PM7:00に2PMの事を考える

クリームソーダ的宇宙

エッセイ【NAVERまとまりません】じ、ダイエッ。しで編(text:H)

2013-06-28 12:56:03 | ジュノ LEE JUNHO

じゅんほはもともと髪型(前髪上げない)を変えて、ダイエットしてれば早々にもジュノしでが来ていたと思う何枚か。

・・・という件名で突然PCにメールが送られてきました。

あ、こんにちは。タモンニです。いつもアナ春ご購読感謝いたします。

 

じゅんほはもともと髪型(前髪上げない)を変えて、ダイエットしてれば早々にもジュノしでが来ていたと思う何枚か。

 

略して「じ、ダイエッ。しで」

 

正直、毎日何通もくる迷惑メールかと思ったんですこの手の

 

 

 

750万だ、小林だ、コバヤシミカだ、言われても絶対開けないけど、じゅんほって書いてあったらクリックしちゃうよね!

(あ、こうやって芸能人とメールできます詐欺みたいなのに引っかかるんだぁ。こわーい)

いな、結局というか勿論、チュンタHからだったんですが。

で、その後「これは私に再編集してブログに載せろってことかしらん?」という問いかけに

(仕事にでたのか)返答ないまま。。。アップしちゃうけどね!

というわけで、このブログをみて文句があったらいってきてねチュンタH!

多分短いからもっと書きたい事あるとか言ってきそうな予感。

++++++++++++++++++++++++++++++

「NAVERまとまりません じ、ダイエッ。しで編」text:H

 

 

2010年の写真。もう今年のジュンホとそん色ない美しさだけど前髪が惜しい。痩せてる

 

 

 

20110123の写真(前髪が伸びただけですでにジュノしで、しかも痩せてる)

 

 

 

20110716のじゅんほ 若干、いも 太り始めた芋。でも赤髪でカバー。でも前髪上げてるからもっと芋。

 

 

 

2011年末 だいぶ芋 ピークに太る。前髪も上がってだいぶ芋。大好き。

 

 

 

20130613のジュンホ だいぶ痩せて前髪もマックス下がり、だいぶジュノしで。

 

 

  

おまけ 芋

 

 

 

++++++++++++++++++++ 

 

メールのライブ感を生かすためにあえて手をくわえずシンプルにアップしてみたよ!それじゃ!チュンタHチェックよろしく!


アナウンサー!春物語 第12話 前編

2013-06-26 19:00:00 | アナ春

プチテレビ社食。

"アナウンサー1日体験”の、合間の休憩時間。

純保と右太郎は2人でランチをとっていた。

 

 

プチテレビの夏のお祭り”湾岸合衆国”は中盤に入りますます盛況だ。

オープニングの打ち上げで、社長の玉澤と、サイパーの紀村が起こした騒動の一部始終は

外に漏れないよう箝口令が敷かれた。

しかし人の口に戸はたてられない。社内中が知るところとなっていた。

 

そんなわけで、湾岸合衆国の盛況ぶりとはうらはらに、プチ内部のムードはやや重い。

 

事業部では先んじて、紀村が招へいしたアーティストが出演拒否をした場合の対策を練っていたが、

彼らは意外にもそのまま”おやすみライブ”に出演してくれている。

紀村俊はあれ以降沈黙している。

それが逆に、怖い。

 

「おい、どうしたんだ?箸が進んでないぞ?」

純保が右太郎に話しかけた。

右太郎はかけうどんを頼んでいたが、麺を1,2本すすっただけで箸が進まず、麺は出汁を吸って伸びきっていた。

「食べ物を粗末にしちゃ、だめだぞ?」うどんをみつめる純保。

「なんか、食欲がないんですよ」

「どうした右太郎?この後、俺もお前もアナウンサー体験、残り5人分だぞ?大丈夫なのか?」

「はあ…」

右太郎は病院から帰ってからずっとサヤ子の事を考えていた。

 

 

綺麗な女は多い、かわいい女たちも。

ピュアなまなざしで見つめてくる女たちはたくさんいたけど、

僕をこんなに何もできないようにするセクシーな感じは初めてだ。

ふいのキスのしわざ?

