だと、黄金町周辺に、全国の温泉歓楽街にも外国人ホステスがたくさんいます。経済力の格差で、日本の月給で、本国に帰れば、数年分の年収になるようで、不法滞在もたくさんいるようです。「外国人労働者」(とひとくくりにしてはいけませんが)なしに現在の私たちの生活は成り立たなくなっています。
 8月5日朝日新聞(夕刊)記事も居酒屋やコンビニのバイトは外国人労働者なしでは経営が成り立たないそうです。
  人身売買についても新聞はもっと積極的に取り上げて欲しいと思います。

 以下は「2006年人身売買報告書」(米国国務省人身売買監視対策室 2006年6月5日)からの抜粋です。(アメリカの国務省は日本の外務省です。)
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
日本は、商業的な性的搾取のために売買される男女や子どもの目的国および通過国となっている。人身売買の被害者の大半は、合法的な仕事を求めて日本へ移動してくるものの、だまされたり強制されたりして、借金に縛られ、あるいは性的奴隷状態となった外国人女性である。中国人およびタイ人の移民が強制労働で搾取されているとの事例報告もある。女性や子どもは、主としてタイ、フィリピン、ロシア、および東ヨーロッパから、商業的な性的搾取のために日本へ売買されている。これより規模は小さいが、コロンビア、ブラジル、メキシコ、韓国、マレーシア、ビルマ、およびインドネシアからも、女性や子どもが性的奴隷として日本へ売買されている。日本人の未成年女子が性的搾取のために国内で人身売買される問題も継続している。日本における人身売買被害者数についてのはっきりとした推計はないが、被害者は相当数に上るという点で大方の意見が一致しており、また多くの女性は人身売買業者による報復を恐れて、名乗り出ることをしない。国際的に活動する日本の組織犯罪集団(ヤクザ)が、人身売買に関与していると考えられている。


日本との関係

2006年08月03日 | 国際関係、外交
 各国の日本大使館のホームページアドレスです。
例えば、アメリカの日本大使館を見ると、BSE問題に対する米政府の立場が述べられています。また、日本が人身売買を行っている国として、その対策を講ずるように指摘しています。
いろいろとみると、日本とその国との関係が推察できます。夏の自由研究で使えます。

アメリカ:http://japan.usembassy.gov/
カナダ:http://www.canadanet.or.jp/
メキシコ:http://www.sre.gob.mx/japon/l

オーストラリア:http://www.australia.or.jp/
ニュージーランド:http://www.nzembassy.com/Japan/

タイ:http://www.thaiembassy.jp/
カンボジア:http://www.cambodianembassy.jp/
シンガポール:http://www.mfa.gov.sg/tokyojpn/
フィリピン:http://www.ph.emb-japan.go.jp/

フランス:http://www.ambafrance-jp.org/
ドイツ:http://www.tokyo.diplo.de/
イギリス:http://www.uknow.or.jp/be/
スペイン:http://www.mcx.es/tokio/
イタリア:http://sunsite.sut.ac.jp/embitaly/
オランダ:http://www.oranda.or.jp/

ロシア:http://www.rusconsul.jp/

中国:http://lsb.china.jp/
韓国:http://www.kr.emb-japan.go.jp/people/
台湾:http://www.roc-taiwan.or.jp/

エジプト:http://www.embassy-avenue.jp/egypt/index-j.htm
南アフリカ共和国:http://www.rsatk.com/

中澤・日暮・下條『島国ニッポンの領土問題』東洋経済新報社(319.1ナ)

2006年05月15日 | 国際関係、外交
日本の東西南北の端の島をいえますか?
そのうち日本が実効支配しているといえるのは?

日本の政府見解、それに沿った形の検定教科書、地図と現実の差はどのようしておきたのか。日本の外交はどうなっているのか。

表紙には、図解 そういうことだったのか 日本人なら知っておきたい基礎知識をやさしく解説 激怒する隣国、無関心な日本 日本を揺るがす最新ニュースの真相がすぐにわかる 
竹島・・・なぜ騒がれているの?、島根県はなぜ「竹島の日」を制定したの?
北方領土・・・2島返還ではなぜダメなの?北方領土は今どんなふうになっているの?
尖閣諸島・・・中国の「反日デモ」はどうして起こったの?まだまだスゴい。中国の領土的野心
沖ノ鳥島・・・日本の最南端、沖ノ鳥島は「島」なの?
       
