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高校政経

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実習生のお薦め本

2008年06月25日 | 実習生推薦図書
Mさん(数学)のお薦め本です。

★中高生に読んでもらいたい本・
『若き数学者のアメリカ』(藤原正彦,新潮文庫)
 この本は,藤原正彦が1972年夏からの2年間のアメリカ留学を様々な角度から書いた本で,自分の全てをアメリカにぶつけた青年数学者の躍動する体験記でもあり,数学者の視点から眺めた清新なアメリカ留学記ともなっていますので,数学者のものの考え方や人間性がわかったりもすることでしょう。
 ところで,著者である藤原正彦ですが,1943年に旧満州の新京生まれのお茶の水女子大学理学部教授でありますが,小川洋子さんが『博士の愛した数式』(映画化もされましたね。)を書いた際にインタビューをした数学者でもあり,作家の新田次郎,藤原ていを父母に持つエッセイストとしても活躍しています。 
 最後に,この本は,この学園からも近い慶應義塾湘南藤沢キャンパス(SFC)の総合政策学部の1年次の必修科目で「総合政策入門」(などという,大学のイントロダクション的な科目。主に大学の教員を含めたゲストスピーカーの話を聞いたりするもの。)の課題図書として,自己の青春を考える際に挙げられた本でもあります。皆さんも是非自分の生き方を考えたりする際の参考としてみてはいかがでしょうか?

★大学の専門までに読んでもらいたい本・
『はじめての金融工学』(真壁昭夫,講談社現代新書338.01マ) 今回は,経済や金融(銀行など)に興味がある人に是非読んでもらいたい本を紹介します。 
 この本は,最近話題の金融工学(株や預金などの金融を数学を用いて解明しようという分野)に関して書かれているものです。 
 まず,最近,銀行などでもたくさん売り物として出回っているデリバティブとは何か説明したいと思います。デリバティブとは日本語では「金融派生商品」などと呼ばれていますが,これは株などの金融商品そのものを売り物とするのではなく,「今からしばらく経ったある時期に株をある値段で買うことができる『権利』」を売り物にしています。だから,例えば今1000円の株があったとします。ここで,「今からしばらく経ったある時期に株を1000円で買うことができる権利」というものを買ったとします。その時,ある時期に株が1500円まで上がってたとしても1000円で買うことができるのです。(したがって,500円儲けられますね。)逆に,株が500円まで下がっていても1000円で買うことになるので,この場合はこの権利は放棄するということができます。 
 さて,ここで問題となるのは,そのデリバティブの価格をどうやって決めればよいのか,ということになります。それを解決するのがブラック・ショールズモデルという状況設定の方法で,その結果がブラック・ショールズの公式と呼ばれるもので,これにより,その結果を導出した主たる人であるショールズとマートンは1997年ノーベル経済学賞を受賞しました。(ブラックも大きく寄与していたのですが,受賞の前に亡くなっていたため,もらうことができませんでした。) 
 しかし,このブラック・ショールズの公式を求めようと思うと,まともに考えると確率解析という理論が必要で,自分のように大学の専門課程で数学を学び,卒業し大学院に入ったらやっと取り扱うことができるくらいに相当たくさんの下積みが必要となります。僕自身,現在確率論を専門としてやっているのですが,現在は学部4年で,大学のシステムで大学院の科目を取ることができるのですが,その大学院の講義でこの金融工学の話が出てくるくらいです。(ただし,数学を学部でしっかりとやった学生以外にも開講されているため,数理科学科などの数学専門のカリキュラムで言うと学部2年くらいまでの内容しか既知のものとしておりませんが。)ちなみに,大学院の講義では,ブラック・ショールズの公式をブラック・ショールズモデルという条件設定から導出するまで実に2回分(時間数で言うとなんとまる3時間!)もかかったくらいです!
 じゃあ,これは大学院に行くまでわからないのか!?と思う人もいるかもしれませんが,それを含めた金融工学全般を一般の人にもわかるように解説したのがこの本です。高校生にはちょっと難しいので,大学で基本的な微積分をもう少しやったあたり(だから専門に行く前か,専門に行った頃)にでも読んでもらえるとよいのではないでしょうか。逆を言ってしまえば,文系で経済学部や商学部の学生あたりでも,金融工学みたいなものを学びたいと思う人は多いようですが,高校くらいまでの数学だけじゃ話にならず,もっと先の数学まで勉強しないといけない,ということなんですね。ちなみに,この本を書いた真壁先生は,慶應義塾大学理工学部にて週1回講師として一般教養の科目で金融界に勤めている人をゲストスピーカーとして招き,話をしてもらうことを中心として行っている講義も担当されております。 最後となりますが,皆さんの中でこの本とかを読んで触発され,数学を学んでもらったり,金融工学を極めたり,新しい金融商品を作ったりして,大もうけするような人が出てもらえればいいな,と思ってます。