ずっとサヤ子の事が頭から離れない。

ぐるぐるぐるぐる回る、君は僕を狂わせる女医・・・

ぐるぐるぐるぐる回る、君は僕を狂わせる女医・・・

リフレイン。

 

「・・・伊藤さんは、好きな子には自分から行くタイプですか?」

 「ぐ」

 

「なんだよいきなり…」

ランチがわりのひよこ饅頭をつまみながら純保が恥ずかしそうに答える。

「いや、俺は、自分から好きになったこと、ないんだ…」

純保はこの手の話は照れるらしく、いったん食べるのをやめてしまった。

ひよこ饅頭の頭をなでたりしている。

「相手が僕を好きでいてくれてる、って知るところから始まって、意識しはじめて、だんだん気になって、好きになるから。

でも、気持ちが走り出すともうだめだな。忙しくても会いたいって言われたら飛んでいくし。

そんな時は寝なくても疲れないんだ。とにかく一緒にいたい」

「へえ、自分から好きになったこと、ないんですか?」

「うん…」

(今までは、な)

純保は一人の世界へ入って行った。

 ・

ハルナが初めてだな、俺の方から好きになったの。

だけど俺はへなちょこだから好きと言葉にできず、寝ているハルナにキスしたりして・・・。

ハルナが勇気を出して、好きと言ってくれて始まったんだったな。

そして俺が拒否した。

もしかしたら自分とハルナは血のつながった――いや、考えたくない。恐ろしい事だ。

OK、認めよう、俺は逃げている。

 

だって兄妹だとはっきりしてしまったら、ハルナと結ばれることは道理として許されないんだぜ?

白黒つけるのが怖くてたまらないんだ。

 ・

気が付くと、目の前で右太郎が不思議そうに純保をみていた。

「・・・俺の話はいいよ。なんだよ右太郎、食欲がないのは――恋のせいか?」

話をそらせたい純保は、ひよこ饅頭を右太郎に勧めた。

「いや、なんでもないっす・・・。ひよこ饅頭も今はいいです。自分、14時から体験始まるんで、先行きます。じゃ!」

純保に恋の相談をしようとしたのが、間違っていた、と思う右太郎だった。

 

ひとり残された純保は、ひよこの白餡を上あごに付けその香りごと味わいゆっくりと咀嚼しながら、

目の前の問題から逃げている自分に改めて向き合っていた。

(このままハルナを諦めるのは、蛇の生殺しだ…。明子に、会いに行こう)

 

///////////////////////

右太郎は"アナウンサー1日体験"午後の部に取り掛かった。

今回は珍しく男性の応募者、しかも外国人だ。

「ヘロー、張本右太郎です。今日は1日体験にようこそ。男性とはめずらしい!」

「ヘーイ、あなたのダンスが好きで応募しました。ジョージです、よろしくネ」

かたいシェークハンズ。

ハンズアップ。

 

ジョージは外資系証券会社のトレーダー。日本に赴任して長いという。

アナウンスの体験というよりは右太郎自身に興味があるようだ?

ノリが合い、2人はすぐに打ち解けた。

ジョージの上司がややオカマらしく、それが右太郎の通うクリスタルベルの院長の特徴ともよく似ていてカマ談義で盛り上がった。

そんな話をしているうち、あっという間に一時間が経つ。

「今日はありがとう、ウタロー!今度ゲイシャアソビしよね!そうだ…ウタロにだけ教えとくヨ・・。

プチテレビの株、昨日から大量に買ってるカイシャあるね。キヲツケたほがいいね!」

 

 

※ジョージ(・マイケル)

