システム担当ライブラリアンの日記

図書館システムやサービス系の話題を中心に。最近、歩き旅の話題も。

(2018.2.14)日本文学・国語学の学生のための Digital Humanities 勉強会、大阪大学にて

2018-02-27 19:57:14 | イベント参加
・14時~17時半
・大阪大学 文学研究科 2F

◆個別に山本先生に質問したこと。
 国文研DBは、WSDに?
 →方向性としては、WorldCAT等に出せるように。
  過去の蓄積データ。落とさないといけないデータも。ナビゲートも。
  館内でも議論あり。

以下、理解できた・メモできた範囲での記録です。

■■レクチャー(国文研・山本和明)
○導入
・Haiti Trust、Google アート、、、デジタル環境によって研究も変わる。

○Digital Humanities
・『デジタル・ヒューマニティーズ入門』 *ネット公開されている
 "A short guide to the digital humanities" の日本語訳

・単にデジタル・ツールを使うだけでは、DHではない。

○スキルや情報の入手(学部生・院生)
・主に研究室の教員や先輩から・・・閉じた情報
 研究室によって、スキル格差も。

・卒業後、大学でしか使えないスキル
 持続可能なスキルか?

・阪大生は恵まれている?
 蔵書、文献DB、大学生協(書籍ショップ)など
 環境が変わっても対応しうる適応能力を。

 現在の状況は「当たり前」ではない!

○だからこそ、Web上の情報を自在に利活用
・青空文庫、書籍デジタル化委員会、国語研・コーパス・データベース、NDL・デジタルコレク

ション
 退職等したときに、右往左往する。

・CiNii Articles、J-STAGE。
 併用の利点:検索結果が異なる。

・やたがらすナビ、人文情報学月報、日本文学 Internet Guide、文学通信

○国文研のDBはご存じ?
・近代書誌DB、論文目録DB、日本古典籍総合目録DB、収蔵歴史アーカイブDBなど。
・「併用」

・新たなDB: 歴史的典籍NW事業。10年間。
 30万点の画像作成 →「新日本古典籍総合DB」
 異分野融合研究へ。

○新日本古典籍総合DB ※
https://kotenseki.nijl.ac.jp/
・「唯一の」日本古典籍ポータルサイト
 各機関のサイトで目録作成 → 国文研にポータルサイト

・特長1.情報基盤として:画像はTIFFで保存。JPEGで配信
・特長2.責任もって著作コントロール: 

・基本画面に、検索オプション 3つ
・ファセット・ナビゲーション
・詳細検索 「こちらから探していただければ」と。

○目録DBと、新日本古典籍総合DB の違い
・元は「IKDB」という同じ情報
・新日本古典籍総合DBは、画像を見せる目的。

・画像タグ
 人力で付与。

・全文テキストによる検索

・複数のページを同時読み込み
 同一署名で異なるものを拡大し、比較可能
 *これを図書館で行うのは不可能!!!!!

 *自分の気づきを後に冷静に確認可能。
  ≒ Web公開していないのは、研究対象にしない。

■資源公開に当たっての取り組み
○(1) 利用手続きの明確化 クリエイティブ・コモンズ
・CCライセンス:「この条件を守れば自由に使って構わない」
・古典籍=パブリック・ドメイン という考え方も
 →引用時に「BY」不要 →元資料に当たることが困難。

○(2) いつ見ても確認可能 DOI
 ・Web上の固定請求番号
 ・研究データの保有機関のみ可能

※人文科学を「検証可能」に
 ・DOIも引用情報に。
 ・図書館で原資料閲覧 →請求記号
 ・国文研で紙焼き本 →その旨を記載

○(3) ストレスフリーで見ることができる
・画像共有の新しい標準IIIF。画像表示が速い!
・自分のビューワーで見られる。

*NDLが古典籍をIIIF対応に(本年中頃)
*島根大学図書館も対応

・つながるDB、世界からも検索
 CiNii Books、ジャパンナレッジも予定。

*オープンデータ。CODHと連携
 1)研究者のため 1700点、一括ダウンロード
 2)機械のため 字形データ →機械可読の学習データ

*撮影器財(可搬型)の開発

■さいごに:お願いとして
・万全ではないが、期待できるもの
・使いこなす。時間がないときに、眺めるだけで「発見」
・利用条件の遵守。自分の研究成果を検証可能に。
・DBは「空気」ではない。維持する人々のいることを意識
 →利用を明示、それが維持につながる!!

■■レクチャー 人文学のためのIIIF(トリプル・アイ・エフ)(人文情報学研究所・永崎)

■IIIF(トリプル・アイ・エフ)とは
・2011年頃から一部有力機関により開発開始
・コンソーシアムは、2015年から

○公式Webでの解説
・サイロに閉じ込められ…相互運用可能な取り組み
・画像ベースのリソース。共通のAPI。
・研究を支援するための技術

■これまでのデジタル資料画像
○同じようにデジタル公開しているのに使い勝手がまちまち

○あちこちの機関に別々に保存されている資史料

○コスト問題


○解決策としてのIIIF
 画像/コンテンツの・・・
 「提供」と「閲覧」の機能を分離
 「提供」の方法を共通化
 「閲覧」は各自が自由に

○IIIFの新しさ
・技術的な新規性はない
 「枯れた」既存技術の組み合わせ
 ⇒「・・・がなければ表示できない」ことがあまりない
 ⇒対応できる技術者・企業が多い
 ⇒これが共通規格としての大きな強みになっている。
・有力機関が採用、一般化
・注釈も共通化

 →規格の継続性を期待

○参加機関
・1万ドル/年 47機関。日本からは2機関。

○IIIFの革新性
・「有力機関が足並みをそろえた」
・誰もが自由に使える共通のルール
 かつ、World Wide Web Consortium (W3C)が定めるWebアノテーションという仕様に準拠
・誰もが自由に使える対応フリーソフトウェア群

・これまで、個別のDBにアクセス
 → IIIFだと、ビューワーが見てくれる

■ビューワー
○フリーのビューワー
・Universal Viewer
 英国図書館、ウェルカム財団等で開発
 「3D表示」
・Mirador
 ハーバード大学、スタンフォード大学等で開発
 フランス国立図書館系のプロジェクトも力を入れている
 「並列表示」
・IIIF Curator Viewer
 人文学オープンデータ共同利用センター(CODH)で開発


○「そんなにうまい話ばかりで大丈夫なのか?」
・Webは元々こういうことをするための技術
・IIIFでは、世界各地の有力機関が対応することになったために、ようやく実現可能

○人文学にどう活かせるのか
・画像を見やすく、比較しやすく
・注釈(アノテーション)を付けやすく、共有しやすく
・翻刻付与
・デジタル展示

■実習
○「IIIF Manifest」 ←覚えてください
 ・資料に含まれる画像情報や注釈等をまとめて書いたファイル
 ・「IIIF Manifest URI」(Web上のURL) という言葉も頻出

○Manifestを集めたサイト
http://bauddha.dhii.jp/iiifws/show.php

・各ビューワーのアイコン、左に → 体験
・「百鬼」で検索

○IIIF Manifest を自分で... 周囲も含めついて行けず・・・
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