実習生のお薦め本

2008年06月25日 | 実習生推薦図書
以下は、実習生のお薦め本の紹介です。

Mさん (英語)
①中高時代に読んだ本
『容疑者Xの献身』東野圭吾 文藝春秋
 漫画ばかり読んでいた私が初めて、眠れなくなる程没頭した小説です。
ページをめくると、頭の中に小説の世界が再現されて、いつの間にかページをめくる手が その世界に追い付けなくなってしまう。活字だから出来ること。
 自分の創造力で遊んで下さい。7月に映画化されるそうですが、映画より、あなたの頭の中の方が面白いかもしれません。
②大学時代、専門課程に進むにあたり有益な本
『アドベンチャーライフ‐愛する人と自由な人生を‐』高橋歩 サンクチュアリ出版
 高校時代から追い掛け回してきた人です。
 大学生になって、何度かお会いしましたが、本当に自由なおじさんです。大学時代、究極に悩んだ時期がありました。この本を読んで、自分の将来は、面白いくらい無限で、笑っちゃうくらい自由なんだと知りました。人からどう思われるかで、自分は測れないと思います。どんな人でも、この本は相談にのってくれます、是非。


教育実習生お薦め本

2008年06月25日 | 実習生推薦図書
以下は、実習生お薦め本の紹介です。

Aさん(家庭科)‏
①中高時代に読んだ本
『O・ヘンリ短編集』 O・ヘンリ(新潮文庫)
「賢者の贈りもの」「最後の一葉」という題名は、みなさん一度は聞いたことのあるものではないかと思います。私は本を読むという習慣がなかったのですが、公文式の英語の教材で「賢者の贈りもの」を読んで、すごく温かい話だと思ったことをよく覚えています。 その後、この物語がO・ヘンリの短編集に入っていることを知り、「短編集ならちょっとずつ読めるし…」と思い読み始めました。どの物語も最後には「オチ」があり、読んでいて温かい気持ちになります。
 私は結局、短編集全3巻をあっという間に読んでしまいました。図書館にも置いてある本なので、軽い気持ちで是非読んでみてください!

②大学時代、専門課程に進むにあたり有益な本
『生きること 学ぶこと』 広中平祐(新潮文庫)
  この本の「はじめに」の部分に、筆者が若い人からよく「学校で、いろいろなことを勉強するが、いったいその何パーセントが、将来の自分の職業や人生に役立つんでしょうか」と質問される、と書いてありました。
 私も、中学・高校時代、大学に入ってからも何度も感じた疑問でした。この本は筆者による人生論で、このような問いに関して、私たちにヒントを示しながら考える機会を与えてくれました。この本を読んで、学ぶことについて考えながら過ごした結果、私は今の専門課程に進むことに決めました。






実習生のお薦め本

2008年06月25日 | 実習生推薦図書
以下、教育実習生が生徒向けに書いてくれた紹介文を転載します。

Nさん(国語 国文学科)
①中高時代に読んだ本
『少女の器』灰谷健次郎 角川文庫
当時は、主人公の絣は、私が、なりたい、と思う女の子でした。強くて、自分の思いを言葉にする時は、いつも真剣で、情熱もありつつ、冷めている、頭のいい女の子でした。また、絣の父親のあたたかさ、上野君の独特の雰囲気には憧れました。けれど、今読むと、絣の繊細さ、父親の弱さなどが、胸に迫ります。上野君がどれだけ心強い存在なのかも。いないかなーこんな男の子、と思ったりして。
同じ本でも、7年経つと、その時に感じられなかったことが感じられるようになります。それが、お気に入りの本を読んでいて、一番楽しい、切ない、醍醐味かもしれません。そんな本が一人一冊あるといいのですけど。漫画でもいいから。
 この本のあらすじは、ものすごく簡単に言うと、両親が離婚した絣と、アルコール依存症で入院した母を持つ上野君が織りなす日常、といった感じです。本の中で、どこに行っても、「親と戦争」なんだっていうけれど、色んな戦争があります。周りの人を大事に、真剣に、「こまやかな愛」を持った人になれたらいいな、と思える一冊です。

②大学で、専門課程に進むにあたり、有益な本。
『とはずがたり』後草院二条 
 私の場合、日本文学科に進むことを決めたのは高3の時で、一年から専門授業があったのでこれといってないのですが、これはゼミで読んで、卒業論文のテーマにも、選んだので、この本を挙げておきます。ちなみに日本文学科を選んだのは、単に国語が出来たのと、本を読むのが好きだったからです。
 この本の内容は、後深草院二条が、後深草院や亀山院、果ては、お坊さんや大臣なんかと関係を持って、翻弄されたり、翻弄したりしながら、出家して、関東に旅をして、というようなものです。日記文学に入るのですが、当時としては、ここまで赤裸々に書いてあるのは珍しく、作者である二条の自分を徹底的に客観視した書き方であるとか、虚構性であるとか、彼女が関東に行って、武士のことを、田舎者!と言ったりする、どこまで行ってもプライド高いところなど、読みどころは満載です。古文苦手な方は、難しいかもしれません。その時は、山田詠美の『ぼくは勉強ができない』くらいでいいと思います。