 「ああ…」

昨日から、株を、大量に・・・?なんだろう・・・。

「うん、わかった、情報ありがとう、ジョージ。ほんとに遊びにいこうね!」

株。少し気になる情報だった。後で玉澤に報告しようと右太郎は思った。

 

 ・

プチテレビを出たジョージは足早に人ごみを抜け、周りに誰もいないことを確認するとケータイを取り出し電話を掛ける。

ピッポッパ

「Hello?」

「Hello Mr. H, this is George. Mission accomplished.」

(もしもし、Mr.Hですか?こちらジョージです。ただいま任務完了しました)

※ジョージ

「How did it go? Harimoto better not have suspected anything.」

(そうか。どうだ?張本は君を疑っていなかったか?)

「Don’t worry. I distracted him with gay gossip and dropped a hint about the stock.

(はい、オカマの話題で油断させましたし、株の件は匂わせる程度にしておきましたので。)

I snuck into Puchi TV before meeting Harimoto and they are paying a great deal of attention to Kimura’s moves.

(張本に会う前にプチテレビ社内に忍び込んで内偵したところ、サイパー.comの紀村社長の動きにはかなり注意を払っているようでした。)

Unless Harimoto is dull, he will report to Tamasawa if hears there is going to be a stock movement.」

(ですので張本がよほど愚鈍でない限り、株の動きがあると聞けば、玉澤社長に報告するでしょう)

 

「Well done. I want you to remain in Japan and continue to investigate.」

(そうか。わかった。すまないがしばらく日本にとどまって引き続き様子を探ってほしい)

 

「Yes sir. Um…I made a promise with Harimoto that we would go to a geisha party and um…」

(了解しました。あの、いいにくいんですが、張本と芸者遊びをする約束をしまして・・あの・・)

 

「A geisha party? Go ahead. I’ll cover it under expenses. Make sure you stay in contact with Harimoto. Bye.」

(芸者遊び?ああ、いいよ、経費で落とそう。張本とはコンタクトを続けて。それじゃ)

 

ジョージからの電話を切る男。

それが、Mr.H。

彼の部屋からはエンパイアステートビルが見える。

(…なんとか事前に阻止できるといいんだが。なぜか悪い予感がする。

すぐにでも日本に行きたいが、ここはジョージと張本君を信じるしかないな)

遠くアメリカから日本のテレビ局の事を心配しているMr.Hは自分の長い足を持て余しながら思索にふける。

いったい彼は何者なのだろう・・・。

 

 

-12話後編につづく-

同時通訳協力:キム・ミナ


アナウンサー!春物語 第12話 (予告)

2013-06-26 18:00:00 | アナ春

12話のあらすじ

玉澤に裏切られたことを知った紀村だが、予想に反し沈黙。これは嵐の前の静けさなのか・・・?

一方、女医の事が頭から離れない右太郎は女医をデートに誘うが、彼女には右太郎の愛を受け入れられない理由があった。

ハルナは恋煩いで体調を崩す。これ以上あいまいなまま放っておけないと判断した純保は、母親疑惑のある明子の家を訪ねる。


アナウンサー!春物語 第11話 後編

2013-06-25 20:00:00 | アナ春

張本右太郎は完全なる敗北感を背負って病院に向かっていた。

しかしそれは、やけに爽やかな敗北感で、レイを吹っ切れたような気がしていた。

(黄桜のパンチが効いたのかな。フ。)

 

(俺はバカだ、レイが心配だなんて言って、結局別れた女を未練がましく追っていただけ。

レイにふさわしいのは自分だけだなんて・・・なんて思いあがりだったのか)

黄桜賛成。

あいつの拳は本物だった。

熱い男だ。

レイを任せられる。

いや、任せるも何も、レイはもう、あいつのもんなんだ…。

右太郎は自分に言い聞かせた。

右太郎はプチテレビ・アナウンス室御用達の病院に着いた。

[クリスタルベリ・クリニック]

