国内大手損保である損保ジャパンが、「学校総合賠償責任保険」という名称の保険を発売するというニュースを聞きました。
詳しくは、損保ジャパンのページ参照。
「学校内での事件事故による損害などについて補償をする」というものですが、授業中のケガなどに見舞金が出る、いわゆる「学校共済」とはどう違うのか?と調べたところ、大阪池田小のような事件などに対応することはもちろん、“教職員のセクハラ”などにも対応するのだそうです。
でも、「なんか変」じゃありませんか?
この保険なり、保険に加入する学校は、「ウチの教職員の中に、セクハラをしかねない教員がいる」という前提なわけです。リスク回避やリスクマネジメントという言葉が先行し、「そもそもリスクをどう減らすか」、すなわち「教員不適格者をどう排除するか」、また「優れた教員をどう養成するか」という議論は捨て置かれているように思えます。
参考までにこの保険の特徴を挙げてみますと...
・職員のセクハラに対する賠償
・情報漏えいの際の謝罪広告や見舞金
・入試の採点ミスの賠償金
・不審者侵入による傷害の賠償(オプション)
となっており、いわゆる「不祥事」の大半をカバーする内容になっています....。
これを、敢えて悪意に満ちて解釈すると、こうなります。(笑)
セクハラ変態教員」がいても、この保険にさえ入っておけば安心。ゴネる保護者には我々損保と顧問弁護士が、“クール”に対応し“適正な”賠償金額に抑えます。「幼児期のトラウマ? 心の傷?」そんな目に見えないものに、言われるがまま謝罪や賠償をする必要はありません。
謝罪広告もお任せ下さい。当社で考案した「誠意の感じられる」謝罪広告例文の中から自由にお選び頂けます。「謝罪の気持ちが伝わるだろうか..」などと、被害者の感情を考える必要は全くありません。
採点ミスも心配なし! 我々プロが「今までの相場・判例」を徹底的に分析し、可能な限り賠償金額を低く抑えるために死ぬ気で頑張ります(だって私のボーナスに影響しますから..)。被害者の言う「採点ミスでの精神的苦痛」など斟酌の必要はありません。他大学に払った入学金に、少し色を付けてやればよいのです。
以前も書きましたが、「保険」というものはリスク分散のための優れたシステムです。「災害や事故は誰に起こるか分からないから、その負担をみんなで分担分散しましょう」というのが依って立つ考え方です。
しかし、現実には上に述べたように、損保が加害者側の強力な援軍となります。相手はプロですから冷静を通り越して「冷酷」でさえありますし、場合によっては加害者に代わり、代理戦争の主人公にすらなります。その一方、被害者は自助努力を強いられ、弁護士は自分で探し、その費用負担も発生します。
今の日本では「訴訟を起こした」と言うと、それだけで奇異の目で見られることさえありますが、訴訟で得られる賠償金なり被害回復でさえ、実際の被害を到底贖(あなが)うことは出来ません。幼児期の性的虐待などは、その最たる例です。
相互扶助の考え方に立った保険なら大歓迎ですが、「リスクマネジメント」という錦の御旗を掲げて加入者を募り、いざ支払う段になると被害者救済など二の次..というのであれば、これこそ現代が生んだ「必要悪」と言えるのかもしれません。
←人気blogランキングに参加しています。よければクリックをお願いします。m(_ _)m
詳しくは、損保ジャパンのページ参照。
「学校内での事件事故による損害などについて補償をする」というものですが、授業中のケガなどに見舞金が出る、いわゆる「学校共済」とはどう違うのか?と調べたところ、大阪池田小のような事件などに対応することはもちろん、“教職員のセクハラ”などにも対応するのだそうです。
でも、「なんか変」じゃありませんか?
この保険なり、保険に加入する学校は、「ウチの教職員の中に、セクハラをしかねない教員がいる」という前提なわけです。リスク回避やリスクマネジメントという言葉が先行し、「そもそもリスクをどう減らすか」、すなわち「教員不適格者をどう排除するか」、また「優れた教員をどう養成するか」という議論は捨て置かれているように思えます。
参考までにこの保険の特徴を挙げてみますと...
・職員のセクハラに対する賠償
・情報漏えいの際の謝罪広告や見舞金
・入試の採点ミスの賠償金
・不審者侵入による傷害の賠償(オプション)
となっており、いわゆる「不祥事」の大半をカバーする内容になっています....。
これを、敢えて悪意に満ちて解釈すると、こうなります。(笑)
セクハラ変態教員」がいても、この保険にさえ入っておけば安心。ゴネる保護者には我々損保と顧問弁護士が、“クール”に対応し“適正な”賠償金額に抑えます。「幼児期のトラウマ? 心の傷?」そんな目に見えないものに、言われるがまま謝罪や賠償をする必要はありません。
謝罪広告もお任せ下さい。当社で考案した「誠意の感じられる」謝罪広告例文の中から自由にお選び頂けます。「謝罪の気持ちが伝わるだろうか..」などと、被害者の感情を考える必要は全くありません。
採点ミスも心配なし! 我々プロが「今までの相場・判例」を徹底的に分析し、可能な限り賠償金額を低く抑えるために死ぬ気で頑張ります(だって私のボーナスに影響しますから..)。被害者の言う「採点ミスでの精神的苦痛」など斟酌の必要はありません。他大学に払った入学金に、少し色を付けてやればよいのです。
以前も書きましたが、「保険」というものはリスク分散のための優れたシステムです。「災害や事故は誰に起こるか分からないから、その負担をみんなで分担分散しましょう」というのが依って立つ考え方です。
しかし、現実には上に述べたように、損保が加害者側の強力な援軍となります。相手はプロですから冷静を通り越して「冷酷」でさえありますし、場合によっては加害者に代わり、代理戦争の主人公にすらなります。その一方、被害者は自助努力を強いられ、弁護士は自分で探し、その費用負担も発生します。
今の日本では「訴訟を起こした」と言うと、それだけで奇異の目で見られることさえありますが、訴訟で得られる賠償金なり被害回復でさえ、実際の被害を到底贖(あなが)うことは出来ません。幼児期の性的虐待などは、その最たる例です。
相互扶助の考え方に立った保険なら大歓迎ですが、「リスクマネジメント」という錦の御旗を掲げて加入者を募り、いざ支払う段になると被害者救済など二の次..というのであれば、これこそ現代が生んだ「必要悪」と言えるのかもしれません。
←人気blogランキングに参加しています。よければクリックをお願いします。m(_ _)m