と書かれており、日本の領土問題について手っ取り早く情報を仕入れるにはいい本です。

国際理解委員会発行の新聞にも領土問題が取り上げてあり、自分の意見をもつにあたっても現状を知ることが大切になります。この本の巻末に参考文献が掲載されていて、著者が何を参考にしたのかがわかります。次のステップに行きたい人は参考にしてください。

国際関係について学ぶ 3

2006年04月22日 | 国際関係、外交
個人で国際社会とどのように関わることが出来るか、ひとつの例として以下の本を紹介します。

池田節雄『国際弁護士 どんな仕事か、何と戦うのか』平凡社新書
(327.14 イ)

著者は、EUのダンピング課税に対して、日本側の企業の代理人として働いている弁護士です。

ここでの、ダンピングとは、日本からの輸出に対して、特別の関税(10~40%)を課すことで、国家と一企業の対決になります。
日本の輸出企業はダンピング課税をされると、相手国での販売価格が上がってしまうので、何とか減らしたい、その交渉をするのが著者ということになります。

法学部、経済学部、国際関係学部に進みたい人は、大学では「国際経済法」という科目になります。

ヨーロッパ各国の国民性の違い(例えば、素朴で合理的なドイツ、食事を共にして相手の人柄を見て仕事をするフランスなど)、国際交渉のツボと心得(特に、税率が何%になるかは、担当者の一存?なので、どこで決着させるか、いわゆる落としどころをどうするか)は、部活のキャプテンや代議員、実行委員をやっていた人、模擬国連参加者には興味深いと思います。

法律や経済の予備知識がなくても読める本なので、外国で働きたいと思っている人や英語が得意な人も読んでみてください。




「国際関係」について学ぶ

2006年04月19日 | 国際関係、外交
川辺一郎『国連と日本』岩波新書 (分類番号319.9 カ)

国際関係というと、先ず国際連合、日米同盟、アジア諸国との関係などが思い浮かぶと思います。

今回は国際連合について、書かれた本を紹介します。

国際連合は、大国の思惑から中立で、平和の使者というイメージを持っている人が多いようです。

国家の思惑を超えて、中立で、大国のエゴを制御できる組織は、まだ作ることが出来ていません。拒否権をもつ5大国(P5 パーマネント ファイブ 5常任理事国)は、国連を利用できるときは使うし、使えないときは、独自の行動をとります。

アメリカのイラク攻撃の時も、アメリカは安保理の賛成が得られないとわかると同盟国(イギリス、オーストラリア、日本)を頼りに交渉をやめて、戦争を始めました。

「日本の常任理事国入りの是非」というのは、小論文などのテーマにとりあげられることが多いようです。分担金を、仏、露、中、英の合計より多く出しているんだからというのが理由のひとつとして挙げられています。

日本が常任理事国になったら、国際社会にどのような貢献ができるのか。P5と異なる価値観を持ち込めるのか。

第3章「平和国家」日本の実像 反核国家から反・反核国家へ を読むと政府が、国民に対して発する「唯一の被爆国として非核の社会を築こう」というメッセージと国連での反・反核の立場のギャップに苦しみます。

日本政府のこれまでの立場を踏まえて、今後を考えるのに、必読の本です。

日本外交の今後(いわゆる村山談話)

2006年04月10日 | 国際関係、外交
日本のポツダム宣言受諾から50年目の1995年8月15日、当時の村山首相が「戦後50周年の終戦記念日にあたって」述べたものがいわゆる村山談話です。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/danwa/07/dmu_0815.html

その後の首相も、歴史認識について、以下の村山談話を踏襲しています。

「・・・・・ わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。私は、未来に誤ち無からしめんとするが故に、疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け止め、ここにあらためて痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明いたします。また、この歴史がもたらした内外すべての犠牲者に深い哀悼の念を捧げます。・・・・・」

 村山首相は、当時の国家の指導者が国策を誤ったことを認め、日本国民と他国の人々に多大の損害と苦痛を与えたことを反省し謝罪しています。現在の日本外交がこの村山談話に基づいていると周辺諸国は思っています。

この談話が載っているのは外務省のホームページです。日本のODAや世界の国々についても載っているので、データが知りたいときは参考にしてください。

岩波ブックレット

2006年04月01日 | 国際関係、外交
本なんか、最近読んだことないし、図書館からは、入学してから数回しか本を借りてない。でも、入試で小論文があるから、本は読まなきゃ。でもやだな~。
小論文のない大学にしようかな。

 などと思っている人。手っ取り早く、しかも薄くて、内容のある岩波ブックレットをまず、手にとって見てください。

 ひとつのテーマ(タイムリーな話題が多い)について、その道の専門家が比較的わかりやすく書いています。なんといっても、挫折せずに読みきることが出来る薄さがうれしい。(薄いから、図書館の書棚では、見つけるのが大変かもしれません。)

私が読んで印象に残っているのは、ドイツのヴァイツゼッカー(元)大統領の『荒野の40年』です。第2次大戦のドイツ降伏から40年たった1985年に、過去のナチスの行為の反省と将来への決意を述べた演説で「過去に目を閉ざすものは、将来へも盲目となる」という部分はとても有名になりました。