ここには腕のいい医者が揃っており、院長自も診察してくれる。

院長とはフィーリングが合う。

「張本さーん、診察室までお入りくださーい」

診察室に入ると院長はいつもの笑顔で迎え入れてくれた。

「わお。こないだ膝やったかと思えば今日は顔?腫れてるねえ。こりゃすぐ引くかなあ?」

 

「先生、今日の22時のニュースまでに間に合わせないと張本ケンカか?と騒がれますんで。

何とかお願いします」

「うーん、そうねえ、じゃあね、美容整形外科に腕利きの女医が入ったからそっちいってごらん。

顔にハリを持たせることができるんだから、引く事も出来るでしょ?しらんけど。」

美容整形外科か、はじめてだな。

言われた通り別の診察室へまわった。

「あの、紹介されてきた張本ですが」

「あ、院長から聞いてます。先生を呼んで来ますので、そこに座ってお待ちください」

右太郎は、看護師に指示された通り丸椅子に座り診察室を見回した。

医師の机の上にはスタッズのついた手帳やスマフォケースが置いてある。

スタッズ好きな先生か…。

「サヤ子先生、おねがいします」

看護師が医師に声をかけた。

(サヤ子?ああ、そういえば女医だと言っていたよな)

「はーい」

女性の透き通る声。

コツ、コツ、、、ヒールを鳴らしながらサヤ子と呼ばれた女医が入ってきた。

金髪のボブカットに白い白衣がまぶしい。

顔を見る。

右太郎はハッと息を飲んだ。

その、身を守るようなアイライン。

一瞬、世界のすべてが無音になった。

やがて、ドゥグン、ドゥグン、、、と何かの音。

それは右太郎の鼓動がハートビートする音だった。

 

「どうなさいました?ほーっとして?えっと張本さんですよね。院長からきいています。すぐに注射しましょう」

注射ときき、ハートはますますビートする。

「え!注射はちょっと、苦手なんです。ほかの方法でおねがいします」

サヤ子女医の目が光った。

「注射しないと腫れがひきませんよ?!」

「いや、でも、だめです、注射とか無理ですぼく」

「いいから!さ、顔こっち向けて!」

「いや、ほんっとムリです!」

抵抗する右太郎。

サヤ子も医者としての意地がある。負けてはいない。そして実は、なにより注射を打つのが好きだ。

特に患者が嫌がると燃える。

スタッズが好きだが、できれば注射針なみに鋭利なものを身につけたいくらいなのだ。

「さ、行きますよ!」

サヤ子は両手で右太郎の顔をとらえ、右頬に狙いを定めた、と思ったその瞬間―

右太郎は最後の抵抗をし、強い力で顔をそらす。

その瞬間バランスが崩れ、サヤ子と右太郎の唇がm思わず重なってしまったのだ。

「・・・!」

「・・・んぐ!」

いそいで離れる2人。

しばしの沈黙。

突然のキスに気まずさが残る。

「ん!あの、これは!」

「―――サヤ子先生・・・しぃ」

「・・・・・・・え、ええ、事故よね、ゴホン!・・・さあ!注射、いきますよ・・」

「・・・・・・・はい」

さすがの右太郎ももう抵抗しなかった。

 

 

診察を終え、会計を待つ右太郎。

「張本さん、今日は9,450円です」

「あ。はい、じゃ一万円で。プチテレビで領収書ください。・・・あ、君」

「はい?」

「・・・サヤ子先生って、独身?」

「ああ、独身ですよ。バツイチですけど」

「ひゃ!ラジャー」

独、身。

右太郎はうきうきしながら会社へ戻った。

 

 

一方、診察室ではサヤ子が一点を見つめ静止していた。

目の先には右太郎のカルテ。

「は・り・も・と・う・た・ろ・う・・・」

唇に指をあてる。

ほのかに温かさが残っているようにかんじる。

久しぶりのキスだった。

「うたろう…」

なんだろう、この胸騒ぎは・・・。

 

 

