「解いてみよう位相空間:大田春外」(改訂版)(改訂版のKindle版)
本書は「はじめよう位相空間:大田春外」の続編の演習書だ。位相の基礎概念についての問題集、演習書として本書の右に出るものは、おそらくないであろう。およそ300の問題と詳解、解説が盛り込まれている。これだけ豊富な解答例をおさえておけば、試験対策としては万全だ。
僕の場合、自分で証明を書けるようになるレベルは望んでいず、概念や定理の意味やその証明を「理解できればよい。」というスタンスで学んでいるので、その意味でも本書は十分具体的で理解を助ける例題が豊富に取り上げられている。
本書全体の理解度は95パーセントほど。学んだ価値が十分あったと思う。特にためになったのは第8章の「位相空間」の箇所だ。
なお本書には「はじめよう位相空間:大田春外」では取り上げられていなかった「位相空間の基底」についての解説と問題、回答が含まれている。以前、他の本で学んだときによく理解できていなかったので、本書で救われたわけだ。
抽象的な概念であればあるほど、具体例をたくさん見ることで理解は確固としたものになる。「大学時代にこのような本があったらよかったのに。今の学生は恵まれているな。」という思いを強く持った。
「はじめよう位相空間:大田春外」と「解いてみよう位相空間:大田春外」(改訂版)の両方を読むのがベストであるが、どうしても1冊だけしか読めないというのなら、僕は「解いてみよう~」のほうをお勧めする。
著者は以下のようにネットで質問を受け付けている。過去に寄せられた質問の回答が掲載されているのでとても参考になる。
位相空間・質問箱
http://www.ipc.shizuoka.ac.jp/~echohta/top.html
「はじめよう位相空間:大田春外」(Kindle版)
「解いてみよう位相空間:大田春外」(改訂版)(改訂版のKindle版)
本書でひととおり理解できたら、以下の定番の教科書をお読みになるとよい。大学の授業レベルの位相入門書としては、この本は長年親しまれてきた良書である。
「集合・位相入門: 松坂和夫著」
関連リンク:Webで勉強してみたい方は以下のページがお勧め。
集合と位相:
http://www.rimath.saitama-u.ac.jp/lab.jp/fsakai/settop.html
位相空間論:
http://markun.cs.shinshu-u.ac.jp/learn/topology/index-j.html
関連記事:
はじめよう位相空間:大田春外
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/98d355dcb790031607d752984929fe3d
位相への30講:志賀浩二著
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/c474251f13ab5f1cb6468c18f809fd07
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「解いてみよう位相空間:大田春外」(改訂版)(改訂版のKindle版)
第1章:ユークリッド空間とその図形
- ユークリッドの距離
- 位相同型な図形に関する直観的な問題
- E^nの図形
第2章:距離空間と点列の収束
- 距離関数の定義に関する問題
- 三角不等式とε-近傍
- E^nにおける点列の収束
- 距離空間における点列の収束
第3章:距離空間の間の連続写像と位相同型写像
- 連続の定義(ε-δ)に関する問題
- E^mからE^nへの写像の連続性
- 距離空間で定義された写像の連続性
- 距離空間の間の位相同型写像
第4章:いろいろな距離空間
- R^n上の距離関数d_1、d_∞
- 離散距離空間
- 関数空間(C(I),d_1),(C(I),d_∞)
- 行列の空間(M(2,R),d)
第5章:距離空間の開集合、閉集合
- E^nの開集合と閉集合
- 連続写像による開集合と閉集合の逆像
- 距離空間の開集合と閉集合
- 距離空間の具体例における開集合と閉集合
- 距離空間の開集合系
第6章:内部と閉包、集積点と孤立点
- E^nの部分集合の内部、外部、境界、閉包
- 距離空間の部分集合の内部と閉包
- 離散距離空間の開集合と閉集合
第7章:部分距離空間
- E^1とE^2の部分空間
- E^nの部分空間の開集合と閉集合
- 部分空間で定義された関数の連続性
- 連続写像のグラフ
第8章:位相空間
- 位相構造の具体例に関する問題
- 位相空間の開集合と閉集合
- ハウスドルフ空間
第9章:位相空間の間の連続写像と位相同型写像
- 連続写像の具体例に関する問題
- 位相空間で定義された写像の連続性
- 位相空間上の実数値連続関数
- 位相同型写像
第10章:部分位相空間、基底、直積位相空間
- 部分位相空間
- 基底
- 直積位相空間
- 連続写像のグラフに関する問題
第11章:コンパクト空間
- 開被覆とE^nのコンパクト集合
- 位相空間のコンパクト性
- コンパクト空間と連続写像
- コンパクト距離空間
第12章:連結空間
- 連結性の定義に関する問題
- 位相空間の連結性
- 弧状連結空間
- 連結性の応用問題
付録:数学を正しく分かりやすく書くための3つの方法
方法1:これから行うことを予告する
方法2:数式や文には理由や関係を示す言葉を付ける
方法3:すべての文をピリオド(句点)で終える
記号索引
索引