 ///////////////////////////

そのころ、湾岸、会議室。

[おやすみライブ]初日を終え、会議室ではささやかな打ち上げが行われていた。

「紀村君、すばらしいステージだったよ!」

「玉澤さん!ありがとうございます。 緊張しました…」

紀村俊は今日、U2の後、トリを務めたのだ。

そう、念願の、歌手として。

「俊、いずれは会社を譲渡して、アーティストしながら世界を旅するのが夢なんです。職業:旅人、だよね?」

隣にいるミーコが誇らしげに話す。

「金儲けはもう充分しましたからね・・・。今年中に経営権は譲るつもりです。世界を見て感性を鍛えなきゃ。

まずはイビサ島あたりでのんびりして夜はDJしますよ。ミーコ、ついてきてくれるね?」

「俊・・・。もちろんよ」

「おやおや?ここでプロポーズか?先を越されそうだな」

玉澤がそういいながらシュウコの方をちら見した。

シュウコはゲストの面々と談笑していた。

「・・・でも意外だな。紀村くんはサイパーをもっと大きくしたいんだと思っていたよ?」

「いえ、もともとそんな欲はないんです。もともと音楽が好きでそれで食っていきたかったんですが、

父が早くに亡くなり、母と弟を食わせる為に…。ま、思った以上に成功しましたけどね」

「でも、今日ステージに立ってわかりました。僕の夢は素敵な形をしていました。

それをどうしても掴みたくなった。おやすみライブでいい機会をいただけて感謝しています」

「君の実力だよ!」

 

と、そこに、右太郎との決闘を終えた賛成がやってきた。

殴られたため、顔にアザが残っている。

「賛成、どうした?!」

心配する玉澤。

「なんでもないです。あ、‥・・・紀村さん、今日はお疲れ様でした」

紀村は賛成を無視した。

もちろんまだ写真の件を根に持っていた。

「――ミーコ、帰るぞ」

いつもはそんな態度にスルーする賛成だが、虫の居所が悪く、つい発言してしまう。

「紀村さん!あなたも度量が狭い男ですね。何度も謝罪をしたじゃありませんか?

もういいです!聞く耳を持たない人と、僕は今後仕事をしたくないです」

 

 

「なんだって?ふん、黄桜。いいか?脅しじゃないから聞け。お前のやったことは玉澤さんに免じて全部チャラにしてやる。

社長の言う事にしっかり耳を向け慎重になれ。この恥知らずめ、いい加減に学べ!」

紀村は紀村でライブの余韻が残っており、口調がラップ調だった。

「今度同じようなことをして俺を裏切ったら、何トンものパンチで歯を砕いて、

おまえのメンタル面で医者の先生に包帯巻いてもらうからな!」

賛成の背後に来て言い捨てる。

 

それは――あまりの言い様だった。ミーコですら、いいすぎだと思った。

大声で話すものだから、いつのまにか、その場に居合わせたものたち全てが、この二人に注目していた。

「お前は黄桜の一族だからな。オヤジさんが怖くて誰も言ってくれないんだろ?

なんでも金と権力で解決できると思ったら大間違いだ。いいか?

玉澤さんの足を引・っ・張・る・な・よ!」

 

 

賛成は――いいかえすのを我慢していた。

そこに・・・。

パンパーン!

「そこまで!」

玉澤が割って入った。

「紀村くん・・・。それは・・・誤解なんだ」

「玉澤さん」止めようとする賛成。

「誤解ってなんですか?」紀村が訊く。

「伊藤のスキャンダルをとめるために交換条件に君の写真を売ろうとしたのは、

――俺だ!俺なんだ!

賛成は俺の指示通り動いただけだ。最後まで嫌がっていたよ、君には世話になっているからと」

紀村の顔がみるみる表情を変えてゆく。

「そんな・・・信じてたのに・・・」

「紀村くん、言い訳になるが、聞いてくれ・・・」

「Listen!」

紀村が玉澤の声を制止した。

 

「It’s over now!なんなんだ、どいつもこいつも!玉澤さん、俺を裏切ったことを後悔させてやる!

首を洗って待ってろ!ミーコ、オードリー、行くぞ!」

「わん!」

 

 

「紀村くん!ごめんよーー!!」

玉澤の声は夜の湾岸にむなしく響いた。

 

 

 

第12話へつづく

 

 

 


アナウンサー!春物語 第11話 前編

2013-06-24 17:01:18 | アナ春

湾岸プチテレビ。

黄桜が右太郎にケンカを売ろうとしていたその頃…。

 

伊藤純保は、「アナウンサー1日体験」のイベントに取りかかっていた。

純保と右太郎が日替わりで行うこの企画。

今日は純保が担当だ。

朝から20時まで、時間刻みで、

当選した10人の幸運な視聴者たちに手取り足取りアナウンス技術を体験させる。

もちろんすべて女性。

純保と右太郎のファンは10代から80代までと幅広い。

 

Pスタジオでファンを迎える。

 

「最初のかた、どうぞお入りください」

この日ばかりは純保もぬいぐるみなどを身に着け、特別サービスでかわいく演出した。

 

 

トップバッターの女性がやってきた。

小柄で茶色いヘアスタイル。つぶらな瞳に身を守るようなアイライン。

同い年くらいだろうか?

靴はクリスチャン・ルブタン?

おしゃれに目の無い純保は注目した。

「こんにちは、伊藤純保です、今日はアナウンサー1日体験に来てくれて、ありがとうございます。靴、素敵ですね」

女性の瞳を見つめながら笑顔で話しかけた。

 

その瞬間、女性はなにか、茫然としているように見受けられた。

「あ・・・・・・ありがとうございます。・・・あの、私はシュウコといいます」

「シュウコさん?わあ、うちの上司と同じ名前ですよ。ご縁がありますね。今日は楽しんで行ってください」

「は、はい…」

 

体験は、ニュース22のスタジオで実際にニュースを読んでみたり、

それを写真撮影したりする簡単なものだ。

一通りの体験をし、もう終わり、というその時。

シュウコさんが口を開く。

「あの、伊藤さん、一つお願いがあるんですが・・・。

ニュース22で張本さんがたまにダンスするじゃないですか?伊藤さんは踊れないんですか?」

「えっ」

「僕も・・・踊りは好きです。回転も好きです。でもあれは張本の特権なんですよ。だから僕は・・・」

張本の領分を奪うわけにはいかない。

意外に控えめだ。

「やっぱり踊れる方ですか。そのヒップを見てそう思っていました。・・・特別に、踊ってはいただけませんか?」

 

悩む純保。

 

「実はわたし、今日、誕生日なんです。今日で30歳になりました」

「誕生日?わあ。それはおめでとうございます!そうですか。うん、喜んで踊りましょう、歌いましょう」

大義名分ができた。実は踊りたくてうずうずしていたのだ。

 

おもむろに上着を脱ぐ。

はっぴばあーすでいとぅゆうーーーーー

汗だくだ。歌つきだ。

はっぴばあーすでいつぅゆぅううー

指をさされた。

はあっぴばあすでぃでぃあシュウコさあん

あざやかに回転する。

はあぴばあすでいとぅゆううううーーーうううーー

特別におんぶする。

 

 

シュウコは、完全に、恋に落ちた。

 

 

実は彼女、プチテレビの伊藤になどまったく興味はなかった。

ライバル局TVSの神田大成アナの追っかけだったのだ。

神田大成も踊れるアナウンサーとしてTVSが押している。

彼女は踊りの巧い男性が好きだ。そしてつぶらな瞳の男性も。

 