本書は「はじめよう位相空間:大田春外」の続編の演習書だ。位相の基礎概念についての問題集、演習書として本書の右に出るものは、おそらくないであろう。およそ300の問題と詳解、解説が盛り込まれている。これだけ豊富な解答例をおさえておけば、試験対策としては万全だ。
僕の場合、自分で証明を書けるようになるレベルは望んでいず、概念や定理の意味やその証明を「理解できればよい。」というスタンスで学んでいるので、その意味でも本書は十分具体的で理解を助ける例題が豊富に取り上げられている。
本書全体の理解度は95パーセントほど。学んだ価値が十分あったと思う。特にためになったのは第8章の「位相空間」の箇所だ。
なお本書には「はじめよう位相空間:大田春外」では取り上げられていなかった「位相空間の基底」についての解説と問題、回答が含まれている。以前、他の本で学んだときによく理解できていなかったので、本書で救われたわけだ。
抽象的な概念であればあるほど、具体例をたくさん見ることで理解は確固としたものになる。「大学時代にこのような本があったらよかったのに。今の学生は恵まれているな。」という思いを強く持った。
「はじめよう位相空間:大田春外」と「解いてみよう位相空間:大田春外」(改訂版)の両方を読むのがベストであるが、どうしても1冊だけしか読めないというのなら、僕は「解いてみよう~」のほうをお勧めする。
著者は以下のようにネットで質問を受け付けている。過去に寄せられた質問の回答が掲載されているのでとても参考になる。
位相空間・質問箱
http://www.ipc.shizuoka.ac.jp/~echohta/top.html
「はじめよう位相空間:大田春外」(Kindle版)
「解いてみよう位相空間:大田春外」(改訂版)(改訂版のKindle版)
本書でひととおり理解できたら、以下の定番の教科書をお読みになるとよい。大学の授業レベルの位相入門書としては、この本は長年親しまれてきた良書である。
「集合・位相入門: 松坂和夫著」
関連リンク:Webで勉強してみたい方は以下のページがお勧め。
集合と位相:
http://www.rimath.saitama-u.ac.jp/lab.jp/fsakai/settop.html
位相空間論:
http://markun.cs.shinshu-u.ac.jp/learn/topology/index-j.html
関連記事:
はじめよう位相空間:大田春外
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/98d355dcb790031607d752984929fe3d
位相への30講:志賀浩二著
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「解いてみよう位相空間:大田春外」(改訂版)(改訂版のKindle版)
第1章:ユークリッド空間とその図形
- ユークリッドの距離
- 位相同型な図形に関する直観的な問題
- E^nの図形
第2章:距離空間と点列の収束
- 距離関数の定義に関する問題
- 三角不等式とε-近傍
- E^nにおける点列の収束
- 距離空間における点列の収束
第3章:距離空間の間の連続写像と位相同型写像
- 連続の定義(ε-δ)に関する問題
- E^mからE^nへの写像の連続性
- 距離空間で定義された写像の連続性
- 距離空間の間の位相同型写像
第4章:いろいろな距離空間
- R^n上の距離関数d_1、d_∞
- 離散距離空間
- 関数空間(C(I),d_1),(C(I),d_∞)
- 行列の空間(M(2,R),d)
第5章:距離空間の開集合、閉集合
- E^nの開集合と閉集合
- 連続写像による開集合と閉集合の逆像
- 距離空間の開集合と閉集合
- 距離空間の具体例における開集合と閉集合
- 距離空間の開集合系
第6章:内部と閉包、集積点と孤立点
- E^nの部分集合の内部、外部、境界、閉包
- 距離空間の部分集合の内部と閉包
- 離散距離空間の開集合と閉集合
第7章:部分距離空間
- E^1とE^2の部分空間
- E^nの部分空間の開集合と閉集合
- 部分空間で定義された関数の連続性
- 連続写像のグラフ
第8章:位相空間
- 位相構造の具体例に関する問題
- 位相空間の開集合と閉集合
- ハウスドルフ空間
第9章:位相空間の間の連続写像と位相同型写像
- 連続写像の具体例に関する問題
- 位相空間で定義された写像の連続性
- 位相空間上の実数値連続関数
- 位相同型写像
第10章:部分位相空間、基底、直積位相空間
- 部分位相空間
- 基底
- 直積位相空間
- 連続写像のグラフに関する問題
第11章:コンパクト空間
- 開被覆とE^nのコンパクト集合
- 位相空間のコンパクト性
- コンパクト空間と連続写像
- コンパクト距離空間
第12章:連結空間
- 連結性の定義に関する問題
- 位相空間の連結性
- 弧状連結空間
- 連結性の応用問題
付録:数学を正しく分かりやすく書くための3つの方法
方法1:これから行うことを予告する
方法2:数式や文には理由や関係を示す言葉を付ける
方法3:すべての文をピリオド(句点)で終える
記号索引
索引
同感です。この本はそういう意味でもとてもためになりますね。
この本のように問題数が多いと、どれを自分で解いてみるか迷いますけれど。
自分の経験だと、測度論で直積測度が加法的になる事の証明がそうだった。
証明を読んでも意味不明なのは大抵そうなんじゃないかな。