だがしかし、今日、伊藤に会った瞬間、神田にも負けない純保のつぶらな瞳に心奪われた。

さらに今踊りの巧さに心を掴まれた。

そして歌声の裏声。

おぶってもらった背中の筋肉。

「・・・伊藤さん、ありがとうございました。最高の誕生日です。あの、言わせてください。好きです。付き合って下さい」

「おお、、嬉しいです。ふふ、そうですね、考えておきます」

軽く受け流された。

いや、わかっているのだ。

所詮、サラリーマンとはいえ半分芸能人と、自分は一般人。

2人を隔てる壁は高い。

それに私にはカレシがいる。

 

だけど、アナウンサーの中では、今後はあなただけみつめてるよ、そう心に決意した。

 

そんな様子をスタジオの隅でハルナが見ていた。

(いつもの先輩だなあ、女子ウケもいいし、かっこいいしさ…)

いま何をしてもダメなことは良くわかっているが、遠くからでも純保を見ていたいのだった。

 

 

///////////

湾岸の原っぱ。

黄桜と張本が向かい合っている。

 

「久しぶりだな、張本。懇親会で飲んで以来か…。ふ、今覚えばおれに接近したのも思惑があってのことだったんだよな?」

右太郎は、レイが黄桜賛成と付き合いだしたと聞き、賛成に興味をもち、一時期接近していたのだった。

「まあいい、・・・いまは副社長とアナウンサーという仮面は外して話そう。

もうレイにつきまとうな!」

賛成が右太郎を指さす。

 

 

「仮面を外していいんですね、副社長…。ではいわせていただき、ますよ…?

おい、なに指さしてんだよ?つきまとう?はあ?まじむかつく」

 

 

「それがお前の本性か、張本。よくきけ。僕はレイにプロポーズした。いずれは僕の妻になる。

でもレイは君の怪我に責任を感じているようで即答してくれなかった。なあ、もうレイを解放してくれよ?」

プロポーズ。

右太郎に衝撃が走った。

「黄桜さんよう、なにかカン違いしてるよな?

おれはレイにつきまとってもいないし、怪我の事で負担をかける気はない!

お前こそ恋人の気持ちに自信が持てないのか?所詮その程度の関係なんだろ?!」

「なにをっ?!」

カッとした賛成。怒りが頂点に達した。

 

賛成は右太郎の右頬にパンチを食らわせ、右太郎はその場に倒れ込んだ。

「おい!いくら仮面を外すっていっても、俺はアナウンサーなんだぞ!顔はやめろ、顔はぁ!」

黄桜もさすがに悪いと思ったのか張本に手を貸そうと近づいた。

その瞬間、張本の指突きが黄桜の腹にヒットした。拳銃以上の威力。

 

ふたりの殴り合いは終わらない。

 

そこに、2人の不在に気が付き、近辺を探していたレイが止めに入った。

「何してるの!」

「あ」「あ」

 

「うーたん、顔腫れてるよ!ちょっと賛成、殴ったの?!ひどいんじゃない?」

「すみません…」賛成、反省。

「まったく!うーたん、すぐに病院にいこう?今日もニュースあるでしょ?」

「・・・ん、だいじょうぶ、1人でいくよ」

「でも」

「だいじょうぶだよ。それより、こいつ、ほんとに・・・レイのこと・・・」

(大切に思ってるんだな・・・。

いけ好かないやつだと思っていたけど、こいつ、いいやつだな…。)

賛成の拳に、マジを感じていた。

 

(ただのボンボンだと思ってたけど。ケンカも強いし、ホネがあるじゃねえか…。)

「うーたん?」

「レイ、俺、大丈夫だ」

そういって微笑む。

そして右太郎は地面に座っている賛成に向かって言う。

「おい、黄桜!うじうじ考えるな。目の下にクマできてるぞ・・・。もっと自信を持て!」

「張本?」

「レイ、・・・おれは病院いってスタジオいくからこいつの面倒みてやれ。

おれは一人で、平気さ…」

うーたんの様子、いつもと違う…。

「あばよ」

 

大人になったのかな、レイはそう思いながら右太郎を見送った。

 

―第11話後編につづく―